先週の米株最高値更新とミーム株再浮上が示す警鐘
2025年7月25日を終えた米国株式市場は、S&P500が約1.5%、NASDAQが1.1%上昇し、いずれも史上最高値圏を更新しました。トランプ大統領が日本との貿易協定で「日本製品の関税率を25%から15%に引き下げた」と発表したほか、決算シーズンも佳境を迎え、113社もの四半期決算が発表されています。その中で特に注目すべきポイントを、業種別・企業別に整理しつつ、「ミーム株の再浮上」が示す警鐘についても考察します。
1. 市場概況と主要企業の決算報告
1-1. 今週の株価動向
S&P500:年初来↑約9%、史上最高値更新
NASDAQ:年初来↑約10%、史上最高値更新
「Predicting how stocks react to earnings is a perilous exercise.(決算に対する株価反応の予測は危険な行為だ)」とEisman氏も警鐘を鳴らすように、市場のボラティリティが依然高い状況です。
1-2. 貿易ニュースと関税影響
トランプ大統領が日本との初の大規模通商協定を発表。従来の25%関税を15%に引き下げ。
日本は米国内に5500億ドル規模の投資ファンドを設立予定。
他国への締切りは8月1日と厳格で、交渉の行方が注目されます。
1-3. 決算発表状況の概要
先週:38社
今週:113社(金融セクター中心)
来週もさらに多くの決算発表が控え、情報過多の“データダンプ”状態です。
2. 業種別決算ハイライト
2-1. ワイヤレス通信会社
Verizon/AT&T:市場からは「安全株」とみなされ、株価は2000年水準を下回る。PEはそれぞれ約9〜13倍。
T‑Mobile:最良のネットワーク&低価格戦略でシェア拡大中。決算では「営業利益・売上高・新規契約者数いずれも予想上回り、通期ガイダンスを引き上げ」(Eisman氏)。PEは22倍とマルチイヤーハイ。
> 「T‑Mobile has a story and a relatively simple one.(T‑Mobileには、シンプルかつ明確な成長ストーリーがある)」
2-2. ケーブル・通信サービス
Charter Communications(コックスとの合併検討中):EPSは9.18ドル(前年8.49ドル)がアナリスト予想を下回り、新規ネット契約者数は-11.1万件と過去ワースト級。株価は週末に15%急落。
> ケーブル需要はコロナ期にピークを迎えた後、Netflix等による“コードカッティング”で減速。加えてワイヤレス参入で競争激化。
2-3. 住宅建設業
D.R. Horton/PulteGroup:中間金利上昇が販売を押し下げる中、インセンティブによる販売促進でマージン悪化。DHIは発表後↑13%と買われたものの、「ガイダンス上限を87,000棟→85,000棟に引き下げ」(Eisman氏)など、足元の業績改善ではなく、予想比悪化回避が材料視された格好。
2-4. 金融・産業関連
Equifax:住宅ローン依存度が高く、株価は2021年水準。2025年予想PEは約32倍。
General Motors:1株当たり利益は2.53ドル(予想2.33)と上振れも、前年同期比では下落。電動車補助金喪失や関税コストで株価↓7%。
nPhase(住宅用太陽光):2022年末340→現在35。金利上昇と補助金削減が直撃。
3. テクノロジー大手の業績と市場評価
3-1. AIインフラ&半導体関連
Amphenol:AIシステム用インターコネクトで急成長。四半期EPSは0.81ドル(予想0.67)と大幅上振れ。売上・EPSガイダンスも引き上げ。株価は97→105ドルに上昇。
GE Vernova:電力需要増でガスタービン好調。ただPEは2025年86倍、2026年53倍と“希少価値”が先行。
3-2. プラットフォーム&決済サービス
Visa/Mastercard:決済市場の寡占化が進む中、負け組決済企業(Fiser)は市場シェアを失い、通年ガイダンス下方修正で-14%安。
Google:検索へのAIショック懸念でPER19倍と低評価。にもかかわらずYouTube↑13%、クラウド↑32%と好調。
3-3. その他ハイテク銘柄
Chipotle:同一店売上▲4%と大幅減速。株価▲14%。PER37倍と高め。
Tesla:売上▲12%、EPS▲23%。中国メーカーの台頭と補助金廃止で苦戦。株価▲8%、年初来▲24%も“カルト株”需給は根強い。
4. ミーム株の再浮上:警鐘かノイズか
4-1. ミーム株現象の背景
2021年にGameStopやAMCがSNS発信で株価急騰。Eisman氏も「Getting involved with these meme stocks can be harmful to your health.(ミーム株に手を出すのは健康を害する可能性がある)」と警告。
4-2. 「Open Door」のケーススタディ
Open (NASDAQ: OPEN):住宅“即時買取再販”モデル。2021年高値35ドルから一時1ドル以下に急落後、SNSを使ったショートスクイーズで2.88ドルまで上昇。
Unicus ResearchのLakshmi Ganopathy氏は“強気な誇大宣伝”と一蹴し、ショートポジションを決済。
4-3. 今後のリスクと投資家への警告
GoProやKrispy Kremeなども一時50%超上昇するなど、“5ドル以下株”へのノイズ的買いが続出。
短期的なSNSバズで実需と乖離した過熱感あり。Eisman氏は「この動きは“frothiness(過熱感)”の兆候」と総括。
おわりに
米国経済のダイナミズムと決算シーズンの“データダンプ”は依然続きますが、一方で「ミーム株再浮上」は投資家心理の“泡立ち”を示すシグナルとも言えます。業績の本質を見極めること、そしてSNSに踊らされない冷静さが、今後ますます重要となるでしょう。
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