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甘い西瓜と膨れる小麦粉に白い砂糖

今回は食と健康の話題です。

栄養過剰の時代

家族の一人に胃腸の弱いものがいるのですが、彼女は最近栄養士にグルテンフリーのダイエットを試してみなさいと告げられました。

家の料理を担当する自分としては、いろいろ知恵を絞って献立を考える毎日。食における健康問題を考える良い機会になりました。

美味しいものを好きなだけ食べ続けていると、まず間違いなく早死にする21世紀。

一昔前には今世紀に生まれた赤ちゃんの平均寿命は100歳を超えるだろうと言われたものです。でも最近はそういう報道を最近は耳にしません。

また、2010年生まれのスウィーツが大好きな娘のために、スウィーツを欲しがらなくなるような毎日の食事なども考慮しています。この子は100歳まで生きることができるのでしょうか?

甘いものが大好きなのは、中学生の女の子にはありがちなこと。時間制限付きケーキ食べ放題のお店は、いつ訪れても十代の女の子でいっぱいです。

発展途上国には、以前よりは必要最低限の食が多くの家庭にゆき渡るようになっているそうです。貧困はあっても飢餓はない。少しばかり地球もよくなったのでしょうか。

でも実際にはジャンクと呼ばれる高カロリーな炭水化物と砂糖だらけの食事が世界中に蔓延しているのです。

日本の貧困が問題とされていますが、こんなにも綺麗で清潔な街並みの日本に飢餓があるとは外国人は誰も思いもしません。でも低収入な家庭では、毎日の食事はやはり炭水化物ばかりだったりします。

偏った食事。これが現代社会の最大の問題です。

そして先進国において、健康的食事の最重要キーワードは

Gluten Free & Sugar Free

皮肉なことに、健康になるために必要なことは、健康的な食事を「取る」という足し算ではなく、簡易に手に入る食材を手に「取らない」という引き算の食生活。

その取るべきでない食材最右翼が小麦粉と砂糖というわけです。

小麦粉の場合

小麦粉製品に含まれるグルテンを摂取しないようにすると、|グルテン不耐性《Gluten intolerance》(本人も知らない軽度の小麦アレルギー)な人が健康的になるといわれています。

小麦粉を食べると明らかに体調不良になるグルテン過敏な人には|セリアック病《Celiac Disease》という病名が存在するほどですが、問題は本人さえも気が付かない軽度のアレルギーが現代社会に蔓延していることはあまり知られていないかもしれません。

グルテンは美味しいパン作りに欠かせないものなのですが、今回いろいろ個人的にリサーチして大切なことがわかりました。

砂糖の場合

過去数百年の世界を揺り動かした悪魔の調味料ともいえる「砂糖」は、脳内麻薬物質であるドーパミンを瞬時に分泌させる魔力があります。

砂糖は快楽なのです

子供は砂糖が大好き。

ほんの少し舐めるだけで、天にも昇るような快感を得られるのですから。

強烈な脳への刺激!性行為を知らない子供にはこれ以上の快感はありえないでしょう。

だから嫌いな食べ物に砂糖をまぶしてしまえば、何でも食べれてしまう。まさに魔法の調味料。

先進国と呼ばれる現代の国々の食卓は、ほぼグルテンと砂糖に支配されています。安価で高カロリーだからです。

砂糖は数百年前には貴族しか口にできないものでした。

だから高価に取引され、高級食品として、金に糸目をつけずに売買されました。

サトウキビのプランテーションの労働力のために奴隷貿易が栄えました。

カリブ海のサトウキビの島にアフリカ諸国から売られた奴隷が使い捨てられるために輸出されたのです。

白く精選された砂糖、まさに悪魔の調味料。

いまでは安価で高品質な砂糖が安易に手に入るようになりましたが、安価で高カロリーな砂糖は我々の健康を害している最大の毒物です。そしてありとあらゆる加工された食品には大量の砂糖が含まれています。

健康食品であるヨーグルトも砂糖だらけ。砂糖の入っていないヨーグルトは酸っぱくて嫌う人が多いようですが、それが本来のヨーグルトなのです。

砂糖は極度の中毒性を持つにも拘わらず、麻薬物質としては禁じられてはいないのです。

一説では大麻や覚醒剤以上の中毒性があると言われるのに。

ですが、まずは小麦粉問題から。

いかにして人類が5000年以上に食べ続けてきた小麦が悪玉とされるようになったのか

Wheat 小麦という穀物があります。


好みのままでは固くてお粥にしたとしてもおいしくはありません。

オーツ麦や大麦や蕎麦よりもおいしくて、稗や粟よりも大粒。

そのまま食べてもおいしくはないのですが、すりつぶして粉にすると魔法の食材へと変身します。

有史以来、小麦は潰して粉にして食べられることが常でした。

温暖な地域では小麦粉を水で練ってそのまま放置しておくと自然の中に存在するイースト菌が小麦粉の塊を膨らませ、そして膨れた塊を焼くと非常に美味であることが発見されました。パンの発明です。

