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246.創作秘話|『バイバイ、私の未来』


1. 主題・テーマ

この物語に込めた最大のテーマは、「未来は決まっているものではなく、意志によって変えられる」ということでした。

遥子(ようこ)が持つ“未来視”という力は、決して万能な能力ではありません。

むしろ、見えるがゆえに苦しみ、決められた道に縛られるという側面を描くことで、「未来が見えることは本当に幸せか?」という問いを作品の裏側に織り込んでいます。

希望を描きながらも、その希望が「幻想」や「暴力」になりうる側面にまで思考を伸ばしたかった──この両義性こそが、物語の推進力でした。


2. 遥子というキャラクターに託したもの

遥子という少女には、「能力があることは本当に幸福か?」という疑問をそのまま投影しています。

彼女は当初、社会の熱狂の中心に巻き込まれながらも、自らの言葉を持たないキャラクターとして描かれます。

語らせないことで、「社会が都合よく意味を押し付ける存在」にし、メディアや大衆の残酷さを浮かび上がらせました。

遥子は、才能と注目を得ながらも傷つけられ、それでもなお「自分の未来」を選び取ろうとします。そこに、人間としての“意志”を込めました。


3. 創作の動機と、書きながらの変化


最初はもっとシニカルで、結末も遥子が見た未来そのまま──救いのない終わりを構想していました。

熱しやすく冷めやすい世間、マスメディアの暴力性、そして“消費される個人”という現実に対しての警鐘。

その思いが強く、物語は冷たい未来へ向かって進んでいました。

しかし執筆を進める中で、遥子というキャラクターに惹かれ、未来を変える力を持たせたくなった。

人の優しさや希望にかけてみたいという気持ちが芽生え、作品の舵を大きく切りました。

この作品を通して、「人は変われる」「未来は変えられる」という、極めて人間的な希望を、最終的に選び取ったのだと思います。


4. 象徴的な言葉と、題名に込めた意味

『バイバイ、私の未来』というタイトルには、多重の意味を込めています。

□ 未来視の力との訣別

□ 報われない未来の拒絶

□ 自分で選び取る未来への旅立ち

□ もしかしたら、“今の自分”という存在との別れも含んでいるかもしれません。

この題は、サガンの『悲しみよ、こんにちは』のように、ひとつの言葉に多層的な意味を込めたいと考えながら生まれたものです。

構想の初期段階から、この言葉を軸に作品世界を編み続けてきました。


あとがきに代えて

物語の最後で遥子が選び取ったものは、“幸せな未来”そのものではなく、「自分で選んだ結果としての未来」だったと思います。

それは不確かで、たやすく崩れるかもしれない。けれど、他人に与えられた未来ではなく、自らの手で選んだ“現在”を積み重ねた結果としての未来

それが、この作品で描きたかった「ささやかだけれど、力強い希望」です。


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