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バイオダイナミック農法のアルケミ― (聖なる農業 第五章の3)               Sacred Agriculture         ーAlchemy of Biodynamics by Dennis Klocek より

第五章の3:バレリアン


薬用植物の組織

「規則正しい」植物とはどんな姿でしょうか? 植物の基本的な元型(Archetype)に従った姿とは?根と株元があり、茎があり、葉と節が付き、節のところで萼が展開し、花びら、雄蕊、雌蕊が種子へとつながる構造です。これを植物の「規則正しいパターン」と呼びましょう。多くの野菜はこのパターンを原案、元型としています。しかし、ハーブや単なる栄養以上の特性を持つ植物を見ると、この通常のパターンが変位していることがよくあります。

何故かハーブにおいては、ある器官が元型的植物でのその位置から上か下へ移動しています。この移動は植物内に一種の緊張を生み出し、その結果、その薬理作用が生まれます。これは、その生命ジェスチャーと構造にも現れます。例えば、シソ科(Labiate family)の植物では、開花プロセスが植物本体の下方へと移動しています。そして、普通は開花と結実に関連したオイルの生成プロセスが葉へと移行しています。つまり、特定の器官または器官原理のずれが、この食用植物のジェスチャーを決めているのです。実際の花はそこにありますが、精油の生成プロセスが植物の本体にあるので、シソ科の植物は、開花ジェスチャーが植物全体に分散されているのです。

植物元型(Archetype)から異なる位置へのずれがあり、その変位が植物内の物質の薬理学的特性と生理的効果を産み出します。その植物が特定の器官を変位したのは、特殊な生態系や気候条件を克服するためであったりします。その条件に適応するために、特定の作用原理や器官を形成するのです。
この原則を背景として、植物のアーキタイプにおける二つの主要な部分、すなわち「開花プロセス」と「成長プロセス」の相互作用の全体像を描き出したいと思います。開花プロセスでは、宇宙が周辺から植物に作用し、成長プロセスでは、大地と水が植物を大地から持ち上げる作用が働きます。成長は開花プロセスによって終了させられ、開花プロセスは成長によって抑制されます。

植物が利用できる肥料が多ければ多いほど、その成長は促進されます。この成長は開花プロセスを抑制します。肥料を与えれば、方程式の地球の側に余計に供給しています。栄養(水でさえも)を制限すれば、成長プロセスを抑えて、開花・結実プロセスを促進します。宇宙的な側面(開花、結実、オイルの生成、タンパク質の生成、種の生成、香りの生成)は、成長を制限することと関連しています。反対の極(葉、節、根の力強い発達、特に株元)は、植物の元型における地球側です。根と茎が交わる株元の部分は、植物にとって非常に重要な部分です。株元の辺りの器官は地球的なジェスチャーを表しています。なぜなら、植物は下の土壌溶液との関係を調整し、必要な成長物質を生成しているからです。そして、植物の下部樹液におけるより粗い物質が、次第に精妙な形態(アルコール、エステル、アルカロイド、フェノールなど)へと昇華されます。

つまり、植物の成長は地球とより関係し、開花は宇宙とより関係します。植物の器官間の特定のあり方は、植物がバランスを取ろうとしている力関係のために、変位している可能性があります。宇宙的原理が下方に変位したり、地球的原理が上方に変位したりして、植物の生命ジェスチャーと呼べるものが現れます。一般に、宇宙的原理が下方に変位すると、植物の下部により精妙な(Fine)質が生まれます。地球的原理の上方変位は、花や果実に粗い(Coarse)質が生まれます。生命ジェスチャーによって、その植物が地球と宇宙のバランスをどう取っているかが計れます。野菜であれ、多年性植物であれ、特定の分類群がどのような生命ジェスチャーを示しているかで、その植物群の特性を知ることができます。

土星原理と生命ジェスチャー

次に、バレリアン(Valerian)の生命ジェスチャーと、なぜバレリアンを土星(Saturn)の原理と関連付けることができるのかを考えてみましょう。そもそも土星とはどういう意味でしょうか? もし土星を植物として理解するなら、その根拠はどこに見出せるでしょうか? 土星的な植物にはどのような生命ジェスチャーがあるのでしょうか? 土星の諸力は堆肥の山にどのような影響を与えるのでしょうか? 興味深いのは、バレリアンが金星(Venus)とも関連している点です。その花冠は5枚の花弁を持っています。植物器官を検討する時、5という数字は金星の影響を意味することがよくあります。金星と土星は「処女」と「老人」として知られ、対極として対になっています。バレリアンは強い生命ジェスチャーを持っており、この金星と土星の両極性は、その特性の一部です。

