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「政府閉鎖でも株は上がる?」──関税×利下げ×AIがもたらす“生産性ブーム”の正体

米政府は、「事実上のシャットダウン」の最中だが、歴史的には、「政府閉鎖中に株価は上がりやすい」という指摘がある。足元では、雇用の下方修正(2025年3月時点で累計▲91.1万人)、ADPの弱さ(前月改定+5.2万人→▲0.3万人)、FRBの25bp利下げ、関税で粘着化したインフレ(2.5〜3%帯)が同時進行。供給サイドではAI・自動化が加速し、「ロールリング・リセッション」→「生産性主導の回復」という見立ても出ている。本稿は、各セクター/企業群にとっての含意を、与えられた発言・数値をもとに整理する。


1. 政府閉鎖と市場の逆説


政府機能が止まっても、投資家心理が完全に悪化するとは限らない。むしろ「不確実性=利下げ期待」が勝れば、リスク資産は底堅い。もっとも今回は、雇用悪化×インフレ粘着のミックス。「Fedは切るのか、切らないのか」という二律背反が続くが、追加利下げ余地は示唆される。

2. 雇用の実相:遅行指標と構造変化


「雇用は遅行指標」。ADPのマイナスや離職率の低下、失業期間の伸長(20週→25週)は景気局面の弱さを物語る。他方で「ChatGPT以降」の求人減少は、生成AIの代替効果を反映。新卒・ジュニア層の入口が狭まる一方、企業はAIと分析基盤(例:Palantir)で生産性を上げ、利益率を下支えしている。

3. 財政:OB3(One Big Beautiful Bill)と減価償却の衝撃


「米国で今後3年に建てる製造構造物は1年で全額償却」、設備・国内R&D・ソフトは恒久的に即時償却という“異例”の制度設計。これにより実効税率は10%台前半→1桁台に接近し、対内直接投資(FDI)と製造回帰を誘発する。引用すれば、「法定税率21%でも、減価償却を織り込めば、実効は約10%に低下」。資本コストの低下は設備投資再加速を後押しし、幅広い企業に恩恵。

4. 関税と物価:企業が“食う”インフレ


CPIは、2.5〜3%で膠着だが、「関税上げの一部を企業が吸収」している。結果、マージン悪化は想定より小さい。その代償として自動化・AI導入が前倒しになり、生産性改善→ディスインフレ圧力が強まる構図だ。

5. マネタリー:マネー、速度、イールドカーブ


M2伸び率は、+5%に回復。一方で貨幣の回転(速度)は横ばい。名目GDPは約5%が妥当レンジ。2年–3カ月の逆イールドはなお深く、「利下げを数回示唆」。ただし、技術起点のディスインフレが続けば、来年は利下げ打ち止めの可能性も。

6. 生産性ブーム:AIコストの“暴落”がもたらす再配分


「産業用ロボは累積倍増ごとに50%コスト低下(ライトの法則)」「AIは訓練コスト▲75%/年、推論コスト▲85〜98%/年」という劇的低下。“技術のデフレ”が、賃金インフレを相殺し、供給曲線を右に押す。AIインフラ(GPU、DC、電力)に資本が集中し、非AI領域の過剰・旧資産はリプライスされやすい。

7. 住宅:意図はあるが「今は買えない」


購入意欲は高いが、条件認識は最悪級。「2〜3%の既存ローン vs 6%台の新規ローン」で売り手が動けず、既存成約は低迷。新築は価格調整(モーゲージ・バイダウン等)で回復の芽もあるが、在庫負担が重い。住宅価格の鈍化〜下落はCPIに遅行反映し、今後のディスインフレ要因に。

8. 企業行動:データセンター偏重から“広がる”投資へ


非国防資本財(航空機除く)は、AI関連を除き弱含みだったが、データセンター実質投資は2.5倍へ。“第1波”のOpenAI/NVIDIA/Oracle発の投資が年率+35%前後で持続。OB3の減価償却インセンティブで、一般製造構造物の再加速が本格化見込み。電機・半導体・電力・産業機械・建設資材・物流など裾野が広い追い風。

9. マーケット・クロスアセット:ドル、EPS、金/ビットコイン


貿易加重ドルは、想定ほど崩れておらず、S&P12カ月先EPSは上昇基調。一方で、の強さは、「どこかに潜む不均衡(例:中国不動産・政策リスク)」への保険需要を示唆。BTC/金の長期上昇トレンドは継続仮説だが、足元は金優位の局面が混在。

10. 中国:テック回帰と「価格破壊」の再評価


新生産力」への政策転換を背景に、ロボティクスやEVでの競争力は健在。ただし、過度な値下げ競争は産業の自己破壊を招くとの反省が台頭。対米では、「フェア・トレードを巡る再交渉」が実現すれば、グローバル・サプライチェーン再設計は新段階へ。

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