【2/7 - 2/13】注目の海外スタートアップの大型資金調達
引用記事:
2026年2月7日〜13日の週は、スタートアップ史に残る1週間となった。Crunchbaseのデータによれば、Anthropicが、史上2番目の規模となるシリーズG調達を締め切り、ロボティクス・核融合・宇宙技術・ヘルスケア・AIシミュレーション・犬の長寿研究まで、多様な次世代領域への大型投資が相次いだ。先週のトップ10ラウンドを全社解説する。
1. 先週の頂点——Anthropic、300億ドルで評価額3,800億ドルに
調達額:300億ドル(約4.5兆円)/シリーズG
先週の圧倒的な主役は、Anthropicだ。サンフランシスコを拠点とする生成AI企業が、シリーズGラウンドで300億ドルを調達。ポストマネー評価額は3,800億ドル(約57兆円)に達した。
Crunchbaseのデータによれば、これは2026年最大の調達案件であり、ベンチャー史上でも第2位の規模となる記録的ラウンドだ。
ラウンドをリードしたのはシンガポールの政府系ファンドGICと資産運用大手Coatue。さらにD.E. Shaw & Co. Ventures、Dragoneer Investment Group、Founders Fund、Iconiq Capital、MGXが共同リードを務めた。
Claudeシリーズを擁するAnthropicはこの調達により、OpenAIやGoogleと並ぶAIフロンティアラボとしての資本的地位をさらに強固にした。次世代モデル開発・インフラ投資・安全性研究への投資加速が予想される。
2. ハードテック3社——ロボット・核融合・宇宙への巨額ベット
2-1. Apptronik(5億2,000万ドル)——ヒューマノイドロボットの累計調達が9億円超へ
調達額:5億2,000万ドル/シリーズA延長
テキサス州オースティンに拠点を置くロボティクス企業Apptronikが、2025年2月に実施したシリーズAの延長ラウンドとして5億2,000万ドルを追加調達した。これにより同ラウンドの累計調達額は9億3,500万ドル超に達する。
NASAとの共同開発実績を持つ同社は、汎用ヒューマノイドロボット「Apollo」の量産化を目指している。テスラのOptimus、Figure AIなどとともに、ヒューマノイドロボット市場への投資熱が衰えないことを裏付ける案件だ。
2-2. Inertia Enterprises(4億5,000万ドル)——設立2年の核融合新興に異例の大型シリーズA
調達額:4億5,000万ドル/シリーズA
カリフォルニア州リバモアの核融合スタートアップInertia Enterprisesが、シリーズAで4億5,000万ドルを調達した。設立からわずか2年の企業に対し、Bessemer Venture Partnersがラウンドをリード。Google Ventures、Thresholdなども参加した。
AIデータセンターの電力需要が急膨張する中、従来「リスクが高すぎる」とされてきた核融合への投資マネーが本格的に動き始めている。同社はレーザー慣性閉じ込め方式の商業炉実現を目指している。
2-3. Axiom Space(3億5,000万ドル)——ISS後継機開発に中東・民間資本が集結
調達額:3億5,000万ドル/新規ラウンド
国際宇宙ステーション(ISS)の後継となる商業宇宙ステーション建設と、NASAのアルテミス計画向け月面探査用宇宙服の開発を手がけるAxiom Spaceが3億5,000万ドルを調達した。Type One Venturesとカタール投資庁(QIA)がラウンドをリード。
ヒューストン発の宇宙インフラ企業に中東の政府系資金が流入した点が注目される。NASAの民間パートナーとして着実に実績を積み上げており、宇宙経済の「インフラ層」への長期投資が続く。
3. 生成AI第2弾——Runway、評価額が1年で60%増
調達額:3億1,500万ドル/シリーズE
AIリサーチ・テクノロジー企業Runwayが、シリーズEで3億1,500万ドルを調達した。General Atlanticがラウンドをリードし、ニューヨーク拠点の同社の評価額は昨年4月の33億ドルから53億ドルへ約60%増と急騰した。
Runwayはテキスト・動画・画像生成AIの研究・プロダクト開発で先行するスタートアップで、クリエイティブ産業でのAI活用において先進的な位置にある。OpenAI Sora、Googleとの競争が激化する中での大型調達は、同社の差別化への市場の期待を示している。
4. デジタルヘルス3社——精神科・患者支援・医療機関マッチング
4-1. Talkiatry(2億1,000万ドル)——保険適用精神科のデジタル化
調達額:2億1,000万ドル/シリーズD
健康保険ネットワーク内で精神科サービスを提供するTalkiatryが、Perceptive Advisors主導のシリーズDで2億1,000万ドルを調達した。累計調達額は4億ドル超に達する。
ニューヨーク拠点の同社は、企業・医療システム向けに精神科医へのアクセスを拡大するプラットフォームを展開。メンタルヘルス需要がコロナ禍以降も高止まりする中、保険適用モデルでのスケールを目指す。
4-2. Solace Health(1億3,000万ドル)——患者アドボケート市場でユニコーン入り
調達額:1億3,000万ドル/シリーズC
カリフォルニア州レッドウッドシティを拠点とするSolace Healthが、IVP(Institutional Venture Partners)主導のシリーズCで1億3,000万ドルを調達。評価額は10億ドル超となりユニコーン入りを果たした。
同社は複雑な医療システムを患者が自力でナビゲートすることを支援する「ヘルスケア・アドボケート」とのマッチングプラットフォームを提供する。設立4年での10億ドル到達は、患者支援領域の市場ポテンシャルを示す。
4-3. Garner Health(1億1,800万ドル)——最適な医師探しをデータで解決
調達額:1億1,800万ドル/シリーズD
患者が質の高い医療提供者を見つけることを支援するデジタルプラットフォームGarner Healthが、Kleiner Perkins主導のシリーズDで1億1,800万ドルを調達した。ニューヨーク拠点の同社はデータドリブンなアプローチで医師のパフォーマンスを評価し、保険加入者に最適な受診先を推薦する。
5. ユニークな2社——AIシミュレーションと犬の長寿研究
5-1. Simile(1億ドル)——AIエージェントが動く「シミュレーション世界」を構築
調達額:1億ドル/シリーズA
カリフォルニア州パロアルト拠点のSimileが、Index Ventures主導のシリーズAで1億ドルを調達した。同社はAIエージェントが活動する仮想シミュレーション環境の構築に特化したスタートアップだ。
自律型AIの訓練・評価・展開には現実に近い仮想空間が不可欠であり、いわば「AIが学ぶための世界」を提供するインフラ企業として注目を集めている。エージェントAIの台頭とともにシミュレーション技術の需要は急増しており、今後の成長余地は大きい。
5-2. Loyal(1億ドル)——老犬の寿命延伸薬、市場投入フェーズへ
調達額:1億ドル/シリーズC
サンフランシスコ拠点のLoyalが、ロンジェビティ(長寿)特化VCAge1主導のシリーズCで1億ドルを調達した。設立7年の同社は、高齢犬の健康寿命を延伸する医薬品の開発に特化している。
今回の調達は「後期開発段階から市場投入フェーズへの移行」に必要な資金と明言されており、FDA承認の見通しが立ちつつある段階での大型ラウンドとなった。犬の長寿研究は人間のロンジェビティ医療への示唆も多く、バイオ投資の新フロンティアとして関心が高まっている。
