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コスパの外にある価値

こんにちは、サチです。

昨日、「世界が居場所になるということ」という記事を投稿しました。
フィリピンのショッピングモールへ向かうジプニーに乗って、ココナッツの木を眺めながら、頭の中では日本の幼稚園の謝恩会のことを考えていた、あのなんとも不思議な感覚の話です。

でも実は、この1日の出来事を振り返りながら、もうひとつ強く思ったことがあります。

それは、お金の使い方について。

ショッピングモールからの帰り、私たちはトライシクルに乗り、相場よりも高い運賃を支払いました。

もし昔の私だったら、あれは「大失敗」だったと思います。
でも今の私は、あの日の選択に満足しています。

今日は、その理由について書いてみたいと思います。


私は、あの45分を買った

本当は、バスかジプニーに乗るつもりでした。
トライシクルはちょい乗りには良いけれど、45分という長距離だと一番高くつく。
だからできれば避けたい、そう思っていたのが本音です。

でも、外は真っ暗で、横断歩道もない大通り。
大荷物を持って、子ども2人を連れて、すごい交通量の中を反対車線側へ渡る自信がありませんでした。
右往左往していると、目の前にトライシクルが止まり、「いくら出せる?」と聞かれました。

その瞬間、「800ペソ」と答えていました。

本当はもっと安く帰れる方法もあったはずです。
でも、そのときの私は、正解を探すよりも、「今、この状況を、どうやってストレス最小限に抜けるか」を選びました。

しかも、最後は1000ペソ渡して、“Keep the change.”。

こないだレッスンで習ったばかりのフレーズを、こんなタイミングで使うとは思いませんでした。


昔の私なら、きっと責めていた

昔の私がこの出来事を見たら、どう思うだろう。

「大失敗」
「なんでちゃんとバスを探さなかったんだろう…」
「相場より高いなんて、バカだったな〜…」
「最適解を選べなかった」
「…やっぱり、私って、ダメなんだよなぁ…」

そんな声が、きっと内側から聞こえていたと思います。

私は長い間、お金を「正解かどうか」で見ていました。

いくら得したか。
いくら損したか。
コスパはどうか。
最大限に回収できたか。
それが最適解に近ければ近いほど、「正解」であり「賢さ」であり、「価値のある私」だった。

だから、ウミガメを見に行かずにスーパーへ行ったことも、昔の私なら「超もったいない時間の使い方」「機会損失」と断罪していたと思います。

せっかくフィリピンに来たのに、どうして観光地じゃなくてスーパーなの?
どうして特別な体験を最大化しないの?

そんなふうに、自分で自分に減点をつけていたはずです。


でも、あの45分はただの移動ではなかった

トライシクルに乗っている間、私はずっと子どもたちを抱きしめていました。

扉やガードなどはなく、下手したら落ちるかもしれない。
揺れるし、正直、ちょっと怖い。
だから、自然とぎゅっと腕に力が入りました。

長男の肩。
次男の背中。
こんなにずっとくっついているの、いつぶりだろうと思いながら、私はただ黙って抱きしめていました。

あの45分は、ただの移動時間ではありませんでした。

少しの怖さと、少しの緊張と、でも確かな温もり。
もしバスやジプニーに乗っていたら、きっとこんな時間にはならなかったと思います。


私は、何にお金を払ったのだろう

あの1000ペソは、高かったのでしょうか。

相場よりかなり高い。
たぶん、そうです。

でも私は、あの時間を「損」だとは思えません。

私は、運賃に払ったのではなく、あの空間と、あの45分と、そして自分で選んだという感覚に払ったのだと思っています。

スーパーでの時間も同じです。
観光地ではない。
特別なアクティビティでもない。

でも、
「これニュージーランドでも売ってたよね」
「50ペソって安くない?」
そんな会話をしながらカートを押す時間は、決して“もったいない”時間ではありませんでした。

あれは、子どもたちの世界が広がる瞬間であり、私たちの生活が世界とつながる時間でした。


コスパの外にある価値

昔の私は、最適解を選べない自分を責めて自分の価値まで測っていました。

「高く払った」=「私は愚か」

そんな構図。

でも今は違います。

「高く払った」=「私はあの時間を選んだ」

コスパでは測れないものがある。
損得では数えられない価値がある。
そしてそれは、あとから静かに心に残ります。

あの日のトライシクルも、スーパーでの買い物も、きっと“正解”ではなかったのかもしれません。
でも私は、あの選択に満足しています。

あれは、コスパの外にある価値でした。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

追記:

フィリピン親子留学の中で起きたこうした気づきも、Kindle本『フィリピン親子留学のリアル〜3週間で起きた子どもたちと母の変化〜』にまとめました。
親子留学の体験だけでなく、その中で私の価値観がどう変わっていったのかも書いています。
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