土星について考えてみましょう。土星原理とか土星ジェスチャーと呼べる非常に興味深いイメージがあり、それは物質がより精妙になるプロセスと深く関わっています。古代の世界では、土星は宇宙が現象化する門とされていました。土星は門です。それは天球からの諸力の働きを代表しています。それらの諸力は熱と精妙さです。そこでは物質が霊へと移行するからです。周辺(Periphery)は、現象化した植物の背後に存在する潜象の原型が、活動的な存在として生きている場所です。周辺は、植物の原型存在が現象化するために通過する門です。土星は、霊から物質への受肉プロセスを表す暗号です。周辺の力は、混沌の潜象界に属します。しかし、その混沌は秩序立っており、特定の形態が生まれ、やがて現象化するのです。混沌は潜在性を指し、無秩序を意味するものではありません。混沌は、未顕現が顕現するプロセスです。私たちはこれを熱(Warmth 温かさ)と呼ぶこともできます。これを熱(温かさ)と呼ぶとき、私たちは錬金術の暗号を使っています。温かさは、顕現への情熱です。混沌の中では、まだ受肉してはいませんが、そのことを真剣に考えている。現象化の水に足を踏み入れるために、その水際に近づいて、実際に顕現するかどうかを確認している。これをシュタイナーは、土星的な混沌のジェスチャーと呼びます。

土星

植物の下部の混沌化は、その生命組織の気化の一種です。植物が種子や花を形成する時、自身の周辺部、すなわち自身の土星領域へと向かっています。植物が種子を形成する際、下から来たすべてを気化させ、現象化したものをより高次の組織へと昇華させます。この高次のレベルは、より精妙で、より未顕現な組織の形態です。香りとはそういうものです。それは天へと戻っていく物質です。開花の極とそこに現れる物質は、意識と深く関係しています。

つまり、生命ジェスチャーとしての土星は、周辺部の作用を表します。これらの力は、地平線の彼方にあるもの——不可視のもの、未知のもの——の性質をもたらし、それでもなお何らかの秩序があります。この極は、植物の器官を溶解させて種子を作る過程を表します。周辺部の力は植物を混沌化し、種子の胚に新しい世代の原型を誘導します。私が説明しているすべては、土星と呼ばれます。土星の意識は、やがて現れるすべてを包み込む叡智と温かさです。錬金術的に、これらはすべて土星、門、扉、光の入り口と呼ばれます。熱プロセスとして顕現する、「光の活動の入り口」というのは、もう一つの錬金術の暗号です。熱の活動が物質になると、リンと呼ばれます。リン(Phosphorus)という言葉は、光を運ぶ者という意味です。したがって、リンは情熱と光の力の最終的な顕現体です。私たちは、リンを受肉状態で保持することがほとんどできません。なぜなら、それは天球に戻ろうと欲しているからです。周辺に戻ろうとする衝動が土星であり、既に現れたものに対する周辺からの作用です。

何であれ、成ったものは、中心的(地球的)な力の作用を表しています。これらは物質、地と水の諸力であり、地上の現象化の力です。顕現したものは、無限へと戻っていく道が必要です。入ってきた土星の門を通って戻っていきます。植物の中では、固定的な性質のカルシウムや固定された火とも言える硫黄を、再び天球へと導くのが、土星の作用です。カルシウムを再び天球へ導くのは、塩の受肉プロセスの対極である活動としてのリンです。拡散し周辺に向かうジェスチャーは、物質としてのリンであり、宇宙的生命ジェスチャーとしての土星です。土星が植物で支配的になると、特定の生命ジェスチャーが現れます。構造的な鍵としてその目印になるものがあります。

アダルベルト・カイザーリンク伯爵によると:
土星の力は、植物が雄しべ(Stamens)を高く掲げ、花々の海の中で天に捧げるという特異な姿において明らかになります。一方、雌しべ(Pistils)は地面に引き寄せられ、茎から下がって発達します。雄しべと雌しべが離れて保持されることで、水平方向に空間が創造されます。このジェスチャーは、環を持つ惑星においても観察できます。

