【11/8 - 11/14】注目の海外スタートアップの大型資金調達
2025年11月第2週、米国のスタートアップ資金調達は再び活況を見せた。AIと防衛テクノロジー領域が資金の流れをリードしている。特に、コード自動化プラットフォーム「Anysphere」と防衛系新興企業「Chaos Industries」が突出した存在感を示した。
1. Anysphere——AIコーディング時代の象徴
シリーズDラウンドで23億ドル(約3,450億円)を調達したAnysphereは、今週最大のメガディールとなった。Accel、Thrive Capital、Andreessen Horowitz、Nvidia、Googleなど、名だたる投資家が参加し、評価額は293億ドルに到達。わずか半年前の3倍超に跳ね上がった。
同社の子会社「Cursor」は、AIによる自動コーディングを提供し、エンジニアの生産性を劇的に向上させるとされる。生成AIの次なる焦点が「開発工程の自動化」に移る中、Anysphereはその中核的存在となりつつある。
2. Chaos Industries——防衛テックの新星
2位には、ロサンゼルス拠点の防衛テック企業「Chaos Industries」が入った。同社は5億1,000万ドルを調達し、評価額は45億ドルに。ドローン対策レーダーや通信システムの開発に特化しており、Valor Equity Partnersがリード投資を務めた。
「新時代の防衛産業」として、AIや自律システムを取り込んだスタートアップが台頭している。米国防総省の次世代戦略「Replicator Program」などと連動する動きとして注目される。
3. D-Matrix——AIインフラの新基盤
シリコンバレーのD-Matrixは、2億7,500万ドルを調達し、AIデータセンター向け推論用チップの開発を加速する。Bullhound CapitalやTemasekなどが出資。生成AIの爆発的普及を支える「推論特化半導体」の需要を背景に、評価額は20億ドルに達した。
4. Gopuff——即時配送の再構築
フィラデルフィア発の即配スタートアップGopuffは、2億5,000万ドルを新たに確保。2013年創業以来、累計調達額は37億ドルを突破した。Eldridge IndustriesとValor Equity Partnersが主導し、ポストパンデミック後の需要再拡大を見込む。
5. Forterra——自律型防衛システム
メリーランド州のForterraは、2億3,800万ドルのシリーズC資金を獲得。Moore Strategic Venturesが主導し、防衛領域での自動運用技術の商用化を狙う。AIドローンや無人地上車両との連携も視野に入れている。
6. Skims——カーダシアン発ブランドの躍進
キム・カーダシアンが手掛けるアパレルブランド「Skims」は、2億2,500万ドルの新規調達を実施。ゴールドマン・サックスがリードし、評価額は50億ドルに達した。6年でD2Cブランドの象徴的存在に成長し、今後のIPOが噂されている。
7〜10位の注目企業
Genspark(2億ドル):AIエージェント構築ツールを提供。SBIインベストメント、LGテックベンチャーズが出資。
Harbinger(1億6,000万ドル):FedExなどが出資する中型EVメーカー。53台の初期発注も受注。
TeraDAR(1億5,000万ドル):テラヘルツセンサー技術の開発。自動車・防衛向けに応用。
Alembic(1億4,500万ドル):AIマーケティング分析ツールを提供。Accentureが出資し評価額6.45億ドル。
8. 総括——AI・防衛・リアルの融合トレンド
今週の資金調達動向からは、「AI × 現実産業」への資金集中という明確な傾向が浮かぶ。AnysphereやD-MatrixのようにAIインフラを担う企業と、Chaos IndustriesやForterraのような防衛系が並んで資金を集めている点は象徴的だ。
また、Skimsのような消費者向けブランドが依然として高評価を維持しており、AI一極集中ではなく多極化する投資エコシステムが形成されつつある。

