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ブラウザを制するものが次世代AIを制す―PerplexityのComet戦略とは

Perplexityは、AIを活用してGoogleに挑むことを目指す検索スタートアップだ。創業者であるSrinivas氏は、もともとGoogle DeepMindのインターンを経てOpenAIへ参加し、その後Perplexityを立ち上げた。本記事では、インタビューの内容をもとに、創業のきっかけやプロダクトの特徴、競合との違い、ブラウザ戦略、成長・資金調達、そして今後の展望までを解説する。


1. 創業の背景とインターン経験


Srinivas氏は、2019年にUCバークレーでPh.D.を取得後、Google DeepMindでインターンを経験した。当時を振り返り、Srinivas氏は、「DeepMindは、まるで別会社で、コアな人工汎用知能を追求していた」、「オフィス内のポッドで寝泊まりし、あらゆるリソースを吸収した」と語る。DeepMindの研究は、最先端である一方、商品化には至っておらず、最終的にGoogle本体へ統合された。こうした経験が、「研究だけでなく、実際にユーザーの手に届くサービスをつくる」ことへの思いを強めたという。

1-1. OpenAIでの学び

DeepMindインターン後、Srinivas氏は、OpenAIの立ち上げ初期メンバーとして参画した。ここでは、モデル開発だけでなく「AIをどう社会実装するか」という視点に触れ、検索エンジンの未来に関するビジョンを深めた。

2. Perplexityのコンセプトと特徴


Perplexityは、「回答機(answering machine)」を標榜し、ユーザーが“本当に信頼できる回答”を得られることを目指す。既存の検索では、リンク一覧に頼るが、Perplexityでは、「会話形式での回答」と「信頼できるソース(引用元)」を組み合わせる手法を採用した。

「Perplexityは、会話と回答の形で検索を再構築し、信頼できるソースを示すようにした。これは市場に出ているほかのチャットボットの設計図になった」

2-1. ハルシネーション(虚偽回答)への対策

多くのAIチャットボットは、“ハルシネーション”と呼ばれる誤った回答を生成しやすいが、Perplexityは、常に引用元を明示し、回答を要約して提示することで「誤情報を避ける」仕組みを構築している。創業初期、ある投資家から「誤答はむしろウケるから機能でありバグではない」と否定されたこともあったが、Srinivas氏は自社のアプローチを貫いた。

3. Googleとの比較と競争戦略


Googleは、膨大なインフラとユーザー基盤を持つものの、検索結果を改変すると広告収入が減少するジレンマに陥っている。Srinivas氏は、「Googleは何度も名称を変えつつAI検索機能を開発しているが、最終的には既存の検索体験を大きく変えられていない」と指摘する。

「Googleに必要なのは、検索結果をすべて変えること。しかし、広告収入を捨てられないため、真にユーザー体験を刷新できていない」

一方で、Perplexityは、「純粋にプロダクトとして役立つツールをつくる」ことに専念し、リンクや広告に囚われずユーザーに最適な回答を提示している。

4. ブラウザ事業への取り組み


次のフロンティアとして、Perplexityは、“ブラウザ”を再定義しようとしている。Srinivas氏は、「Chromeの成功がGoogleを支えたように、ブラウザこそが次世代AI企業の主要戦略になる」と述べ、独自ブラウザ「Comet」を開発中だ。ブラウザを「認知的OS(cognitive operating system)」として位置づけ、検索やナビゲーションにとどまらず、トランザクションや作業を一つのインターフェースに統合する構想を描いている。

「ブラウザは、インターネット体験のフロントエンド。これを再構築し、回答から行動までをシームレスに行える環境をつくる」

この戦略を通じて、ユーザーとの接点を増やし、従来の検索と決別した新たなエコシステムを築こうとしている。

5. 成長と資金調達


Perplexityは、2022年初日に約3,000件のクエリを扱ったが、2025年5月時点で月あたり7億8,000万件以上を処理している。月間成長率は、約20%と急拡大し、2025年には「週10億クエリ」規模を目指している。資金調達面では、直近で時価総額が3倍、さらに3倍と評価を伸ばし、約140億ドル(約1.9兆円)評価で5億ドルの調達を検討中だ。

「強いプロダクトと独自のビジョンが評価され、投資家は次世代の検索体験を実現する可能性を見込んでくれている」

創業初期には健康保険も自腹で対応するなど、スタートアップらしい苦労もあったが、「正しいプロダクトをつくれば資金は後からついてくる」と語る。

6. ハードウェアパートナーシップと未来展望


Perplexityは、「AIアシスタント」としてスマートフォンにプリインストールされる形での普及を狙い、MotorolaやSamsungとの提携交渉を進めている。Android端末のアクションボタンやジェスチャー操作で即座に対話型検索ができる体験を提供し、Google Assistantに代わる選択肢をユーザーに提示する意図だ。

「Googleは、プリインストールのままでは変革できない。Androidをもっとオープンにし、ユーザーがデフォルトのAIアシスタントを自由に選べる世界をつくる」

また、メディア各社と収益シェアモデルを検討し、引用元へのトラフィックだけでなく、クエリレベルの広告収入やサブスクリプション収益を分配する仕組みを模索している。


Perplexityが目指すのは、「正確性を重視したAI検索プラットフォーム」として市場を牽引することだ。既存の大手検索エンジンが利益構造に縛られる中、Perplexityは引用と収益の新しい関係を築きながら、回答→行動→トランザクションまでを一気通貫する体験を提供しようとしている。ハードウェアパートナーシップやブラウザ戦略が実を結べば、単なる検索ツールを超えた「認知的OS」としてユーザーの日常に深く入り込む可能性がある。今後も、成長のスピードと新機能の実装が注目されるだろう。


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