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『米中AI戦争の真実』を読む

 書名にひかれて手にした1冊。うっすら感じていたことが現実になっていることを知らされた。
『1094年』という、全体主義国家によって分割統治される世界を描いた半世紀以上前のSF小説で、著者、ジョージ・オーウェルは、人々の無関心による民主主義の後退を危惧する本を多数出している。
 本書『米中AI戦争の真実』で著者が知らせたいのは、『1984年』の著者が危惧した暗黒世界をそのままずばり目指している外国政府が現に存在し、しかも成功しつつあることに日本人が早く気付くべきだということ。手遅れになる前に!
 
 AIの得意は"検索"と"監視"。膨大な情報を瞬時に読み取って分類する。それを材料に分析する。中国内には人口の何倍もの監視カメラが設置され、人民の行動を表情とともに収集している。通信内容の抜き取り傍受も当然だ。
 そこから各個人の思考傾向を分析することで、共産党独裁全体主義への抵抗意識を持つ者を監視するシステムが日々高度化している。
 政府の政策を論ずるための集会に出かけたら、会場には公安関係者が先に集まっていた。なんてことはごく普通。中国政府は電子決済中心だが、その目的も政治的。人民に信用度でシステム使用に制限をかける。その査定基準は、経済信用度に並んで政治的信用度(共産党への盲従性)にウエイトがある。
 そして怖いのは、中国共産党はこのシステムを、人類すべてに及ぼそうとしていること。そのためには他国の国民の情報が大量に必要だ。そこで中国製のパソコンにバックドアを仕込み、中国が敷設関与した海底ケーブルには送信情報パケットのコピー窃取システムを装着する。情報防衛に関心が薄い日本の個人情報はそっくり抜き取られていると心配すべきだという。
 旧自治省が手掛けた住民基本台帳コードが今のマイナカードになっているのだが、国民が今一つ積極支持しかねているのは、日本政府がせっせと収集する国民の基本情報が、北京の大型コンピュータにコピーされていることへの懸念である。情報を悪用することについては、彼の国のほうが激しい。個人情報収集への規制の法制も意識もないのだから。
 中国に出かけた要人の歓迎パーティーで主催者の側近から、「あなたの健康のために食材から禁忌品を除外しておいた」と感謝を求められてゾッとした。あなたの隠された病気を知っているぞとの脅しであり、ハニートラップ以上に効果的であろう。弱みを握るのが、「中国あっての日本です」と公言させる手っ取り早い方策である。というくだりは説得力がある。

 情報の大量解析は選挙対策にはとりわけ有効な方法とも。アマゾンがその人の閲覧、購入歴から、「次はこの商品を買いましょう」と働きかける。中国政府が持つ個人情報量は、その人のすべての通信歴、公的機関への申告記録などで比べ物にならない質と量である。それを基礎に、支持政党、支持政治家などをあぶりだす。そのうえで真偽取り混ぜての情報拡散攻撃だ。具体例としてオバマが勝った選挙での情報操作を上げている。(著者によればオバマ氏は大の親中派であり情報面で中国は有形無形の支援をしていたとのことだ)。

 組織的に仕掛けられたAI活用事例としてブレグジットを挙げている。国民投票で英国のEU離脱が決まったのだが、直後に数百万人から「催眠にかかったような状態で離脱票を入れてしまった。投票をやり直してほしい」と訴えがあったという。その催眠状態化にAIが関わっているとの主張である。

 彼女はファンド実績もある経営者であり、また著名ブロガー。ところが中国共産党に都合あるいことを発信したりすると、膨大な数の異論、反論が打ち返されてくる。それをやっている主力に「五毛党」がいる。中国批判の言論者を批判し、アカウント閉鎖に追い込む通報を行う匿名集団で、公式名称は「網路評論員」。中国政府に金で雇われアルバイトとして中国政府の言論操作の片棒を担ぐ。基本給のほかに投稿1本につき5毛(一元:約15円の別称)が支給されることから名づけられた。日本でも中国人留学生を中心に活動している。加えて、近時はなんとアフリカにも多数いるのだという。著者によると、かの地で日本語を学んだものの就職先がない。その彼らを中国政府が五毛党にリクルートしている。遥かアフリカから日本をけなす投稿をせっせとしている。木更津市その他でアフリカから人を呼んで永住させる計画があるようだが、関係あるのかどうか。これはボクの付け足し。