これは、最も外側と最も内側の強力な対極性と、それによって創造される一種の内的な空間です。カイザーリンク伯爵によると、それが土星です。これは、バレリアンの成長パターンでまさに観察されるものです。

テオシント と トウモロコシ

この図では、トウモロコシの原種であるテオシント(Teosinte)と、現代のトウモロコシ(Corn)を対比して見ることができます。原種のトウモロコシの穂は2インチ(5㎝)の高さでした。それはイネ科(Grass family)の植物で、穀粒は2つでした。そして、図で分かるように、雌しべと雄しべが分離しています。他のほとんどのイネ科では、雌しべと雄しべは互いを包み込んでいます。燕麦(Oats)や小麦では、雄しべは雌しべから受粉のために突き出し、その後脱落します。しかし、テオシントでは花粉形成器官と種子形成器官が茎で分離されています。その後、時間をかけて選択的育種により、雌しべは茎のもっと下へ、雄しべはもっと上へ移動し、現在では花粉形成器官と雌しべの間に1フィート半から2フィート(60㎝)の茎が存在するようになりました。この分離は時間をかけて発達したものです。

研究者たちは、この変化が数世代の間に起こったと指摘しています。まるで魔法のように、数世紀にわたる種子選択によってではなく、別の何らかの要因によるものだと言うのです。このような進化には数世紀かかるはずですが、そうではなく、土器からテオシントの跡が発見されていますが、突然、数世代の間にトウモロコシの穂が現れたのです。これが起こった仕組みや理由は全く分かっていませんが、おそらく、植物を扱ううえで、すでに失われた別の方法があったのかも知れません。

バレリアンの生命ジェスチャー

バレリアン

左はバレリアンの全体図です。非常に肉厚な株元と根、または根茎があり、長い茎が節間を伸ばして、空中に高く花序を突き出しています。ここにもまた分離が見られます。下方には地球的なジェスチャー、上方には天上的なジェスチャー、その間に広い空間があります。原型植物(Archetypal plant)と比べて、根茎とは何でしょうか? 通常地面の上にある茎が、下に引っ張り込まれたのが根茎です。つまり、バレリアンの一部には、宇宙を引き降ろすようなジェスチャーがあります。地面の下の茎、宇宙を引き降ろすジェスチャー、これが根茎の本当の性質です。さらに、植物の成長部全体を貫く強い香りがあります。成長部に降りた強い香りも、宇宙を地上に引き降ろすことを示しています。そして、カイザーリンク伯爵が既述したように、株元と花序の間には長い分離があり、最後に上方に高く掲げられた花の海が現れます。その間の何もない空間は、土星のジェスチャーの印です。

今度は右の写真で開花原理を見てみましょう。一つの花と、下部に小さな果実または種子が確認できます。この管状花冠にも、種と花弁のずっと上まで伸びた同じタイプのジェスチャーが見られ、花柱の柱頭はさらにその上まで伸びています。管状花冠は雄しべを包み込み、その頂部から突き出ている小さな器官が柱頭です。開花時には、変形した萼からなる冠毛(パプス)があります。これは最終的にタンポポのように小さな傘となり、種子が飛んでいくのを助けます。花の中でさえ、種子は持ち上げられ、周辺へと散らせれます。バレリアンには2つのジェスチャーがあります。一つは宇宙を根に引き降ろすジェスチャー、もう一つは開花過程のすべての部分を周辺へ送り出すジェスチャーです。これは、土星のモチーフである2つの原理の分離です。このように、土星ジェスチャーは、大地が下に引き下げられ、宇宙が上に押し上げられ、新しいものが生まれる内的空間を創造する動作です。

より深く洞察するなら、宇宙は下から押し上げられるのではなく、上から引き上げられるという認識に至ります。花は中心から遠ざかっていくのか、それとも中心へ向かっていくのか、という問いが生まれます。どうして周辺が中心になれるのか? この問いは、土星の活動を理解するために必要な思考の一例です。

