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95歳ウォーレン・バフェットが語った投資哲学── 「教会とカジノ」比喩、インフレへの備え、そして後継者abelへの確信

2026年5月2日、ネブラスカ州オマハのCHIヘルスセンターで開催されたBerkshire Hathawayの年次株主総会は、60年の歴史で初めてウォーレン・バフェットがステージ上にいない総会となった。Berkshire Hathaway株主は、オマハに集結し、伝説的創業者がステージにいない初の年次総会に臨んだ。2025年5月にバフェットが年末での退任を発表し、後継者のGreg Abelが2026年1月にCEOに就任した。

バフェットは、最前列に座った。その変化は印象的だった。しかし、CNBCのBecky Quickとの昼食時インタビューで語った言葉は、投資家にとって重要な示唆に満ちていた。

本記事では、バフェットのインタビュー全体を構造的に整理し、投資家・ビジネスマンが押さえるべきポイントを解説する。


1. 「全てうまくいっている」── 後継者Abelへの全幅の信頼


1-1. バフェットの開口一番

バフェットは、インタビューの冒頭で「全てうまくいっている。Berkshireにとって現金を展開する理想的な環境ではないが、正しい経営陣、正しい体制がある。自分たちのスポットを選べるし、誰にも指図されない。何もしないこともあれば、非常に活発になることもある」と述べた。

総会のステージでは、バフェットは、「今日は私のショーではない」と前置きした上で、Abelの選任から1年が経過したことに触れ、「これ以上良い決断はなかった。100%成功している。Gregは私がやっていた全てのことをやっており、しかも全てのケースでより良くやっている」と述べた。

1-2. 「ビジネスについて非常に賢い」

バフェットがAbelを選んだ理由について、「彼は、ビジネスについて非常に非常に賢い」と述べた。Abelは、カナダで育ち、アメリカ市民権の取得に近づいている。Berkshireの保険以外の事業を長年統括した後、CEO候補に指名され、2026年1月に正式にトップに就いた。

バフェットは、Abelがアメリカ市民権の取得試験を間近に控えていることに触れ、「彼のように成功した人物が、市民権を得ることに意味を感じている。それは買えるものではないし、パッケージ化もできない」と語った。

1-3. Abelの経営方針:継続と微調整

新CEO Greg Abelは、5月2日の初の年次総会を主催し、バフェットの原則と会社の文化への献身を改めて表明した。彼の主な目標は、微調整を加えつつも現状を維持することにある。

Abelは、コングロマリット解体の可能性を明確に否定。「絶対にありえない」と述べ、「我々のコングロマリット構造は官僚主義や膨張したコストなしに機能している。子会社の売却やグループの分離は考えていない」とCNBCに語った。

2. 「教会にカジノが併設されている」── 市場への警告


2-1. ギャンブル的投機の蔓延

バフェットは、昼食時のインタビューで、市場を「教会にカジノが併設されたもの」と比較した。「人々は、教会とカジノの間を行き来できる。教会にいる人の方が多いと思うが、カジノは非常に魅力的になっている」と述べた。「1日オプションを買ったり売ったりしているなら、それは投資ではなく、投機ですらない──純粋なギャンブルだ」。彼はギャンブルへの熱狂がピークにあると語った。「これほどギャンブル的な気分の時代はかつてなかった」。

バフェットは、Avisのショートスクイーズを例に挙げ、規制が増えても「人々はルールを守るよりも、ルールの回避方法を考えることに時間を費やす」と指摘した。

2-2. 投機と投資は別物

ただし、バフェットは重要な区別を加えた。「ギャンブル的な雰囲気があるからといって、投資がひどいわけではない」。しかし「非常に多くのものの価格が、いずれ馬鹿げて見えるだろう」とも述べた。

バフェットは、サイドラインからのインタビューで、投資家行動について直接的な観察を述べた。「これほどギャンブル的な気分の時代はかつてなかった」。彼は以前にも同様のコメントをしているが、Berkshireの新リーダーシップ下での初の年次総会で、S&P 500が過去最高値に近い時期にこの発言をしたことは、特別な重みを持つ。

3. 現金$3,974億 ── 「おいしい年」を待つ忍耐


3-1. 過去最高の現金残高

Berkshireの巨大な現金の山は成長を続け、第1四半期末で$3,974億に達した。内訳は現金$580億と米国財務省短期証券$3,390億で、合計$3,970億。2025年末の$3,730億から増加した。

Abelは、この現金がBerkshireに市場の不確実性における柔軟性を与えると明確に述べた。この増加は、Abelがバフェットと同様に、使うためだけに現金を投資する気はないことを示している。

3-2. 「60年で5回」の哲学

バフェットはインタビューで、「60年間ビジネスをしてきたが、本当に"おいしかった年"はおそらく5回だ」と述べた。IBM創業者トーマス・ワトソン・シニアの言葉「私はスマートなスポットにいて、そのスポットにとどまる」を引用し、これが全てだと語った。

「最も買い時になるのは、他の誰も電話に出ない時だ」──これはバフェットが繰り返し述べてきた原則だが、$3,974億のキャッシュを抱えた今、その言葉はかつてないほどの説得力を持つ。

3-3. 「何を知らないか」の認識

バフェットは自身の限界も率直に認めた。「10年前と比べて、全体に占める割合として理解できるビジネスが減っている。新しい産業を何年も学んでいない。若い世代に対して優位性があるとは思わない」。