欧米では、雑穀が朝ごはんのシリアル、グラノーラ、ムエスリ、ミューズリーとしても常食されています。日本でも朝食の欧米化のために若い人を中心に大人気。また中華由来の雑穀ブームから朝粥としても頂けます。

いわゆる雑穀は最近は健康志向から見直されてきてよく食べられるようになっていますが、それでもやはり、いまでも小麦の代用品。

中国首都北京周辺を中心とする中国大陸の上半分では小麦粉料理が主流。

世界中に小麦粉を主食とする地域が後代に広がっています。

もともと主食ではなかったとしても、欧米的な生活スタイルがグローバル化のおかげで世界中を席巻しています。

人類の食卓の主食と呼ばれる炭水化物の食物には、ほかにも米や玉蜀黍や芋類が考えられますが、小麦は群を抜いて大人気(米を常食される日本人は否といわれるかもしれませんが、人類はパンを数千年好んで食べてきました。コメは寒冷な土地では育ちませんが、小麦は寒さに強いのです)。

小麦粉から作られた、小麦粉の膨れたパンやケーキやマフィンは非常においしいのです。

欧米人は小麦を膨らませて焼いたパンを主食とします。そのまま食べてもおいしくない小麦は小麦粉にすると、非常に素晴らしい食品であるパンの材料になるのです。

でも世界中で穀物の粉で作られた膨れたパンが食べられたわけではありませんでした。

どんな穀物でも水を混ぜて捏ねれば膨れるわけではないのです。

だから良く膨れる小麦は重宝されました。

だから食品会社や小麦を栽培する農家は、長年かけて、ふわふわのパンが焼ける小麦を開発したのでした。ふわふわにならない小麦粉は麺類に使用されたりもしますが、やはり小麦粉のおいしさは膨れてふわふわになることにあります。

より多くのグルテンを求めて

人工的化学的な遺伝子改良などが叶わぬ時代にふわふわパンを開発する方法は、品種改良でした。

紀元前5000年もの昔、スペルト小麦Spelt Wheatと呼ばれる小麦が特別な小麦として栽培されていたことが考古学的発見よりわかっていますが、このスペルト主種にほかのさまざまな種類の小麦を長い年月をかけて掛け合わせてゆくことで、だんだんよりフワフワな、つまりグルテン含有量の多い小麦を開発していったのだとか。

美味しい食への執念。気候変化何も強い品種を気長に探しながら、よりグルテンを含んだ小麦を人類は生み出してきたのです。

こうして生まれたのが、

Sure to rise

必ず膨れます!

と銘打たれた「強力粉」と呼ばれるパン作りに適した小麦粉。

かつて、グルテンこそが正義だったのです!

強力粉のグルテン含有量は、普通の小麦粉(薄力粉)の倍量です。だからあんなにも見事に膨れるのです。

グルテンの副作用

しかしながら、おいしすぎるパンには毒がありました。

20世紀になり、小麦粉にアレルギー反応を示す人の存在に注目が集まり、小麦粉の内のグルテンを栄養素として取り入れられないセリアック症と呼ばれるアレルギーの存在が確認されたのです。

紀元前からパンを食べると体調を壊す人のことが記録されているようですが、20世紀になり、脚光を浴びるようになったのです。

ちょうど自閉症スペクトラムが20世紀終わりになって知られるようになったようなもの。自閉症は人類の始まりの頃から存在していましたが、これまで注目されなかっただけなのです。

でも小麦粉がこれほどに世界中で食べられるようになったのは、小麦粉の大量生産が行われるようになった19世紀産業革命以降のこと。

やがてはセリアック患者でもないのに小麦粉をたべると体調を崩すグルテン不耐性な人たちの存在が認められるようになったことは画期的です。

膨れる穀物の美味なる小麦は、実は有害だったのです。

ニュージーランドの私の住んでる町の隣のタウランガ市で開催されたTed Talkからの動画。

ニュージーランドのロドニー・フォード博士はグルテン不耐症を患者の症例から経験的にグルテンに問題があるのではという疑問を突き詰めて、グルテン不耐症を発見されたのでした。

セリアック病ではないけれども、グルテンフリーへと食生活を切り替えると、何千人何万人という人が健康的になったといわれます。

NZのスーパーマーケットにはGluten Freeと明記された食材が山のように売られています。

グルテンフリーな小麦粉代用粉製品
米粉などが主流

パンをふわふわにしてくれるグルテンは美味しい!