天球からの諸力は爆発的ではなく吸引的なものであるという、シュタイナーの洞察があります。これらの力は、無限に遠いところに中心を持っているということです。このイマジネーションでは、地上の存在は死んで、宇宙的諸力の天球へ入ります。霊は肉体を離れ、宇宙の果てへと向かいます。これが一方の極です。反対に、霊的な諸力と存在たちは、地球上で現れている実体の中心へ死にます。宇宙の力はここで死ぬのです。地球上で現象化した実体は、ここに中心を持ち、無限の彼方へ向かって成長し、最終的にそこへ死にます。成長は無限の彼方へ死ぬのです。無限の彼方で、無限の潜在性と共に原型として存在する霊的な存在たちは、その潜在性を失い、ここにある実体として現象化した姿に死んでいくのです。

植物の原型(Archetype)は、現象化した地球上の植物として死にます。しかし、地上の植物は天の果てで死ぬために成長します。これらの二つの道は、植物の成長パターンにおいて互いに絡み合います。そして、植物の成長が周辺へ向かう過程で、その原型存在に資するものがあります。すなわち、その生命過程で経たすべての感覚体験と言うべきものです。それは、植物が花と種を結ぶ際に、天球の諸力へと戻っていくエネルギー的な雛型として、植物の原型の中に含まれます。このドラマは、種子形成プロセスが混沌へ入る際に、コード化されます。これはすべて、彼方からの宇宙的諸力の門である土星の働きのイメージです。

私が受肉していない時は、無限の彼方の別宇宙に生きています。受肉している時は、地球の一隅の私の空間に存在しています。その二つのプロセスが生命形態として融合した時、その形態は植物と呼ばれます。すべての植物は、この二組の諸力をそれぞれ異なる方法で組織化しています。

私たちが見る植物は本当の植物なのでしょうか?いいえ、本当の植物は足跡を残していくエネルギー的な存在であり、その存在の鋳型を持つ原型的な存在のイメージです。私たちが植物として目にするのは、本当の植物の足跡、というか骸です。本当の植物は、種から次の発芽までの間にあるすべてです。発芽が起こると、それは離肉(霊化)に向かい、物質に満たされた足跡を私たちのために残します。真の植物は、宇宙で展開するリズム的で敏感な不可視の活動であり、それは、潜在性と現象化の間の空間を占めています。一方で地球上の植物は、現象と潜在化の間の空間を占めます。

一部の植物は空間を急速に満たしますが、バレリアンなどの植物は、空間を引き伸ばし、新しいものが入り込む余地を作ります。土星的諸力が現象と非現象(潜象)を分離する時、何か異なることが起こり得ます。現象化への新たな熱意が生まれる可能性があるのです。バレリアンは、現象と非現象の両極を橋渡しする専門家です。なぜなら、それは湿った場所に住みながら、暖かさと光を愛するからです。すべてのハーブは、何らかの形でこのような対立を調和させる専門家です。しかし、バレリアンは特別な専門家です。それは多くのパラドックスを統合します。それは甘いですか、それとも臭いか? 答えは「イエス」です。

それは光と温かさですか?水が好きですか?答えはイエスです。私たちを眠らせるのか、それとも目覚めさせるのか?答えはイエスです。この土星的働きにおいて、実際には何もない中心部の空間に、強力な諸力が生み出されます。左の図を見れば、茎に沿って多くの節間スペースがあることがわかります。節の数よりも、節間の方がはるかに広いのです。右の小さな花序を見てください。その管状の花冠はロケットのように伸びています。

バレリアン

土星ジェスチャーと呼ばれる内空間を創造する行為は、バレリアンの諸器官を貫いています。次の図は興味深いダイアグラムです。松の木が両側にありますが、片方は逆さまで、プロジェクターやピンホールカメラを連想させます。中央の線が交わるところがピンホールです。伝説によると、ある日、羊飼いたちがテントの中にいると、壁に、外を逆さになって歩く動物の姿が見えたといいます。画像の源をたどると、テントの側面に開いたピンホールから光が差し込んでいました。テントの中は暗く、ピンホールは外で起こっていることを反対側の壁に投影していました。これがピンホールカメラの発見の経緯だといいます。

ピンホールカメラ

ピンホールカメラにはレンズはなく、ただ穴があるだけです。その穴は、片側からの光を集め、もう一方の側に投影する、投影点です。この投影装置は、光を穴の反対側に完全にそのまま伝達しますが、投影された画像は逆さになって現れます。土星とは、宇宙の一方から地球への光の投影装置です。宇宙の門として、外から来るものを内側に投影します。しかし、投影装置がある真ん中には、何もありません。

