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2025.05.07 注目の海外スタートアップの資金調達5選

近年、人工知能(AI)やデータ分析、クリーンテック、サイバーセキュリティといった領域におけるスタートアップ・ベンチャーキャピタル(VC)投資は、世界的に加速しています。とりわけ2025年5月7日には、AIエージェントによるゲーム開発支援から、電気自動車用電池の性能予測、コードセキュリティ、さらにはギリシャ発のシードステージVCまで、多彩な分野で大型の資金調達が相次ぎました。本稿では、5/7の主要5件の資金調達を具体例と引用を交えて解説します。


1. Sett:ゲーム開発向けAIエージェント、シリーズAで2700万ドル調達


1-1. 背景と資金調達の概要

ゲーム開発の最前線にAIを導入するスタートアップ「Sett」は、2022年創業以来ステルスモードを貫いてきましたが、2025年5月7日、Bessemer Venture Partners主導によるシリーズAで2700万ドルを調達しました。これにはSaga VCやVgames、Tripledot創業者のAkin Babayigit氏率いるArcadia Gaming Advisorsも参加し、過去シードラウンドからの累計調達額は3900万ドルに上ります。

1-2. 製品とビジョン

Settが提供するのは、モバイルゲームの制作・運営を担うAIエージェントです。CEOのAmit Carmi氏は、「ゲーム業界は参入障壁が低い一方、成功確率は極めて低い。マーケティング用“プレイアブル広告”は効果的だが、制作には多大な時間とコストがかかる」と指摘します。Settは、従来、人手でコード・配置・計測していた広告コンテンツをAIで自動生成し、「従来の15倍の速度、25分の1のコストで作成可能」と謳います。

1-3. 業界インパクト

Tel Avivに拠点を置く同社は、ZyngaやScopely、Unityなど大手ゲーム企業多数と早期契約を締結済み。AppLovinが生産していたゲームスタジオ資産を8000万ドルでTripledotに売却する動きと合わせ、AIを用いたマーケティング支援の価値が市場で一段と認識されています。

2. WisdomAI:企業向けAIデータ分析、シードで2300万ドル調達


2-1. サービス概要

Rubrik共同創業者のSoham Mazumdar氏が設立したWisdomAIは、構造化・非構造化データはもちろん、エラー混在の「汚れたデータ」まで解析し、ビジネスインサイトを提供するプラットフォームです。5月7日、Coatueら主導のシードラウンドで2300万ドルを獲得しました。

2-2. 差別化ポイント

WisdomAIの特徴は、出力精度の高さにあります。Mazumdar氏によれば、同社は“生成系AI”を回答作成ではなくクエリ生成にのみ利用し、実際の回答はすべて顧客データベースから取得。これにより「モデルが誤答を生成するリスクを回避」し、コンコフィリップスやCiscoなどが初期顧客として名を連ねています。

2-3. 利用事例

たとえば、営業責任者が「今期どの商談に集中すべきか?」と質問すると、WisdomAIは保留中の案件リストと遅延要因を即座に提示。従来ならアナリスト数名と数週間かかる分析を、わずか数ステップで完了できます。

3. Breathe:電池性能予測ソフト、シリーズBで2100万ドル調達


3-1. 市場背景

中国の自動車市場では新モデルのサイクルが18か月と短縮され、電池開発にも迅速性とコスト効率が求められています。Breathe Battery Technologiesは、このニーズに応えるソフトウェアスイートを開発し、シリーズBで2100万ドルをKinnevik Online ABらから調達しました。

3-2. 製品ラインナップ

Charge(充電最適化)をはじめ、Design(設計)、Model(シミュレーション)、Map(実データとの連携)の4製品を展開。Oppoでは充電時間を27%短縮、Volvo ES90では20分で10~80%充電を実現するなど、実証実験で大きな成果を上げています。

3-3. 今後の展開

ロンドンの自社ラボで迅速なテストとモデル生成を行い、「シリコン設計のシミュレーションソフトと同様に、電池開発のアプローチを変革したい」とCampbell CEOは語ります。

4. Ox Security:AI生成コードの脆弱性検出、シリーズBで6000万ドル


4-1. 背景と資金調達

ジェネレーティブAIによる“vibe coding”が進む中、AI・人手両対応でコードの脆弱性を検出するOx Securityが、DTCP主導のシリーズBで6000万ドルを獲得。IBM VenturesやMicrosoftらも参加し、累計調達額は9400万ドルとなりました。

4-2. プラットフォームの特徴

創業者のNeatsun Ziv氏は「AIは生産性を高めるが、微細なセキュリティリスクを見逃すことがある」と指摘。Oxは脅威モデリングや修正提案、自動レポート生成を通じて、開発者とセキュリティチーム双方の負荷を軽減します。顧客はeToroやSoFi、さらに政府機関まで多岐にわたります。

4-3. 競合環境

SnykやVeracode、Checkmarxといった既存プレイヤーに加え、AI時代のコードセキュリティ需要増大を背景にOxは急速にシェアを拡大中です。

5. Marathon Venture Capital:ギリシャ発シードVCが7500万ユーロ調達


5-1. ファンドの概要

Athens拠点のMarathon VCは、日欧の市場でシードステージ投資に特化。5月7日、同社は新ファンドで7500万ユーロをクローズし、運用資産総額は1.75億ユーロに到達しました。

5-2. 投資方針と実績

PartnerのPanos Papadopoulos氏は「ディープテックやAI領域に限定せず、『業界を変える人』を支援する」と明言。過去にはAugmenta(1.1億ドル評価)やHack the Boxとのエグジット実績があり、国内市場に依存しないグローバル顧客の獲得を重視します。

5-3. ギリシャ・エコシステムの展望

「国内市場の制約が逆に創造性を促す」とPapadopoulos氏は語り、資本効率とグリット(粘り強さ)を兼ね備えた起業家が次々と台頭しています。

本稿で取り上げた5件の資金調達は、いずれもAI技術やデータ解析、シミュレーション、セキュリティ、そして地域特化型VC戦略という多様な角度からイノベーションを加速させるものです。各社の動向は、今後の産業構造や投資潮流を占ううえで重要な示唆を与えるでしょう。


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