しかし、同時に、「理解できるビジネスが20あっても、分かる1つを見つければいい。Appleのように」と述べ、少数の確信ある投資に集中する哲学を改めて強調した。

4. インフレへの警告 ── 「通貨への信頼を失うと別世界になる」


4-1. 暴走するインフレへの備え

バフェットは、「暴走するインフレには対処できない。その道から退くしかない」と述べた。「第二次世界大戦以降、私の生涯で暴走するインフレを経験した国は非常に多い。一度それを生み出すと、別世界になる。ドイツは第一次世界大戦後に経験したが、数十の国がそれを経験している。そして6回も7回も破綻した国もある」と語った。

4-2. ボルカーの教訓とパウエルへの信頼

バフェットは、Volcker元FRB議長の時代を振り返り、「あの頃は"現金はゴミ"と言われた。人々は6%の収益のために12%の金利で借りた。ネブラスカの農家たちは、ドルが消えても土地は消えないと信じて、収益力を超えた金利を支払って崩壊した」と語った。

パウエル議長については、「彼がいる方が、いない時より安心する。ボルカーがいた時と同じ気持ちだ」と述べた。

しかし「半ポイントの上下はコントロールできるかもしれないが、50ポイントの上昇はコントロールできないかもしれない」と、より大きなリスクへの警戒も示した。

4-3. 「予想外のことがダメージを与える」

「経済学者はこういうことが得意ではない」とバフェットは述べた。ポール・サミュエルソンの900ページの教科書に「ゼロ金利」の項目がなかったことを指摘し、「学生の生涯で最も重要な経済的発展が載っていなかった。考えもしないことがダメージを与えるのだ」と語った。

5. Tim CookとApple ── 「アメリカン・ビジネス史の奇跡」


5-1. バフェットのCook評価

バフェットは退任するApple CEOのTim Cookに「立ち上がってお辞儀を」と促した。Appleの創業者スティーブ・ジョブズの後を継ぐプレッシャーと、それにもかかわらず達成した実績について語った。「スティーブの靴に足を踏み入れて、あの実績を超えるのはどんな気持ちか。アメリカのビジネス経営史における奇跡の一つだ」とバフェットは拍手の中で述べた。

Cookは、今月、退任を発表し、Appleのハードウェア責任者John Ternusが後任となる。「スティーブが亡くなった時、我々が投資をしてBerkshireの資産の10%をTimに委ねた。彼はそれを税引前で$1,850億程度にした」とバフェットは語った。

5-2. 保有銘柄のCEO交代リスク

バフェットは、Coca-ColaのJames Quincyの退任やOccidentalのVicki Holubの引退にも触れた。「良い会社であるほど、CEO交代の問題が大きくなる。毎日売れる製品を持っていれば、長い間間違った判断を続けられてしまうからだ」。

そして、人を見極める難しさについて「離婚率を見てみろ。CEOの選定より重要なのは結婚相手の選定だ」と笑いを誘った。

6. ディープフェイクとAIリスク ── 「核兵器を持つ9カ国がある世界で」


6-1. 総会冒頭のディープフェイク・バフェット

株主たちは、AI関連リスクについて予期せぬレッスンを受けた。AbelがQ&Aセッンの冒頭で、見慣れた顔のビデオを再生したのだ。スーツ姿のバフェットが自己紹介し、なぜ投資家がBerkshire株を持ち続けるべきかをAbelに質問した。

Abelは、そのクリップがバフェットの一切の関与なしに作成されたディープフェイクだと告げ、公開情報だけで行動や声を再現できることを強調した。彼は、このデモンストレーションを使い、サイバー攻撃と偽コンテンツがBerkshireの事業に与える脅威の拡大を示した。

6-2. バフェットの懸念

インタビューでバフェットは、「最悪なのは、大統領の本当に精巧な模倣者が現れること」と述べ、1938年のオーソン・ウェルズによる「宇宙戦争」ラジオ放送を引き合いに出した。

「人々にお金を貸してもらえるほど説得力があるなら、借りるべきではない。恐ろしいことだ。特に核兵器を持つ9カ国ほどの国があり、さらに強力なものを開発している人々がいる時代には」と語った。

7. Q1 2026決算 ── 営業利益+18%、保険引受利益+29%


7-1. 好調な業績

Berkshireの第1四半期の利益は、投資価値の上昇と大半の事業改善により2倍以上に増加した。純利益$101億(Class A株1株あたり$7,027)で、前年同期の$46億($3,200)から大幅増となった。

Q1の営業利益は、前年同期比18%増。保険引受利益はGEICOを含む保険部門で約$17億と28.5%増加した。

7-2. 株式の純売り越し継続

Q1の営業利益は17%増、現金と短期国債のポジションは過去最高の約$3,800億となった。Berkshireは株式の純売り越しを続け、自社株買いも実施しなかったもう一つの四半期となった。

ただし、Berkshireは2026年3月4日に自社株買いを再開した。

7-3. 株価パフォーマンス

年初来の株価下落(5.9%)を受けて、Morningstarは$765,000(Class A)/$510(Class B)のフェアバリュー推定に対し7%のディスカウントで取引されていると評価した。

Berkshire Class A株は2026年に約6%下落し、2015年以来初の年間下落ペースにある。一方、S&P 500は年初来5%超上昇している。

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