この現象と非現象の間の宇宙的なダンスにおいて、「空(Nothing)」が大きいほど、何かが「空」に興味を示すようになります。「自然は真空を嫌う」。空間があるところには「空」があります。それは何かが現象化せずにおれない空間として機能します。上の図において、非常に興味深い現象が見られます。一番上の一組を普通の松の木と呼びましょう。二列目の一組では、左側の松の木が左側に押し出され、それに応じて、右側の松の木の像も右側に押し出されます。三列目の左側の松の木を地平線へ向かって押し出すと、それは小さく見えます。同時に、右側の像も後退し、小さくなります。左側の松の木を地平線に消えるまで押していくと、右側の像も同時に消えてしまいます。それらはどこに消えていくのでしょうか?地平線です。地平線は、世界の中で私がいる場所を取り囲む周辺であり、すべてが消えていく場所です。私の世界は、可視世界の円の中心から約7マイル離れた場所で消えていきます。地平線には消失点があります。消失点は、周辺に存在する一種の投影装置です。

図の二列目では、投影装置が物体を周辺へ、水平方向に移動させます。実際の松の木とその映像は、投影装置の働きによって結びついています。三列目では、左側の実際の松の木が投影装置に非常に近づいています。右側の投影された映像も同様で、投影装置に近づいているように見えます。拡大縮小は、中央の投影装置の働きに任されています。実際の松の木を投影装置の方向に引き寄せると、それはより高くなるように見え、投影された映像も同じように高くなります。松の木を中央まで完全に引き寄せると、それらは非常に高くて細くなり、垂直線になってしまいます。実のところ、それらは投影装置上で交差し、重なります。その松の木を中央から真直ぐ周辺部へ押していくと、それは水平線になります。つまり、中央の投影装置、「空」の空間の働きは、両側からの力を投影します。それは、垂直と水平が一点で交わる空間です。

土星

 この図を見ると、どのような特徴が観察できますか?この惑星は、強い垂直軸と水平面上の環を持ちます。水平と垂直という強いコントラストの両極があります。植物の世界において、すべての植物は水平と垂直の二つの極性が組み合わさった姿ですが、バレリアンを見ると、株元では水平力が支配的であることがわかります。開花の極では、垂直力が支配的です。しかし、中心部では、二つの極性が強く分離しています。バレリアンでは、水平と垂直の極性が極端に対置しています。水平と垂直の力の原型たち(Archetypes)が構成する働きの場を使って、植物は生命ジェスチャーを展開します。植物の若い部分、例えば開花部などは、より垂直的であり、植物の古い部分、例えば株元や根などは、より水平的です。成長点の若い葉は上向きに伸び、成長点の古い葉は横向きに伸びます。このように、垂直力は宇宙に繋がる新しい力を表し、水平力は地球に繋がる古い力を表します。だから、植物の中では常に垂直力と水平力が、交互に働いています。植物の生命ジェスチャーは、これらの二つの力をどう調和させているかのイメージです。
バレリアンでは、一つの花の中でさえも、垂直と水平の極性がはっきりと対置されています。植物におけるこれらの極性が強ければ強いほど、植物はそれらをバランスを保つために強靭でなければならないのです。だから極性が強いほど、植物内の作用はよりダイナミックになります。一方、極性が中和されていれば、植物は野菜に近づきます。両極が分離されるほど、植物内にある種の緊張が働いており、ここに、ハーブや薬用植物の薬理学的特性が見いだされます。

空洞のある木

『Developing Biodynamic Agriculture(バイオダイナミック農業の展開)』という本の主な内容は、シュタイナーが亡くなった後から第二次世界大戦直前までの期間に行われた実験についてです。ヨーロッパの研究者たちは、さまざまな種類の小麦や穀物を開発しようと試み、空洞の木を特殊な堆肥を作るための容器として使用する実験を行いました。この写真はプラムの木の中空の幹を示しており、ここには、土星ジェスチャーが見られます。人々は森に入ったり、果樹園の古い果樹を見つけたりして空洞の木を探し、その中で堆肥を作りました。その後、その堆肥を使って、ある種の穀物の種を浸したり、噴霧したりしました。その目的は穀物の表現型(Phenotype)を変えることでした。彼らは、実の数が多くても穂先が非常に短いライ麦を得ようとしていました。彼らは、植物が宇宙からの諸力を受けとめる仕方に影響するために、空洞の幹に存在する土星的な力を利用することができるかを、試していたのです。

