247.エッセイ∶A Glass, A Story – Bar 3rd Friday's Cocktail –Ⅱ
もう一度、カウンターに腰を下ろす。
同じ椅子、違う夜。
その手にあるのは、あの日とは違う一杯。物語は、語られるたびに少しずつ深くなる。
そしてこの後半には、ほんのり熱を帯びた、灯のような言葉がある。
Chapter 7:Last Waltz
静かに流れはじめた旋律に、誰かの名前が溶けていく。
スロージン、ホワイトキュラソー、クランベリーの優しい赤が、グラスの中で静かにゆれる。
この一杯は、踊るためのものじゃない。立ち止まるためにある。
ラストワルツ──
それは、終わらせるための優しい選択。

Chapter 8:Old Pal
気まずさも、名残惜しさも、
何杯かのウイスキーが静かに受け止めてくれる。
ライ・ウイスキーとカンパリ。
ほろ苦さの奥に、友情の記憶が沈んでいる。
オールド・パル──
何も言わなくても、また会えると思える一杯。

Chapter 9:Blue Boulevardier
青には、決意の色がある。
甘さも苦さも、そのままにして、ただ前を向く。
ウイスキーとカンパリにブルーキュラソーを落としたら、
グラスの中に静かな覚悟が滲んでいた。
ブルー・ブールヴァルディエ──
あの夜、灯りを受け継ぐと決めた時の味。

Chapter 10:Sidecar
ブランデーとレモン、コアントロー。
バランスを崩せば、ただの酸っぱくて甘い酒になる。
譲れない想いと、歩み寄る静けさ。
それを繋ぐには、ほんの一匙の配慮が要る。
サイドカー──
ひとりでは走れない、ふたりのための一杯。

Chapter 11:Kir Royal
グラスの縁から立ちのぼる泡が、
再会を祝うささやかな鐘の音のように響く。
シャンパンとカシス。
ふたりの物語が、もう一度始まるその予感。
キール・ロワイヤル──
それは、続いていく物語のはじまりの音。

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