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資金調達の低迷と高騰、Web3市場の行方は?

米国の大統領選が終わり、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンを取り巻く世界では規制の緩和や業界の活性化を期待する声が高まっています。特に、2024年11月にドナルド・トランプ氏が再びホワイトハウスを奪還し、暗号資産にフレンドリーな政策を掲げたことで、投資家やWeb3業界関係者の間には、「このまま一気に市場が拡大するのではないか」という期待感が漂いました。さらに、翌月には、トランプ氏がデジタル資産に関する大統領令に署名し、国レベルでのデジタル資産ストックパイル(蓄え)構想や、暗号資産における包括的な規制枠組み(regulatory framework)を検討するための省庁横断の作業部会(interagency working group)の設立を宣言。かねてから厳格な“規制による強制”のアプローチをとってきた米証券取引委員会(SEC)のゲリー・ゲンスラー委員長も辞任を表明し、ビットコイン(Bitcoin)の価格は一時10万ドルを超えるなど、まさに“仮想通貨再興”の兆しが色濃く見えてきたと言えるでしょう。

crunchbase

しかし、Crunchbaseのデータを見ると、Web3関連スタートアップへのベンチャーキャピタル(VC)投資は、まだこの熱狂が反映しきれていない状況が読み取れます。2024年第4四半期(Q4)は、Web3分野に投じられた資金が18億ドル(267件のディール)にとどまり、これは2024年の第3四半期(22億ドル・326件)と比べて金額ベースでは18%の下落でした。一方で、2023年の同じ時期(15億ドル・348件)と比較すると20%の増加であり、全体としては「大きく落ち込んではいないが、劇的に伸びてもいない」という状態が続いているといえます。

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さらに2024年通年を振り返ると、Web3業界全体への投資総額は85億ドル(1,545件)。これは2023年の82億ドル(2,085件)と金額ベースではほぼ横ばいでしたが、ディール件数は約26%減少しており、スタートアップの数や資金調達の頻度が落ちている傾向が見られます。つまり、金額は同水準を保っているものの、「少数の大きなラウンド」で支えられている可能性が高いと言えそうです。

大型ラウンドの減速


2024年の第4四半期は特に、大型の資金調達ラウンドの本数が大幅に減りました。Q3には5,000万ドル以上のラウンドが9件あったのに対し、Q4ではわずか4件のみ。注目すべきラウンドとしては以下が挙げられます。

  1. Blockstream(ブロックストリーム)

    • モントリオール拠点のデジタル資産インフラを開発するブロックチェーン企業

    • 2024年10月に転換社債型ノートによる2億1,000万ドルの資金調達

  2. Public(パブリック)

    • ニューヨーク拠点の投資プラットフォーム

    • 株式やETF、仮想通貨、NFTなどを分散投資できるフラクショナル投資(fractional investing)サービスを提供

    • 2024年12月にシリーズD-2として1億5,000万ドル(内訳:株式1億500万ドル+負債3,000万ドル)の調達

  3. CrytocoinMiner(クリプトコインマイナー)

    • 英国拠点のクラウドマイニング(cloud-mining)プラットフォーム

    • 2024年11月に、1億ドルのベンチャーラウンドを実施

これらはQ4のなかでも特に大型に分類されるラウンドですが、全体的には大規模投資が明らかに減少。VCが次のステップに慎重になっている様子がうかがえます。

2024年の最大級ラウンド


2024年を通じて見ても、大きな存在感を放ったのは次の2社です。

  1. Infinite Reality(インフィニットリアリティ)

    • コネティカット州拠点のWeb3スタートアップ

    • 3D没入型のメタバース空間や体験を構築する

    • 2024年7月に3億5,000万ドルの調達を行い、評価額が51億ドルに到達

    • その後、2025年1月には新たに30億ドルの調達が発表され、評価額は122.5億ドルに上昇

    • 一時はSPAC(Newbury Street Acquisition)との合併による上場を検討していたが2024年12月に取り止め

  2. Monad Labs(モナド・ラボ)

    • ニューヨーク拠点のWeb3スタートアップ

    • 新たなプロトコルやレイヤー技術(layer technologies)を開発する

    • 2024年4月にパラダイム(Paradigm)がリード投資を行い、2億2,500万ドルの資金調達を実施

これらの超大型案件は、2024年のWeb3投資額全体を底上げしていた形といえます。一方、同年末から続く米国政局の変化やゲンスラー氏の辞任、ビットコインの大幅上昇など“暗号資産ブームの再来”を思わせる材料はあるものの、投資データを見る限り、ベンチャーキャピタルが一斉に資金を投じているわけではありません。選挙が11月に行われ、年末のホリデーシーズンも迫るタイミングであったことを考えると、「大口のディールは急いでまとまりにくい」という事情も大きいでしょう。

Web3の定義と今後のゆくえ


そもそもWeb3は「暗号資産(クリプト)」だけを指すわけではありません。ブロックチェーン技術、NFT、プロトコル開発、レイヤー1・レイヤー2ソリューション、トークンエコノミーなど多岐にわたるエコシステム全体を含みます。そのため、仮に今後暗号資産周りの規制が緩和され、大手VCが暗号資産関連スタートアップへの投資を加速させたとしても、Web3全体の投資金額が一気に跳ね上がるかどうかはまだ未知数です。

一方で、クリプトを中心としたWeb3領域は、以前FTXの崩壊から冷え込んだ投資環境が長く続いていた分、投資家サイドの“安値圏”を狙う思惑もあり得ます。市場が再加熱すれば、投資機会が豊富になるだけでなく、過去の失敗から学んだ新しい規制対応やリスク管理を行うスタートアップが登場する可能性も高いです。

総括すると、2025年に突入した今、Web3分野では暗号資産の復権をはじめとして大きな熱気が漂っています。しかし、データを見ると、投資額やディール数の推移は「少し停滞気味」とも取れる状態です。投資家側からすれば、FTXの崩壊や世界的なインフレ、景気後退リスクなど、慎重にならざるを得ない要因が依然として残っているのです。

とはいえ、規制の方向性が明確になり、2024年末のホリデーシーズンを経て交渉が具体化すれば、再び大型ラウンドが増えても不思議ではありません。特に、トランプ氏の大統領令によるデジタル資産ストックパイルの構築や、SECのトップ人事交代が今後どのような余波をもたらすのかは見逃せないポイントです。仮に暗号資産にフレンドリーな方向へと明確に舵を切れば、VC資金は一気に流入し、2025年のWeb3業界が文字通り“再興”を迎える可能性もあるでしょう。

これまでにない規模のメタバースプロジェクトや、分散型金融(DeFi)のさらなる進化が起こり得る未来は十分考えられます。今後の動向を注視することで、投資家・起業家双方にとって新たなチャンスが広がることは間違いありません。Web3の真の盛り上がりを期待しつつ、慎重さも忘れずに見極めていきたいところです。

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