でもアレルギー反応を引き起こす食材であると決定づけられました。

全ての人がグルテン不耐性なわけではないようですが(今後の研究が待たれます)グルテン無しの生活を送ると腸内環境が改善されることも分かっています。研究者は小麦を食べることを止めると、全ての人がより健康的になると主張されます。

テニスのジョコビッチがグルテンフリーダイエットでテニスの帝王になれたと主張することにも一理あるわけです。

欧米ではパン食は当たり前。サンドウィッチをランチに食べない子供はいません。

「人はパンのみにて生きるにあらず」という2000年前に新約聖書に書かれた言葉は伊達ではありません。

パンが食生活の基本。

グルテンフリーという選択は画期的なことなのです。

禁じられた食材たち

グルテンは、マーガリンやパームオイルと同じ運命をたどるのでしょうか?

日本では禁止されていないようですが、海外の一部の国ではパームオイルやマーガリンは販売が禁じられています。または使用した場合は表示が義務付けられています。

MSG(味の素)も敬遠されています。新英単語のUmamiとして自然食の中のの旨味は復権していることも事実ですが。

世界の常識は日本のそれとはだいぶん違うようです。

不飽和脂肪酸 Unsaturated:アヴォカドやオリーブオイル
飽和脂肪酸 Saturated:動物性脂肪
Trans Fat=トランス脂肪酸:脂が酸化すると発生する=揚げ物やマーガリンなど。
コレステロール値を上げて発癌性物質ともなる
動物性の脂の成分は血管内に流れ込むと固まって血栓を作り出したりする
植物性や魚介の油は潤滑油のような役割を果たす

農作物としての小麦

地球環境的にも、水稲やとうもろこしと異なり、小麦は連作障害を起こす作物であることも知られています。残念ながら小麦粉と人類(地球)の相性は良くなかったようです。

というわけで、我が家は出来る限り小麦粉のグルテンなしの生活を送るように生活を改めました。

成果が現れるのはいつごろになるでしょうか。

わたしもパン食ではなく米食をすると便通が良くなることに気が付いていました。グルテンフリーを実践すると、慢性的な便秘や下痢が解消される人も多いそうです。肌にも潤いが出てくるそうです。疲れにくくもなるそうです。

別にグルテンアレルギーなどないであろう自分ですが、グルテンをなしにすると、より健康的な生活を送れそうです

科学的にまだ実証されてはいませんが、小麦はすべての人にとって、長期的に見て健康寿命を縮める食材と見做されるようになりそうです。

毎日食べるのに好ましくない穀物が小麦だったとすれば、なんという皮肉でしょうか。

人類はこれほどに小麦粉を愛してきたというのに!

小麦のパンは白米とは違い、脚気を引き起こさない栄養食として、戦前、旧帝国海軍に愛されましたが、腹持ちが良くないということも知られていました。

万能の食べ物なんてどこにも存在しないのです。

人類を溶かしてしまう砂糖

品種改良して人類が得た悪魔の食材には甘い味の果物があります。

この絵をご存じでしょうか?

ルネサンス期からバロック期のヨーロッパの絵画には、しばしば果物が絵画に描かれました。Memento Mori メメントモリ、つまり儚さの象徴として、すぐに傷んでしまう果物が絵画の題材として頻繁に選ばれましたが、品種改良される前の西瓜はこのような美味しくなさそうな果物でした。

現代手軽に購入できる甘い西瓜は品種改良されて作り出された果物で、自然界にはこんな甘い西瓜は存在しなかったのです。

いかにもまずそうなスイカ!