 個人情報の中には遺伝子関連も含まれる。武漢コロナが、実験ウイルスが過失で流出したのか、意図的にリークされたものか。疑惑は尽きないが、生物兵器転用できるのは科学的常識。民主主義国では倫理的に許さないとなるところ、そうしたタブーに頓着しないのが共産党の怖いところ。
「理性がしっかりしていれば危なくない。核兵器もバカな政治家が支配する民主主義国に持たせれば攻撃兵器になるが、共産党の偉い人たちが管理する限り、世界平和の守護手段になる」。これはボクが公立中学校で担任から一年間繰り返し説諭されたことである。
 筆者に話に戻ろう。世界人類すべてのDNA解析が進めば、民族によるウイルスへの耐性傾向が判明する。すると残した民族には害が少なく、かつ敵対民族には致死的なウイルスを製造して拡散すれば、銃弾を節約して民族浄化を完成させられる。
 
 でも人倫にもとる行為には中国人民といえども反対するだろう。そのとおり。そうした抵抗をなくすために人民の思想統制管理が行われている。もう一つの手段は人民の脳の改革であると筆者。多様な情報への接触を遮断することで、思考法を一面的にしてしまう。そして過去から連綿と続く知己や社会でのモラルである「超自我」(日本では「お天道さまに恥ずかしい」と表現されるモラルを壊してしまう。その具体策として「人権」を悪用する。
 記述を転記する。ーーー共産党をバックにした左翼団体が「男女平等」、「フリーセックス」、「大麻合法化」、「同性婚」などを推進しているのは、人間の意識を変化させるためだ。さらには超自我の一部に影響を与える作業をコンピューターにやらせようということだ。そういった、左翼の洗脳教育は、人工知能の世界ではポイゾン・アタックと呼ばれる偽データを人工知能に読み込ませる行為と共通している。ーーー(同書217頁)。

 共産党の支配者は自分たちの独善的統治を未来永劫続けたいと思っている。そこで自分の子どもには先のような思考法に染まらせたくない。それが中国共産党支配層の子弟の民主主義国への留学なのだという。民主主義国で学んだエリートが民主主義国攻撃の先兵になる。現象をずばり形容している。
 筆者の見解で面白かった点を紹介。AIに脳が侵されないようにする手っ取り早い方法が子どもを育てることだそうだ。幼い子と日々さまざまな会話をする。その過程で親子ともども常識やリテラシーを身に着け、あるいは再認識する。なんとなく納得。政府は出産増対策としてカネの話しかしない。そうしてバラマキ額は10兆円に増え、財務省は悲鳴を上げる。子育ては自身の成長のためでもある。それが共鳴されれば出産数は増える。ゼニカネの前に考えろ。この部分はボクの主張。

 ではわが日本はどうすればよいのか。AI大国に戻るために研究と実用にいそしむ。これが王道であることは間違いあるまい。だが、周回遅れになっている今日、即効薬が欲しい。著者の見解は、①中国に半導体技術を渡さない。②中国製ネットワークを使わない。③中国にデータを渡さない。
 しかるに日本政府には、対策以前にそもそも危機感がない。情報を盗まれたと申し出ても「それがどうした」と門前払いの経験を何度もしたと著者。著者に言葉巧みにすり寄り、技術の中国移転を進める工作員が登場するが、実は中国政府の情報管理部門大幹部の子弟。しかも日本人の戸籍を背乗りしている気配濃厚。好き勝手にやられている実情を暴露している。なんで「スパイ防止法がないのか」。
 ところで先の「ポイゾン・アタック」を情報保持防御手段として使っているのがロシアという。盗まれそうな情報にわざとインチキ情報を無限に潜ませ、それを盗ませる。そうすると解析しようとした窃取国のコンピューターが偽情報を振り回されて、とんでもない分析結果を出してしまう。あるいは情報過多でシステムダウンする。「専守防衛」だから異議を言い出す人はないはずだ。

 本書の著者である深田萌絵さん(後付けには本名も明記してある)の投稿には数十万人のフォロアーがいる。ということは本書の記載内容への信用度も高いということだ。

 

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