社労士的就業規則の作り方 34
鹿児島で社労士をしています原田です。
とっても長い条文の懲戒解雇で、これを含めてラスト3条です。
何回か書いてますが、モデルの解説に書いてあることのほとんどは、大事なことでも指摘していないので、そちらも読みましょうね。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第12章 表彰及び制裁 第68条
懲戒の事由
(懲戒の事由)
第68条 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
① 正当な理由なく無断欠勤が 〇日以上に及ぶとき。
② 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
③ 過失により会社に損害を与えたとき。
④ 素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。
⑤ 第11条、第12条、第13条、第14条、第15条に違反したとき。
⑥ その他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。
2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第53条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
① 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
② 正当な理由なく無断欠勤が 〇日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
③ 正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、 〇回にわたって注意を受けても改めなかったとき。
④ 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。
⑤ 故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき。
⑥ 会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。
⑦ 素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。
⑧ 数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないとき。
⑨ 第12条、第13条、第14条、第15条に違反し、その情状が悪質と認められるとき。
⑩ 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき。
⑪ 職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若しくは求め若しくは供応を受けたとき。
⑫ 私生活上の非違行為や会社に対する正当な理由のない誹謗中傷等であって、会社の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき。
⑬ 正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、又は業務の正常な運営を阻害したとき。
⑭ その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。
懲戒の事由は、多数の最高裁判例により規則上で列挙する必要があります。下級審では列挙してなくても有効になった裁判例もあるのですが、社労士が作るなら、リスクは低くするべきなので、どうしても列挙する条項が大量になる傾向があります。
私の作る懲戒の事由でも、この条文だけで3ページぐらいはあります。
第1項の⑥や第2項の⑭の包括条項で網羅していると考えることも可能ですが、より具体的な記載がある方が、実際に懲戒規定の対象になった場合に、違反行為をズバリ指摘できるので、運用面でもやりやすいと言えるでしょう。
ということで本文が長いので、少し端折りながらいきます。
第1項は、けん責、減給又は出勤停止の対象事由。
けん責と出勤停止ではダメージの大きさが全然違うので、一緒でいいのか問題はありますが、幅広く解釈して対応できる面ではこれもありかもしれません。個人的には一緒にしませんけど。
①では、無断欠勤の日数を何日にするかが気になります。けん責対象と考えるなら1日と考える方も少なくないでしょう。ただし定めたらきちんとけん責処分として始末書を取らないと条文の意味が無いので、現実的には実務上で可能な日数を定めるべきでしょう。
②~⑤はごもっともの内容です。特に⑤の条項はハラスメント違反なので、企業のハラスメント防止措置のひとつとして懲戒対象となる定めが必要となるでしょう。
⑥は前出の包括条項なので、必須条項です。
第2項は、原則懲戒解雇の話なので、第1項より重い話が出てきます。
①の重要な経歴詐称とはどの程度か?妥当性があるものでとっさに思いつくのは、仕事上で必要な国家資格等の保有が嘘とかだと、当然ですよね。
採用されるための条件として必須なものや決め手になった部分が詐称であれば、対象になりえるかもしれません。
②も、解雇対象の正当な理由なき無断欠勤を何日にするか問題です。14日~30日が多いように感じます。あまり短くして「結果的には許された」という状態が頻発しない程度にしましょう。
③も、解雇対象の正当な理由なき遅刻・早退問題です。厳しい目でみると1回で解雇にしたい気持ちも理解できますが、実際ほとんどは1回で解雇したくなったりはしないので、我慢できる範囲を定める方がいいでしょう。
個人的には一定期間内に〇回(例 1年に3回、月に2回)とかの定めにしている場合が多いです。
④~⑬は、ほぼ納得の内容。
⑭は前出の包括規定
個人的にどうしても追加したい項目として、
「けん責を受けたのに始末書を出さない」
の内容はより上位の懲戒対象として入れたいです。
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