宇宙製造から月面宇宙服、衛星打ち上げまで — 宇宙スタートアップ最前線
2025年7月に注目を集めた宇宙スタートアップ4社(Intuitive Machines/Space Forge、NASA/Axiom Space、Gilmour Space/Space BD)の新展開。いずれも宇宙産業の商業化・実用化に向けた重要な歩みであり、ミクロ重力を活用した製品製造、月面活動用宇宙服、そして地球外からの打ち上げサービスなど、多角的な取り組みが進んでいます。
1. Intuitive Machines × Space Forge: 宇宙半導体製造 + 地球再突入技術
1-1. パートナーシップの狙いと背景
Intuitive Machines(IM)が、マイクログラビティ環境での製造実験と地球へのセーフリターン技術を推進する中、英国のSpace Forgeが高純度半導体の宇宙製造を担う新提携を発表しました。これにより、完全欠陥なしのシード結晶を宇宙で生成し、地上でウェーハ加工することで、数千枚の高付加価値チップ製造が可能になります 。
1-2. フェーズ1の成果と今後の展開
テキサス宇宙委員会の資金支援により、12ヶ月間のフェーズ1では、C‑D‑R(詳細設計審査)を経て、2026年初頭には地上でのフルスケール模擬機の展示が計画中。IMのCTO、Tim Crainは、「宇宙探査の価値は、地球に持ち帰る産業製品にある」と強調します。
2. NASA × Axiom Space: 月面用宇宙服(AxEMU)の中性浮力試験
2-1. テストの意義
2025年5月、Axiom Spaceが開発中の次世代宇宙服 AxEMU(Axiom Extravehicular Mobility Unit)が、NASAの中性浮力ラボ(NBL)で初めて搭乗員によるテストを実施しました。共同で、通信・呼吸・冷却機能が検証され、月面EVAに必要な機能いっぱいの確認が進んでいます。
2-2. 意外に過酷な月面環境
AxEMUは、これまでにARGOS(擬似月面重力システム)で23回の試験をクリアしており、EVA装置・月面ツールとの統合性能も検証済 。しかし、水中でも重力は残るため、中性浮力試験では宇宙服が重量による制限を受ける構造の体感が重要です 。
2-3. 期待される次段階
AxEMUは、2025年末から2026年初頭にかけてCritical Design Review(CDR)へ移行予定 。“宇宙で着用できる月面宇宙服”という新商材の実用化に向け、安全性・柔軟性・耐久性の評定が加速しています。
3. Gilmour Space × Space BD: オーストラリア発・日本の窓口を通じた衛星打上げサービス
3-1. 提携とその背景
オーストラリアのGilmour Spaceが開発する小型3段式ロケット“Eris”に、Space BDが日本および世界市場向け統合打上げパッケージを提供する協力関係を開始しました。打ち上げ場は、オーストラリア・クイーンズランド州ボウエン宇宙港が利用されます。
3-2. 日本顧客にとっての意義
日本のSpace BDが、“90機以上の衛星ミッション”実績を持つ中、Gilmour Spaceとの提携により、アジア太平洋市場における打上げ選択肢が増加し、地理的・物流的メリットも享受できます 。さらに、第1回オービット挑戦は2025年7月16日が予定されており、気象次第で決行予定です 。
今回の4ニュースは、宇宙産業が「実用・商業化フェーズへ進んでいる証左」といえます。製造、運用、輸送の各領域において、地上では実現困難な技術革新が進んでいることがわかります。
宇宙製造(IM+Space Forge):高純度材料の創出と“地球への輸送技術”の成立
宇宙服開発(NASA+Axiom):人類にとって初の月面用服への進化
打上げサービス(Gilmour+Space BD):地域・業界を超えた衛星導入の選択肢増加
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