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ASMLの決算、ただの“受注増”に見えるけど、本質は何?

オランダの半導体製造装置大手ASMLは、2025年第3四半期決算で極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の受注が予想を上回る水準となったことを報告した。中国向けの販売制限が続く中でも、TSMC(台湾)やSamsung(韓国)といったAIインフラ需要を牽引する顧客からの受注が堅調に推移している。

ASMLの株価は発表後に上昇し、欧州企業としては異例の時価総額9,000億ユーロ台に接近。アナリストの中には、2026年以降のAIデータセンター投資によるさらなる上振れを見込む声もある。

「AIプレイヤーによる需要が明確化しつつある。現在の受注はまだ序章に過ぎない」(UBSアナリスト)


1. サプライチェーンと地政学リスク


ASMLは、EUV装置に欠かせないレアアース(金属資源)確保についてもコメント。地政学リスクの高まりを受け、数か月分の在庫をすでに確保済みだという。

同社によると、レアアースの総使用量は生産コスト全体ではごくわずかだが、鏡や光学部品などEUV装置のコア構成要素においては不可欠な素材である。米中間の技術摩擦が続くなか、「供給網のボトルネック回避」は業界全体の焦点になりつつある。

2. 投資家の視点:AIブームは実需に転化するか


市場関係者の注目点は、AI関連設備投資が「実際の発注」としてどこまで波及しているかにある。
ASMLの四半期受注額は約50億ユーロと堅調だが、まだAIブーム全体の熱量を反映しきれてはいない。NVIDIAやOpenAIが発表する数千基規模のGPUクラスター構築計画が、今後12〜18か月で装置需要に転化するかが焦点となる。

「ASMLの装置納期は平均12か月。2026年納入分はほぼ予約済みで、2027年に向けた生産枠拡大が次の勝負になる」(HSBCリサーチ)

3. 中国依存の緩和と新興市場の台頭


2025年第3四半期のASMLの売上の約42%が中国向けであったが、同社は来年以降この比率が「顕著に低下」すると見込んでいる。米国の輸出規制を背景に、中国の顧客は旧世代DUV装置の前倒し発注を進めており、在庫調整局面を迎える可能性が高い。

一方で、韓国・台湾・欧州の半導体メーカーがAIサーバー向け投資を拡大しており、ASMLはこれら地域を中心とした「次の成長地図」を描きつつある。

4. 今後の展望:AIインフラ投資の第二波


AI関連需要の中心は、GPUからメモリ・フォトマスク・EUV露光装置へと裾野を拡大している。MicrosoftやCoreWeave、BlackRockなどの企業がテキサスで数十億ドル規模のAIデータセンターを新設しており、その波及効果はASMLを含む装置・素材サプライチェーン全体に及ぶ。

AIブームを“幻”ではなく製造業の成長エンジンへと転換できるか——ASMLの決算は、その分水嶺を示している。

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