音声入力アプリWispr Flow、会議ノートテイカー機能へ参入 ― 利用規約改定で判明、評価額20億ドル交渉中
音声入力(ディクテーション)アプリを提供するWispr Flowが、会議の議事録を自動生成する「ノートテイカー」機能を近く投入する見通しであることが、同社が更新した利用規約から明らかになった。TechCrunchの報道をもとに、その内容と背景を整理する。
一見地味なアップデートに見えるが、単なる音声入力ツールから、会議データを活用したAIアシスタントへと事業領域を広げる動きとして注目される。すでにGranola、Fireflies、Read AI、Otter、Fathomといった競合がひしめく「会議ノートテイカー」市場に、新たなプレイヤーが参入することになる。
1. 利用規約の変更から見えてきたこと
1-1. 「Meeting Data」という新しい文言
音声入力アプリのWispr Flowは、ツールの更新された利用規約によれば、会議ノートテイカーの投入を準備しているという。同社は利用規約とプライバシーポリシーの変更について、関連機能に対応するための措置として顧客にメールを送付している。
調査の結果、刷新された利用規約には、会議データとノートテイカーの利用に関する項目が新たに追加されていることが分かった。同社はノートテイカーについて、文字起こし、要約、アクション、インサイトを生成すると説明しており、「ノートテイカーにおいて、入力には会議音声、参加者情報、会議のメタデータ、話者ラベル、会議の文字起こしなど、会議に関連して処理されるその他の情報を含む会議データが含まれる場合がある。出力には、AIが生成した会議の文字起こし、要約、アクションアイテム、会議インサイト、話者の帰属、その他の会議関連コンテンツが含まれる場合がある」と記載している。
1-2. 録音を残すタイプか、システム音声のみのタイプか
この投入により、同スタートアップは、Granola、Fireflies、Read AI、Otter、Fathomといった他の会議ノートテイカーと競合することになる。Wispr Flowの共同創業者タネイ・コタリ氏は、以前のインタビューでAIアシスタントの構築について語っていたという。会議ノートテイカー機能を持つことで、Wispr Flowはユーザーについてのより多くのコンテキストを得られるようになり、発話の清書にとどまらない自動化をさらに進められる可能性がある。
なお、このスタートアップが、システム音声を利用し録音を残さずに会議を文字起こしするGranola型のノートテイカーを目指しているのか、それとも本格的な会議録画ツールを構築しようとしているのかは、現時点では明らかになっていない。
2. Wispr Flowの資金調達状況
これまでにWispr Flowは、8100万ドルを超える資金を調達しており、直近ラウンドでの評価額は7億ドルとされている。5月には、Bloombergが、同社が評価額20億ドルでの新規ラウンドについて協議中だと報じている。
短期間での評価額の急上昇は、音声入力・ディクテーション分野への投資家の期待の高さを物語っている。今回の会議ノートテイカー機能への参入は、こうした評価額の裏付けとなる事業領域の拡大とも位置づけられそうだ。
3. なぜ「会議ノートテイカー」なのか
Wispr Flowはこれまで、話した内容をきれいな文章に整形する音声入力ツールとして知られてきた。しかし、会議データという新たな情報源を取り込むことで、ユーザーの業務コンテキストをより深く理解し、単なる文字起こしを超えた自動化・提案機能へと展開できる可能性がある。
会議ノートテイカー市場はすでに、企業向けAIアプリへの拡大を進めるGranolaをはじめ、複数の有力プレイヤーがひしめく激戦区だ。この市場に参入することで、Wispr Flowは既存の音声入力ユーザー基盤を土台に、より広範な「AIアシスタント」としてのポジションを築こうとしているとみられる。
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