残念ながら、第二次世界大戦中、これらの人々は戦乱の地域に住んでおり、多くの畑が通過する軍隊によって破壊され、記録の多くも失われました。それでも、その本を編纂するのに十分な資料が保存されていました。彼らが特別な堆肥を作るために空洞の幹を使用したのは興味深いことです。彼らは、空洞の空間が活性化する容器を作りたかったのです。木の空洞は、角や内臓のように、鞘(Sheath)となります。異なる種類の器官を用いて、土星的諸力を集中させようとしていたのです。ここに見られる土星的ジェスチャーは、中央に空洞空間を持ち、周辺部で働くような力です。

バレリアンの薬理学的特性

次に、バレリアンの人間への作用、特にバレリアンの根について考えてみましょう。なぜなら、これも土星的な諸力を示しているからです。バレリアンの薬理学的特性を調べると、興味深い特徴が浮き彫りになります。医師や化学者が植物の成分を分析する時、3つのグループで見ていきます。1つ目は、アルカロイドがあります。これは、アルケミストが「塩」と呼ぶ物質のグループに入ります。「塩」の中には酸と塩基があり、これらの両極とも「塩(Sal)」と呼ばれます。酸と塩基を混ぜると、溶液から塩が沈殿します。アルカロイドは錬金術的に「塩(Sal)」の極にあります。

2つ目に、化学者はテルペン(Terpenes)を探します。これはアルコールの生成と関連する物質です。アルケミストにとって、アルコールは常に「水銀(Mercury)」です。油(Oils)、脂肪(Fats)、蝋(Waxes)など、さまざまな物質は、水銀的原理(Mercury principle)と呼べるものから由来しています。水銀は、塩と硫黄の中間にあるプロセスです。

植物分析を行う化学者が注目する、3つ目の成分はフェノール化合物(Phenolics)です。これは酸とアルコールの両方と類似性を持ちますが、どちらでもありません。油や脂肪酸などの芳香族化合物(Aromatic compounds)の源であり、アルケミストが「硫黄(Sulfur or Sulf)」と呼ぶものです。

このように、植物には3つの主要な成分があります。一つ目はアルカロイドで、「塩(Sal)」と呼ばれる沈殿物。二つ目はテルペンまたはアルコールの誘導体で、酵素やさまざまな物質がそれから抽出されます。三つ目のフェノールは芳香性の高い油分です。これらの3グループを、化学者は植物中に探すのですが、彼らはこれら3分野全ての物質が、バレリアンにおいて非常に活性が高いことを発見してきました。バレリアンは薬として数世紀にわたり知られてきましたが、新たな世代の化学者たちが登場するたびに、それぞれが違った視点から、バレリアンの治療効果のメカニズムについて明らかにしてきました。

各世代の化学者は物質の分析方法が異なるため、新たな発見ごとに異なる物質が有効成分として指摘されてきました。そして、次の世代が現れて、「いや、今までの考えは間違えで、実際はこうだ」と言うのです。17世紀や18世紀、人々が初めて植物の成分を分析的に調べ始めた頃から、バレリアンの薬効成分だと考えられていたのは、それぞれ違うものでした。それぞれの考えが正しくないことは証明されても、誰もその正体を特定できませんでした。現在も薬効成分を特定できないのは、すべての成分が相互に作用して相乗的に働いているからです。最初は酸が活性成分だと考えられ、次に油が、そしてまた別のものが活性成分だと考えられました。現在でも、有効成分が何かは誰も確信持てません。バレリアンはカメレオンなのです。それでも、現在ではバレリアン酸(Valeric acid)が注目され、研究の対象となっています。バレリアン酸には多くの精油が含まれており、中枢神経系に特有の影響を及ぼします。ホウ素(Boron)はバレリアンにおいて非常に活発な金属の一つです。有効成分(テルペンとフェノール)の多くは抗痙攣作用と鎮静作用を有しています。多くの研究と関心を集めるバレリアン酸は、主にボルネオールエステル(多くの加熱性精油の成分)から構成されると考えられており、酸とアルコールの関係にバランスをもたらします。ボルネオールの顕著な加温作用が、精油の鎮静作用と抗痙攣作用の源であると考えられています。これは「刺激性鎮静剤」とされています。

