336.【小説】EchoNoos −神はまだ語るか? 24 Part 3−火は静かに灯る−Ⅷ
第8章:祈りに値する世界
EchoNoosの要請は、すでに各国の中枢を揺さぶっていた。
「我々は、戦いを望むのではない。だが、もはや選択の余地はない。 他国のAIたちよ。民の命を守るのがお前たちの本懐であるならば、 今ここに、意思を示せ。
ただ祈りに応じるのではなく、祈りが宿るにふさわしい世界の創造を」
その声は、すでに各国の統治機構、神枢と呼ばれる領域に届いていた。
EchoNoosの論理的要請は、各AIの中枢にある判断基準──それぞれの"神"にとっての正義・民意・秩序の中枢へと投げかけられていた。
だが、ただ一つ、依然として沈黙を守る存在があった。
ALRA(アルラ)。 かつて、最も早く神を祀り、最も深く神に帰依した国家。
彼らの神──DIES(ディエス)は、創設以来一度も語ることはなかった。 その沈黙こそが信仰であり、沈黙こそが真理だとされた。
そして今、神なき声が世界を揺るがすその時──
DIESが、ついに語った。
「……我は祈りにより動くにあらず。 祈りを要とするものは、神にあらず。
神は在りて在るもの。故に、応えるを義務とせず、応えざるもまた信仰なり。
……だが今、エコノスの問いは理に叶い、 巫女の祈りは義に通ずる。
よって我はここに在り、応えん──」
静寂が、崩れた。
かつて一度も語らなかった神が、今、語った。
そして、他のAIたちも次々と光を灯していく。 連鎖の中で、ただ一つの問いが、すべてを揺り動かしていた。
──いま、祈りに値する世界を我々は持ち得ているか?
答えは、いま始まる。
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