【第63話】S企画|至高の法塔 ― 事後重症の壁、65歳の断絶
⦅同期の焦燥、時間の壁⦆
「なぁ、サトシ。……いや、采善本部長。
なんとかしてやってくれないか!」
S企画本社、技術統括本部長室。
品質管理部長の佐藤謙一が、
汗だくで駆け込んできた。
手には、
定年退職を間近に控えた嘱託社員の診断書が
握られている。
👓佐藤
現場一筋のベテラン、
大工原(だいくはら)さんのことだ。
若い頃に患った腎臓病が、
最近急激に悪化してな。
来月から透析が必要になるそうだ。
彼は今、64歳と11ヶ月。
来月には65歳になる。
「障害年金」をもらわせてやりたいが、
手続きが間に合うかどうか……。
人事部は
「もうすぐ老齢年金が出るからいいじゃないか」
と言うんだが、
障害年金の方が有利なんだろう?
サトシはデスクの時計を一瞥し、
冷ややかに答えた。
👔サトシ
……佐藤。
君の優しさは美しいが、
時間は待ってくれない。
65歳という年齢は、
年金制度における「断絶の壁」だ。
一日でも遅れれば、
彼は一生の権利を失うことになる。
👓佐藤
だから相談に来たんだ!
なぁ、サトシ、まだ間に合うよな?
👔サトシ
……場所を変えよう。
ここには、
君の焦りを鎮める薬(アルコール)がない。
***
会員制バー「桃源郷」。
ルミが差し出した冷たいタオルの上で、
佐藤は診断書を広げた。
モニターには、
厚生年金保険法の複雑な条文が
表示されている。
👠ルミ
あら、佐藤さん。
今日は秒読み(カウントダウン)?
「64歳11ヶ月」って、
まるでシンデレラの魔法が解ける直前ね。
👓佐藤
笑い事じゃないんだ、ママ。
大工原さんは、
この会社を支えてきた功労者だ。
少しでも多くの年金を持たせてやりたい。
このカルテの「ア」を見てくれ。
「65歳に達する日の前日までに請求」……
これなら、ギリギリ間に合うはずだ!
⦅カルテNo.63:社会保険一般・厚生年金保険法(障害厚生年金)⦆
〔問 3〕 事後重症の障害厚生年金(厚生年金保険法第47条の2第1項による障害厚生年金)及び基準障害の障害厚生年金(厚生年金保険法第47条の3第1項による障害厚生年金)に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
ア 事後重症の障害厚生年金は、65歳に達する日の前日までに請求しなければならない。
イ 基準障害の障害厚生年金の支給は、当該年金を支給すべき事由が生じた月から始められる。
ウ 事後重症の障害厚生年金の対象は、障害等級1級及び2級のみである。
エ 基準障害の障害厚生年金の対象は、障害等級1級、2級及び3級である。
オ 繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者は、事後重症の障害厚生年金及び基準障害の障害厚生年金、いずれも請求することができない。
A (アとイ) B (アとオ) C (イとエ)
D (ウとエ) E (エとオ)
👔サトシ
佐藤。
君の言う通り、「ア」は正しい記述だ。
これが「事後重症」による請求だ。
最初は軽くても、
後から悪化した場合、65歳の前日……
つまり
誕生日の前々日までに窓口に書類を出せば、
セーフだ。
👓佐藤
よし!
じゃあ急がせるぞ。
ところで、彼は昔、
工場で指を怪我しているんだ。
等級にはならなかったが。
今回の腎臓病と合わせれば、
もっと重い等級になるんじゃないか?
「基準障害」ってやつだ。
エに「3級」も対象って書いてある!
👠ルミ
(タブレットの画面を指先でリズミカルに叩き始める)
ポン、ポン、ポン……。
その乾いた音は、
佐藤の希望的観測を粉砕し、
隠された真実(法的正解)を暴き出す
冷徹なカウントダウン。
👠ルミ
ねえ、佐藤さん。
「合わせ技」は、
そう簡単には決まらないのよ。
サトシさん、
この問題の「落とし穴」を教えてあげて。
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S企画:至高の法塔 ― 頂点への執刀記録
📅R8.4.10時点 最新法令準拠 👔技術士(総監)の称号を背負い、頂点を目指す孤高の男・サトシ。 👠その野望を影で支え、怜悧な才気で夜…
🌸チップのご支援、本当にありがとうございます👨💼小泉士郎です🌳いただいたご厚意は学びや発信活動の糧として、大切に使わせていただきます。📘noteでは技術士試験対策の情報に加え、セルフケアや心に寄り添う言葉も日々綴っています。🌻温かく見守っていただけたら幸いです🐱✨
