2025.07.15 注目の資金調達5選
2025年上半期の米国スタートアップ向け資金調達は1628億ドルに達し、前年同期比で75.6%の急増を示すなど、依然として旺盛な投資マネーが流入する中で、今週も幅広いステージの企業が大型ラウンドや新ファンド立ち上げを発表しました。環境技術では、アンモニアを活用したクリーンエネルギー分野でBrooklyn拠点のAmogyが8000万ドル調達し、アジア市場向け商用展開を加速させます。インフラ管理では、オープンソースNetBoxプロジェクトを商用化したNetBox Labsが3500万ドルを調達し、累計調達額を5500万ドルに積み上げました。防衛分野でも、テルアビブ拠点のドローン企業が3000万ドルを調達し、米国での製造拠点拡大を目指しています。また、VC界では、Brian Singerman率いるGPxが5億ドル超のファンドを立ち上げ、Peter Thielを主要LPに迎える一方で、元SequoiaパートナーMatt MillerもEvanticで3億5500万ドルを確保しました。
1. 主要資金調達事例
1-1. Amogy:アンモニア発電技術で80百万ドル調達
Brooklyn拠点のAmogyは、アンモニアを“水素キャリア”として分離・燃料電池に送る独自技術を開発し、船舶やデータセンター向けクリーン電力を実現するスタートアップです。今回、Korea Development BankおよびKDB Silicon Valley LLCがリードした資金調達ラウンドで2300万ドルを新規調達し、直近の資金調達総額が8000万ドルに到達、企業評価額は7億ドルに上昇しました。
同社は日本、韓国、シンガポールなどアジア市場での需要を見込み、既存の化石燃料火力プラントや船舶で一部石炭・ディーゼル燃料と置き換えられるアンモニア燃焼に注力しています。排熱やNOₓ排出が問題となる既存のバイオマスへの代替策として、完全分解プロセスによる無排出電力の実現を目指しています。
1-2. NetBox Labs:AIインフラ管理で35百万ドル調達
NetBox Labsは、ネットワークインフラ管理のオープンソースツールNetBoxを商用化するプラットフォーム企業として2023年にNS1からスピンアウトしました。今回、NGP Capitalが主導、Sorenson CapitalやHeadlineなどの投資家が参加するシリーズBで3500万ドルを調達し、累計調達額は5500万ドルに達しました。この資金は、企業向けに信頼性の高いネットワーク運用・自動化ソリューションを拡充するために活用されます。企業ユーザーの間でスプレッドシートや分断ツールからの移行が進み、インフラ管理の“事実上の標準”として採用が急増しています。
1-3. イスラエルのドローン企業:米生産拡大で30百万ドル調達
Bloombergは、テルアビブに拠点を置くドローンスタートアップが3000万ドルを調達し、米国での製造拠点を立ち上げ・拡充すると報じました。資金は工場の建設や生産ラインの自動化に投じられ、月間数千機単位の量産体制構築を目指します。背景には、近年の中東紛争を契機に、防衛技術スタートアップへの投資が世界的に活発化している潮流があります。
2. 注目ベンチャーファンドの立ち上げ
2-1. GPx(Brian Singerman):500百万ドル超のファンド
元Founders FundのGP Brian SingermanとQuiet CapitalのLee Lindenが共同で立ち上げたGPxは、約5億ドル超を調達し、Peter Thielが主要LPとして参加します。GPxは資金の20%をプレシード・シードステージの新興VCファンドに、残る資金をシリーズB以降の有望ポートフォリオに投資する独自の“ハイブリッド・ファンド・オブ・ファンズ”モデルを採用しています。PitchBookによれば、このモデルの基盤となるファンド・オブ・ファンズ全体の調達額は昨年16年ぶりの低水準に落ち込みましたが、パーソナルブランドとネットワークを武器に差別化を図る戦略です。
2-2. Evantic(Matt Miller):355百万ドル調達
元SequoiaパートナーのMatt Millerがロンドン拠点で立ち上げたEvanticは、既に355百万ドルを確保しました。うち350百万ドルは外部LPから、5百万ドルは創業者やスタートアップエコシステム関係者の内部約束金で構成され、最終的に400百万ドルを目指します。当初は欧州市場に焦点を当てるとされましたが、シリーズB・グロースステージのB2B企業を対象に欧米両市場で投資を行うクロスアトランティック戦略を展開します。
クリーンエネルギーやAIインフラから防衛ドローン、そして資金運用モデルまで、今週は幅広い分野で大型資金調達と新ファンドの立ち上げが相次ぎ、2025年前半の投資環境が引き続き活況であることを示しました。特に、分散型の投資戦略やクロスステージ投資など、新たなアプローチを取り入れる動きが顕著です。これらの資金フローが各分野のイノベーション加速につながるか、今後の動向から目が離せません。
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