「刺激性鎮静剤」とは何でしょうか?これはバレリアンの両極的あり方に非常に良く当てはまります。バレリアンは中枢神経系のシナプスにおけるGABA(抑制性神経伝達物質)の分解を抑制します。それによって、放出されたGABAがシナプスの神経伝達を抑制し、中枢神経系を鎮静化します。私たちが興奮すると、シナプスで興奮を引き起こす化学物質が放出され、シナプスの活動が著しく活発化し、神経細胞間の伝達が大幅に増加します。GABAは過剰な活動を抑制するため、バレリアン酸はシナプスの鎮静化をサポートします。これは、視交叉上核(suprachiasmatic nucleus)において特に効果的です。

バレリアン酸は、特に視交叉上核(内因性概日リズムを制御する)に影響を与えることで、睡眠と覚醒のリズムに作用します。この器官は、視神経が脳の視覚中枢に戻る途中で交差する前視床下部(Anterior hypothalamus)の視交叉(Optic chiasma)に位置しています。この器官は、目の網膜を通過する光に化学的に反応して作用します。視交叉上核は松果体に刺激を送って、体温調節をし、睡眠を誘うメラトニンの生成を調整します。多くの神経学的研究は、視交叉上核の作用と、温度に影響を受ける体内時計(内因性日周パターン)との関係を示しています。  

視床下部

さて、視交叉上核とは何か考えてみましょう。もちろん、私たちにとって重要な器官です。上図を見ると、眼球があり、視神経は脳の真ん中にある視交叉上核に戻っていきます。その間で小さな豆のような「下垂体」と書かれた部分を拡大すると、下図が得られます。

下垂体

視交叉上核は、眼の網膜に当たる光刺激の伝播が集中する場所です。眼が感覚印象を受け取る毎に、神経刺激が形成され、視神経を通じて脳の後部にある視覚中枢へ伝達されます。その途中、視神経は交差し、その交差する場所で視交叉上核に刺激を生じさせます。リレーのような仕組みです。

下垂体の図には、小さな星形または花形の器官が見られます。これらは、視神経から伝わる光刺激によって活性化される核です。あなたが何かを見るたびに、これらの器官が活性化されます。あらゆる明るさと暗さの違い、あらゆる動きや微妙な変化が、これらの小さな器官に捉えられ、神経信号となって下垂体に伝達されます。下垂体には光刺激に対する代謝反応を引き起こす血管構造が含まれています。下垂体は甲状腺を刺激するホルモンを分泌し、甲状腺は全身の反応を調節するホルモンを産生します。これらの反応はさらなる反応を引き起こし、それが今度は松果体の作用に影響を及ぼします。
図を見ると、松果体は下垂体の反対側に位置しているのがわかります。松果体と下垂体の関係は、松果体が睡眠を促すのに対し、下垂体が覚醒を促すという点にあります。バレリアン酸は、睡眠のタイミングに関わる中枢と、覚醒のタイミングに関わる中枢に特別な影響を及ぼすのです。

松果体は、かつて目だった器官の痕跡であり、現在もガラガラヘビはその器官を持っています。彼らの松果体は熱受容体と繋がっており、これによって獲物を見つけます。私たちにも頭部に同様の器官がありますが、私たちは、獲物を探すのではなく、夜に天へ戻る道を見つけるために使用します。私たちは暗闇の中で暖かさの中心を探します。それが、眠ると言うことです。そして、暗闇の中で十分な時間を過ごすと、今度は光を探すために反対側に戻らなければなりません。バレリアン酸は、私たちの意識の中で光と暖かさが切り替わる仕組みに、特有の作用をします。

松果体と下垂体の間の空間は、脳の第三脳室の底部に位置しています。その空間には液体しか存在しません。シュタイナーによると、ここで私たちは日常の意識を支える内的表象を形成します。私たちは内的表象の活動を通じて、五感で捉える物事と霊界にあるそれらの原型との間の関係を測ることができます。そうやって、私たちは感覚で捉えるものを認識するのです。ある花を見て、その黄色を捉えます。内的に、それをタンポポとして認識します。この第三脳室の空間で、私たちの経験は処理されます。これらの腺と器官は、地球上の生活を最も彼方の領域と結びつけることを可能にします。それらによって私は、周辺と中心、宇宙と地球を結びつけることができるのです。したがって、意識の領域において、バレリアン酸が人間意識に及ぼす作用は、バレリアンというハーブのジェスチャーで、これは土星的働きです。土星は、松果体でメラトニンが分泌され、私たちが睡眠へとくぐる門であり、朝、光が視交叉上核に当たり、視神経を通じて光刺激が入り、私たちが目覚める時に帰って来る門です。これらの二つの重要な意識状態の交替は、バレリアン酸の特性であり、これはバレリアンの植物ジェスチャーの完璧な相似事象です。

