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yuuki_kaito
薬局の電話番、迷探偵になる
薬局では、交代で「電話番」を持つところがある。
私の勤めている薬局にもある。
1か月交代で担当するのだが、もともと土日も営業している薬局なので、普段はそんなに電話がかかってくることはない。
だけど、長期休みは例外である。
いつも静かな携帯が、ここぞとばかり鳴る。
「お休みなんですか?」
そんな簡単な確認の電話かと思ったら、
意外とちゃんと薬の相談だった。
「歯が痛くて、痛み止めについて相談したい」
「下痢をしたんですが、どうすればいいですか?」
「病院の予約を間違えて消してしまって……薬が足りません」
……などなど。
手持ちの薬で対応できること、できないこと。
OTCで対応できること、受診が必要なこと。
ひとつひとつ振り分けて説明していく。
そんな中で、いちばん難しいのが――
薬の名前の聞き取り。
「デロキセチンの飲み方なんですが……」
「リベリデンが無くなるんですが……」
???
薬歴を確認できる状況なら、
「ああ、この薬ね」
とすぐに分かる。
でも、電話口でカタカナの薬品名を言われると、頭の中にパッと浮かばないものがある。
デロキセチン
↓
デュロキセチン
リベリデン
↓
ビペリデン
「カプセルですか?」
「朝食後に飲む薬ですか?」
「何色の薬ですか?」
少しずつ情報を集めながら、頭の中で薬を絞り込んでいく。
まさに推理。
電話の向こうの患者さんから得られる、
わずかな情報を頼りに、
「この薬か……?」
「いや、こっちか?」
と頭をフル回転させる。
薬局の電話番。
いつの間にか私は、
迷探偵になっていた。
