「宇宙スタートアップ最前線:Orbit Fab・SpaceForest・NordSpaceが描く次世代イノベーション
宇宙産業が急拡大する中、オービットファブ(Orbit Fab)、スペースフォレスト(SpaceForest)、ノードスペース(NordSpace)といったスタートアップが、それぞれ独自の技術で重要な一歩を踏み出しています。GEO衛星のキセノン燃料補給、海上サブオービタル打ち上げ、そしてカナダ発の液体燃料ロケットの初飛行──今回はこの3社の最新ニュースを掘り下げ、各社の技術的意義や今後の展望を詳述します。
1. Orbit Fab:GEO衛星へのキセノン燃料補給へ前進
1‑1. ESAから€750,000契約を獲得
コロラド州に本拠を置くOrbit Fabは、欧州宇宙機関(ESA)の通信システム高度研究プログラムARTESの一環として、 €750,000(約87万ドル) の契約を英国オフィスにて獲得しました。この契約により、狭軌道(GEO)衛星向けにキセノン燃料の補給を実証するプロジェクトが動き始めました。
1‑2. 高圧対応RAFTIバルブ技術の実証へ
英国オフィスは、既存のRAFTI(Rapidly Attachable Fuel Transfer Interface)を高圧仕様へと改良する「Shilling」ミッションを発表。2026年初頭にインドからのライドシェア便で打ち上げ予定です。
1‑3. 既存衛星へのレトロフィット展開
今回がOrbit Fabとして初のプライム契約となるこの案件では、従来の衛星にRAFTIを取り付けることで、GEO軌道で複数回の燃料補給ができるよう改修します。これにより、高度維持、軌道変更、そして運用寿命の延長が可能になります。
1‑4. 汎用燃料・将来展望
Orbit Fabはキセノンに留まらず、ヒドラジン、水素化、ナイトラス・オキサイド、プロピレン、さらには水の補給も視野に入れています。将来的には月周回輸送や水を活用した持続可能な軌道経済構築を目指しています。
2. SpaceForest:海上発射でPerunロケットを軌道へ
2‑1. 北海Sea‑Launch契約締結
ポーランドのSpaceForestは、デンマーク沖に設置された北海の海上発射プラットフォーム(欧州宇宙機関/ESA後援)と契約を結び、自社のPerunロケットを2026年後半に初発射する計画を明らかにしました。
2‑2. 海上・そして地上(アゾレス)両線計画
さらに、ポルトガル・アゾレス諸島のSanta Maria島にある大西洋宇宙港(ASC)とも契約を結び、2026年前半に地上からのロケット打ち上げも併せて行う予定です。
2‑3. ペイロードと技術アセット
• 最高100 kmの高度に到達し、50 kgの科学・工学実験ペイロードを搭載可能。
• 精密スラスタ制御(TVC)、通信・回収システム、ペイロード統合インフラの実証に挑みます。
3. NordSpace:カナダ初の液体燃料サブオービタルロケット「Taiga」始動
3‑1. Taiga初飛行は「間近」
カナダのNordSpaceは、初の液体燃料を使用したサブオービタルロケット「Taiga」の初飛行を数週間以内(2025年8月ごろ)に予定しています。このロケットはJet-A/LOxを推進薬とし、自社開発の3Dプリントエンジン「Hadfield」を搭載します。
3‑2. ASX発→Tundra→Titanへと段階的発展
同社はニューファンドランドに独自の打ち上げ施設「Atlantic Spaceport Complex (ASX)」を整備中。Taigaに続き、2026年に完全なハイパーソニック飛行を行う予定で、さらに「Tundra」(500 kgペイロード、LEO到達)を2027年以降に展開予定です。
3‑3. 真の自主打ち上げ体制へ
NordSpaceはロケット・エンジン・宇宙港・衛星製造ライン全てを自国内での垂直統合を目指しており、月産1衛星、年1打ち上げの安定化を目標としています。
今後の注視ポイント
2026年早期〜後期にかけて、Orbit FabのShillingミッション&SpaceForestのPerun海上および地上2連動打ち上げが控えています。
NordSpaceのTaiga初飛行(8月予定)と、プログラムの進捗により、2026年以降のTundraへの進展にも注目です。
これら3社の動向は、宇宙資源循環や打ち上げインフラの多様性確保、さらには地域経済や国家戦略への影響も含め、“軌道経済”の実現可能性を大きく前進させる分岐点となるでしょう。
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