技術士はるき🕊️【ASDな僕の等身大日記】会議でのパニックと、深夜の印刷。
👩⚕️篠原 光より、今日のご案内🕊️
こんばんは、臨床心理士、心理カウンセラー、
そして、
将来、はるきさんをカウンセリングすることになる『篠原 光』です。
今日は1月7日。
新しい年が明けて早々、
はるきさんの心は激しい嵐に飲み込まれてしまいました。
自分の限界を必死に伝えようとする言葉が
「ヒステリック」と片付けられてしまう悲しみ。
そして、パニックの中で彼が選んだ、
自分を守るための、
そして責任を果たすための「静かな決断」を、
どうか心で受け止めてあげてください。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
こんばんは。
武田 陽樹(たけだ はるき)です。
今日も小泉さんのブログで、
僕の日記を書かせていただきます。
今日は1月8日、木曜日です。
朝、出社するとすぐに、
会議室に呼ばれました。
そこには、
社長と、上司の部長が座っていました。
僕は、嫌な予感がして、足がすくみました。
議題は、
今僕が死に物狂いで取り組んでいる
「7割集中業務」のことでした。
部長が、無機質な声で言いました。
「この業務、いつ終わりそうか?」
僕は、深呼吸をして答えました。
「工期が3月末なので、それくらいかかります。」
部長の眉間にシワが寄りました。
「その業務だけに、あと3ヶ月もかかるのか。」
「はい、かかります。
会社としても未経験の業務ですから、
今のペースで順調にいって、
ようやく間に合うかどうか、だと思っています。」
部長は、
机をトントンと叩きながら、さらに言いました。
「もっと早く終わらせられないか。
他の引き合いの案件がたくさんあって、
武田君には、もっと他の業務もこなしてほしいんだ。」
その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中で、
何かがパチンと弾ける音がしました。
「無理です。……
もし、その新しい案件を僕が担当するのなら、
この『7割集中業務』を、
今すぐ僕からすべて引き取ってください。」
部長はムッとした顔で、
「そうじゃなくて、
その業務をこなしながら、新しい案件をやってくれ、
と言っているんだ。」
「無理です。
未経験で、会社の他の誰もやったことがなくて。
僕は、毎日、毎日、すごく、不安なんです。
そんな先行きが不透明な状況で、
さらに新しいことをやろうとすると、
全部がダメになります。……
壊れてしまいます。」
部長はため息をついて、
「そうじゃなくても、
もっと考え方を、柔軟にできないか。」
と言いました。
柔軟。じゅうなん。
その言葉が、僕の脳みそを、鋭く刺しました。
「無理です。……
じゃあ、部長。
部長が、この業務をやりながら、
僕に見本を見せてください。
どうやって柔軟にやるのか、
教えてください。」
部長は顔を真っ赤にして、黙り込みました。
会議室の空気が、凍りつきました。
すると、
それまで黙っていた社長が、
ゆっくりと口を開きました。
「武田さん、ごめんね。
会社としてはね、受注を上げたいんだよ。
武田さんが頑張っているのは、
本当によく分かっているよ。
この会社を一番に支えてくれているのも、
武田さんだと、私も思っている。
あなたが技術士を取得してくれて、
本当にありがたいと思っているよ。」
社長の優しい声が、逆に、僕を追い詰めました。
「でもね、
そんな武田さんが、1つの業務だけにとどまっていると、
会社としても、顧客展開ができなくなるんだ。
そこを、分かってくれないかな。」
僕は、言葉が出ませんでした。
黙って、自分の手を見つめていました。
そう言われると、僕は、パニックです。
頭の中が、真っ白なノイズでいっぱいになって、
冷静になれません。
「……あ、あの、……僕は、
……明日の打ち合わせのために、
まだ段ボール2箱分も、印刷が残っているんです。
ただ、プリンターにデータを流すだけじゃ、ダメなんです。
何十箇所もあるデータを、
一個ずつ、一個ずつ確認して、
印刷設定を変えないといけないんです。
この業務独特のアプリなので、
WordやExcelみたいに、簡単にはいかないんです。」
言葉が、溢れ出して、止まりませんでした。
「昨日、印刷をお願いした社員さんも、
難しいところがあって、予定の半分もできませんでした。
……それで、今、
この会議に2時間も呼ばれたことで、
その印刷が、さらにできないんです。
僕は、もう、焦っているんです。
……時間が、ないんです。
徹夜してでも、印刷を終えて、製本して、
明日は片道3時間かけて
打ち合わせに行かなきゃいけないんです。
打合せが終わったら、
また3時間運転して帰らなきゃいけない。……
僕は、どうすればいいんですか?
明日の打合せを、ドタキャンすれば、いいんですか?」
部長が、吐き捨てるように言いました。
「そこまでヒステリックになるな!
どうして、そういう極端な発想になるのかなぁ……。」
ヒステリック。
「……僕は、おかしいのですか?変なのですか?
……でも、時間が、本当に迫っているんです。
そんなふうに言われたら、冷静になんて、なれません。」
僕の目から、涙がこぼれそうでした。
すると社長が、部長を制するように言いました。
「ごめん、武田さん。無理を言って悪かったよ。
明日の打合せ、営業から運転手を一人つけるから。
とにかく武田さんは、明日の打ち合わせの内容だけに専念して。
……部長、
武田さんへの負荷が大きすぎると、理解しました。
今は、彼が持っている案件を無事に終わらせられるように、
頑張ってもらいましょう。」
部長は、納得のいかない顔をしていましたけれど、
「……わかりました」
と答えました。
会議室を出たとき、僕は足が震えていました。
貴重な2時間を失って、
僕はまた、自分のデスクに戻りました。
夕方になり、
運転手役になった営業の人が、僕に声をかけてくれました。
「どう、手伝おうか?
成果品を車に積むのを、手伝うよ」
と言ってくれました。
でも、僕は首を振りました。
「まだ、夜中までかかりそうなので、
今はまだ、何もできないんです。……
明日使う車には、僕が、
自分で積んでおきます。」
営業の人は、困ったような、でも優しい顔をして、
「わかった。
明日、出発の30分前に来るから、一緒に車へ積もうよ」
と言ってくれました。
それから、僕は独りで、印刷を続けました。
アプリの画面を見つめて、
設定を確認して、印刷ボタンを押す。
ガシャン、ガシャン、
というプリンターの音だけが、
静かな会社に響いていました。
印刷が終わったのは、夜中の2時を過ぎた頃でした。
外は真っ暗で、とても冷え込んでいました。
このまま家に帰って寝ても、
きっと、寝坊してしまいます。
一度眠ってしまうと、
僕の脳みそは、すぐには起き上がれないからです。
だから、僕は、
会社のソファで寝ることにしました。
ここで寝ていれば、朝、
営業の人が会社に来た時に、
僕を起こしてくれると思ったからです。
コートを布団代わりにして、
ソファに横になりました。
心臓がまだ、どきどきしていました。
明日が、無事に終わりますように。
(次回へつづく)
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