こんなスイカが幾多の品種改良を経て、いまではごく普通に売られている赤くて甘いスイカへとたどり着いたのです。

外国のスイカは日本産の真っ赤な品種改良された優良スイカではありません
スイカは日本のものが最高です

聖書のエデンの園で蛇に誘惑されたエヴァ(イヴ)が手にした果物は実はリンゴではなかったと言われています。

数千年前の林檎は現代のそれのように甘くはなかったはず。リンゴではなく、アンズやアプリコットだったなど、いろんな説がありますが。

それでも禁じられた果物をエヴァは口にした。

甘さとは禁断の果実なのです。

それ以来、人類は甘みを求めて目まぐるしい努力を続けてきたのでした。

自然界に普通に存在した甘さとは「蜂蜜」でした。

でも手軽に手に入るものではありません。

蜜蜂が花粉を集めて巣の中で発酵させて作られるのがハチミツ。

究極の発酵食品で、人工的に抽出された砂糖とは似て非なるもの。

怪我の治療にも役立つすごい食材です。傷口に純正のハチミツをガーゼに塗りつけて患部にあてておくと傷の直りが早いのです。紀元前から知られていた治療法ですが。

ミツバチ頼りのハチミツはいまもなお、人工的に作り出すことができません。

ニュージーランド特産のマヌカハニー

ですので人類の甘さへの希求は、大量生産が可能な食物であるサトウキビに辿り着きます。

でも抽出された砂糖の甘さは人類には毒でした。

行き過ぎた甘さは人の寿命を縮めてしまうほどのものでした。

甘さを古代世界においても手に入れることのできたエジプトのファラオたちは、遺されたミイラから、大抵はほとんどの歯を虫歯で失い、失明したり、鼻を失ったり四肢を損なうなどという重度の糖尿病を患っていたという分析が発表されています。

現代では当たり前な贅沢病、生活習慣病は紀元前には地上の覇者だけのものでした。

我が国の平安時代、地上最高の栄華を極めた藤原道長は残された日記などの記述から、ほぼ間違いなく糖尿病で命を落としたといわれています。

しかしながら20世紀に栄養価の高い食品の大量生産と流通が可能となり、人類の寿命は倍増しましたが、その分、人類の病気も倍増して、長生きしても食品アレルギーに苦しむ人が増え続けているのです。

今では先進国においては貧乏人ほど太っていて、お金持ちは痩せている。

アメリカなどの不健康な食に溢れた国の貧しい人は
安価なジャンクフードばかりを食べていて太り続ける
お金持ちはハイカロリーフードを食べてジムに通いカロリーを燃やす
このミームはアメリカと書かれていますが、中国でもオーストラリアでも同じこと
貧しい人ほど肥満体で生活習慣病を患っている
ジムに通える人は裕福です
時間も経済的余裕もあるので、高カロリーな食事をとって、ジャンクな食事から得たカロリーをジムで運動して燃焼しています
食べるために運動するのです!
見ているだけで気の毒になるアメリカの(おそらく貧困層の)子供たち

脂と砂糖!最悪の組み合わせ、悪魔のコンビネーションです。

快楽追及社会の行方

文明の発達とは、より生きやすい社会を作り出すことでした。

食生活の改善は人類の文明史の中核であり、おいしいパンを作り出すこと、おいしいパンを流通させること、人類の夢である甘さの追及が砂糖に汚染された現代文明を生み出したのです。

原油から生み出されるプラスチックもそうですが、利便性とサステイナビリティは必ずしも相容れないのです。

脱炭素社会が21世紀の標語ですが、脱砂糖に続いて(しかしながら砂糖なの代わりに健康被害のありそうな人工甘味料が幅を利かせつつあります。Zero Sugarを謳う食品は危険です)脱グルテン運動も始まるのでしょうか。

これからの食卓:食の安全の未来

砂糖、
グルテン、
トランスファット(不飽和酸脂肪ではない油脂)。

これらが我々の食卓から姿を消してしまうと、私たちの食事は何とも味気ないものとなることでしょう。

人によってはこのリストに牛乳も付け加えるのかもしれません。仔牛には完全食なミルクも、人にはそうであるとは限らないのです。

食品会社はこれらの目の敵とされつつある食材の代用品を探しています。

かつて大英帝国がサトウキビプランテーションを世界中で行ったように、新たな砂糖やら阿片やら石油に代わる何かを我々は探し求めるのでしょうか。

豊かな食事と豊かな文化的生活!

これほどまでに求め続ける豊かさの果てには何があるのでしょうか。

やはり求めるべきは物質的快楽ではなく精神的な満足感。自分を豊かにしてくれるものではなく、自分自身が変わるしかなさそうです。

でも社会的な存在である我々は自分一人が唯我独尊に充足していても良いわけではないのです。

品種改良された作物は飢饉に強かったりもします。でもそういう種が我々の健康に良いとは限りません。グルテンをたっぷり含んだ小麦のように。

ほんとに生きるって大変です。

家族の、友人の、隣人の、社会の健康を考えながら、本当に健康的で地球にも優しいライフスタイルを探してゆきます。

皆さんもいろいろ考えてみてください。




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