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debupinoko
さよなら、おめでとう
蝋燭は、その時を待っていた。
暗くされた室内はいつもより賑やかで、豪勢な料理が並んでいる。
火を灯された仲間達もまた、私と同じようにその時を待っていた。
最後に火をつけられた私は、去年のことを思い出す。
去年は白いケーキではなく、チョコレート色だった。
私の上でソワソワと動く両目の彼は、去年よりも大人びた顔つきをしていて、背丈もグッと伸びている。
部屋にこだまする拍手と歓声を私たちが聞くことはない。
それでも、その瞬間を待ちわびてしまう。
私たちの命が尽きる時、歳を重ねる命がある。
なんと不思議なことだろう。
1本ずつ増えていく仲間を見ては、なんとも言えない気持ちになる。
たった1本、けれどこの1本が意味するものは1年である。
1年間、健やかに日々を送れた証明がこの1本だ。
そう思うとなんだか自分も誇らしく思えてくる。
短い生だが、それでも誇りを持って命を燃やそうじゃないか。
まわりにいる9本の仲間達もまた、己の命を輝かさんばかりに炎をゆらめかせている。
頭上から息を吸う音が聞こえて、私はその身を任せた。
さよなら、それではまた1年後。
そして、お誕生日おめでとう。
風まかせ文芸部の第7回お題企画に参加させていただきました。
最後に蝋燭の火を消したのはいつのことだったか・・・。
増えていく蝋燭、消える炎、重ねる歳のことがフッと浮かんで書きました。
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