Snapchat × Perplexity 4億ドル提携が示す“次世代検索”の形
AIスタートアップのPerplexity AIが、Snapchat運営のSnap社に総額4億ドル(約620億円)を支払う契約を結んだ。目的は、自社のAI検索エンジンをSnapchatに統合し、同アプリの「My AI」チャットボットを強化することにある。
契約内容は現金と株式による支払いで、Snapは2026年から収益計上を開始する見込みだ。本稿では、この提携の狙いと両社への影響を整理する。
1. 提携の概要と規模
Snapは、11月6日に第3四半期(2025年Q3)の決算とともに、Perplexityとの大型契約を発表した。TechCrunchによると、契約額は現金+株式で4億ドル。Snapchatの月間アクティブユーザー数(MAU)は9億4,000万人を超えており、Perplexityにとって前例のない規模の流入経路を得ることになる。
SnapのAIチャット機能「My AI」は、ユーザーの質問に対してPerplexityのAIエンジンから直接回答を返すようになる。The Vergeはこれを「検索の民主化」と表現し、従来の検索バーではなくチャット型検索の主戦場がSNSに移る転換点だと評している。
2. Snapの狙い:AIで収益構造を再構築
Snapは、2025年第3四半期に売上15億1,000万ドル(前年比+10%)を計上し、損失を1億400万ドルへと縮小させた。Snapchat+の有料会員は1,700万人を突破している。だが、MetaやTikTokに押され、成長スピードの鈍化が課題となっていた。
AI統合によって期待されるのは次の3点だ。
滞在時間の増加:自然言語で質問・回答が完結することで、アプリ内回遊が強化。
検索広告の再設計:従来のキーワード広告から、文脈型リコメンド広告へ移行可能。
新たなマネタイズモデル:Perplexityからの4億ドルに加え、回答連動型広告収益を分配する可能性も。
Axiosは「SnapにとってAI検索は単なる機能追加ではなく、広告事業再生のトリガーとなる」と指摘している。
3. Perplexityの狙い:検索市場の“第三勢力”へ
一方のPerplexityは、OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」と競うAI検索スタートアップだ。テキストの要約・引用付き回答・情報出典提示など、透明性重視の設計で注目を集めている。
だが、流入チャネルの拡大が最大の課題だった。今回のSnap連携により、日常的に利用されるSNS経由で直接検索体験を届けられる点は極めて大きい。
TechCrunchは次のように評している。
「Perplexityは、検索そのものを“行く場所”から“会話の一部”に変えようとしている。」
この契約は、Perplexityが単なるAIツールから**“インターフェース企業”**へ進化する第一歩とも言える。
4. 今後の展望:SNS×検索の融合が進む
両社は2026年初頭までに機能統合を完了する予定だ。これにより、Snapchat上の「My AI」はニュース、商品、場所、人物などあらゆる質問に即時・文脈的回答を提供できるようになる。
この潮流は、次のような変化を引き起こす可能性がある:
検索流量の再分配:Google中心の検索構造から、会話型UIを持つSNS経由の検索へ。
広告エコシステムの再設計:AIによるパーソナライズ広告の最適化。
生成AIとソーシャルの融合:検索と投稿、発見が一体化する「AIネイティブSNS」への移行。
