・エイリアン2を視聴して
※ネタバレを多分に含んでいるため視聴後にご拝読いただきたい。
P:今しがた見終えた。実に面白い作品だった。
本作は私が視聴した前作エイリアンディレクターズカットに引き続いてのシリーズ二作目であり、シリーズ通しても屈指の名作という評価が固まった作品でもある。
評点は90点。噂に名高いエイリアンシリーズ最高峰といった作品で、まったくそつがなかった。
R:総合的な完成度が高く、特別何を言えば良いのかということについて大いに迷った。
一作目が1979年でそれから7年の歳月が経ち1986年に公開されたこの映画は、前作からのアップデートというかバージョンアップが如実にわかる正統進化系である。
前作に比べると特に建物や航空機、装甲車両などの演出がより未来的に改善されており、臨場感をグンと増していたのは印象的だった。遠景からでもリプリーら登場人物がどういった環境にいるのかという点についてわかりやすくなっていたのは好印象である。
シナリオについては、前作で登場した主人公であるエレン=リプリーがノストロモ号の生き残りとして再出演し、再び元凶となった植民星へ海兵隊の面々とともに降り立っていく。
あらゆるシナリオについて言えることだが、主人公は物語の発端となるオファーについて最初に一度は必ず断るものである。これは物語制作の不文律とも言うべきルールであり、本作はシナリオ作りのセオリーをしっかりと守っていることがうかがえる。
エイリアンといえばやられ役の生贄が欠かせない。彼らは物語に割り振られた個性をもって豊かな彩りを添えるが、通例通り勇ましい者も臆病な者も分け隔てなく死んでいく。
もっとも想像通り海兵隊の面々はやられ役というか、恐怖の引き立て役であって彼らで解決できるような問題であれば、それはすでにエイリアンシリーズではないのだから。
物語作りのもうひとつのセオリーであるデュアルクライシスも1時間過ぎたくらいから発動し始め、エイリアンの襲撃に備えて様々な対策するという一方で、地下での最初の戦闘の結果発生することとなった核融合爆発までの4時間という残された時間内に脱出するというタスク、つまりタイムクライシスが発生する。
定番というか、これが本当によく機能していた。加えて状況が目まぐるしく変化し、絶対に助けると誓った子どものニュートが連れ去られ、後を追って救出するくだりはハイテンポかつハイテンションで視聴者のハラハラ・ドキドキを刺激し興奮状態に陥れるに十分であったようだ。
しかし前作は生存者が一人と一匹であったが、今回はアンドロイドを含めて4人も生き残っている。シリーズ二作目にして最多の生存者数を達成しているのだ。これはエンディングとしては大成功と言って良い。
特に印象的だったのは最後のエイリアン・クイーンとの戦いでパワーローダーを使ってタイマンガチンコバトルを繰り広げるシーンで、いかにも最後の戦いであるというようなクライマックスを盛り上げる最高の場面であったように思う。
E:本作が名作であることは確かであるとはいえ、気になった部分がまったくなかったわけではない。
中盤でゼノモーフに司令室が包囲されたあたりでリプリーは前作の生き残った経験の割に、天井を這ってくる敵に対してまったく気が付かないというのはおかしいように思えた。前作ではそれで苦汁をなめたこともあるだけに、その事実を忘れているというような描写は明らかに矛盾している。
加えてサービスにもならないようなリプリーの下着の非エロさ。
もともとリプリーの顔面偏差値は明確に主人公寄りであってヒロイン枠ではない。
それゆえかあくまで強い女性というモチーフのもとに作られたキャラクターであるとわかる。これが当時話題になったかどうかわからないが、問題とされたとしたら監督が変わって制作されたエイリアン3ではベッドシーンも取り入れられたというのはいかにもなことである。
本作の舞台設定上すでにエイリアンが繁殖し膨大な個体数が出てくることになる本作だが、前作にあったような一対一でのスリリングな駆け引きやシーンというものがあまり強調できなかったのは残念である。
ホラーというジャンルは往々にして多数の脅威が現れるよりも、一人のキラーに延々と様々なシチュエーションで追われる方が恐怖感の演出という意味では濃いものが生まれやすい。前作はまさにそうであったが、逆に言えば敵が多数いるということで薄れてしまう恐怖感が少なからずあるということだ。
それと最初にアンドロイドであるビショップが自分の抑制装置について語るシーンがあるが、その抑制装置がなんらかの理由で不具合をきたして仲間を裏切るようなシナリオ展開もあっても良かったかもしれない。そうなると脱出はより絶望的になりハラハラ・ドキドキ具合が増したかも知れないと思う。
P:ただ上記に上げた気になる点は視聴後に思い出したものであるため、視聴中はまったくといっていいほど気にはならなかった。ノンストップでテンポよく進むストーリーは中だるみというものをまったくといっていいほど感じなかったし、若かりしジェームズ・キャメロン監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えよう。
前作エイリアンを視聴した方であればまず問題なくおすすめできる作品となっている。しかし次回作の3は監督が変わり作風も大幅に変更されているということなので、若い頃のジェームズ・キャメロン好きの私には残念ながら視聴予定はない。
1と2の間のお話であるエイリアンロムルスもまた、最新の技術で作り上げられたエイリアンの世界観を存分に味わえる作品となっているので、そちらも合わせてご視聴いただけると幸いである。
ところでリプリー役のシガニー・ウィーバーの目をどこかで見たことがあると思っていたら思い出した。
科捜研の女に登場する主役である沢口靖子のそれにそっくりなのである。
両者ともに真実を追求するという頑ななまでの意志がその瞳にみなぎっている。
ガンギマリとでも言えばいいだろうか。その眼力たるや眼球突出を主症状とするバセドウ氏病もかくやといった具合である。
登場するキャラクターたちもその圧倒的な迫力に負けて最初こそふざけ半分で話を聞いていたが、次第にリプリーの言っていることが現実そのものを表していることを悟るや彼女の指示に従順な従僕と化してしまう、それほどの威力なのだ。
なんならエイリアンよりも彼女の目力のほうが怖いと思える。なるほど彼女の言っていたエイリアンよりも人間のほうが怖いとはこういう意味だったのかと納得した次第である。