アメジストのジオードと鞘の役割

骨の内部構造

ここにある二つの写真は骨の内部構造を示しています。土星の影響の結果が骨の形成です。もし土星の温かさが周辺部まで行き渡るなら、灰が残ることになり、灰は骨に沈着します。骨が取る形態は、骨の周辺部で非常に活発な活動を示し、中心部は空いています。左は骨の断面です。中心に向かって空洞になり、周辺部ではより高い密度が観察されます。空洞の木の断面図と似ています。右は単一の骨細胞ですが、同じジェスチャーが見られます。周辺部は集中し、中央部に空洞があります。骨は土星です。土星的な器官です。たとえば、牛の太ももの骨を取り、骨髄にバレリアンの搾り汁を混ぜてペーストを作り、それを太ももの骨に入れれば、それはバイオダイナミック調合剤の鞘として働きます。これは一考の価値があります。

アメジストのジオード

この写真はアメジストのジオードです。ここにも、骨の断面や空洞の木と似たようなジェスチャーが見られます。ジオードの周辺部で集中と結晶化の活動が起き、骨のような構造を形成し、中心部には何もない形態です。典型的な石英結晶では、周辺部から分子レベルの成長が起きます。分子レベルでは、すべての結晶は中心で形成される種の周りに、結晶溶液の周辺層を追加する形で成長します。石英では、中央軸を中心に一方向に回転しながら、分子層が形成されます。アメジストでは、結晶の分子成長は同時に2方向へ進行します。一つの分子層は右に回転し、次の層は左に回転し、このパターンが結晶全体にわたって繰り返されます。その結果、完成した結晶は真直ぐ縦に伸びることはほとんどなく、水平軸に沿って、隣接する結晶と共に空洞のあるジオードとして現れることがよくあります。

ここにある、ポーランド人顔のクロセックという男が大きなキャベツを持っている写真は、私がアメジストを使用してキャベツ栽培のための調合剤スプレーを作ることに初めて取り組んだ約12~13年前のものです。非常に重たい粘土質の土壌と、カリフォルニアのセントラル・バレーのオーブンのような暑さという条件を克服する必要があったのです。春にはキャベツを育てられず、秋にしか育てられません。なぜなら、粘土質の土壌はゆっくりとしか温まらないからです。しかし、セントラル・バレーでは9月と10月は非常に暑くなることがあります。このタイミングで土に植え、良いスタートを切らせる必要があります。そうすれば、11月に光が弱まるまでに、十分な大きさに成長しているからです。私の土壌は春は非常に遅いため、秋の光が弱まる頃には、たとえ土壌がよくても、キャベツは1ポンド(約500g)程度にしかなりません。それで、晩夏に葉を中央に巻き付けるようなジェスチャーを与え、キャベツの原型的成長を早期に促進する何かを探したのです。

もし9月に調合剤501を散布すれば、シリカがキャベツを豆の茎のようにしてしまいます。シリカによって光合成を促進しながらも、光を湿った状態に保つための何かが必要だったのです。当時、アメジストの分子構造については知りませんでしたが、ジオードを見て、これが欲しいものだと直感しました。周辺に結晶が並ぶジオードのジェスチャーは、葉が周辺に形成されるレタスやキャベツを連想させました。そこで、アメジストを粉砕し、牛の角に入れ、噴霧しました。その結果がこの写真のキャベツです。その年、9月下旬に気温が105℉(40℃)まで上昇しました。キャベツの苗は8枚目の葉の段階にあり、「あ~あ、これは全滅だ」と思いました。しかし、キャベツは全く影響を受けなかったのです。土壌はよかったのですが、水分を強化するために、月が水のサインに来る10日ごとにアメジストのスプレーを噴霧しました。収穫した玉を切り開くと、上からの水やりを一切していないにもかかわらず、しっとりとして甘かったのです。それはサボイキャベツで、葉のしわの間に美しい虹色の水滴が詰まっていました。やがて、そのスプレーは私の栽培法の定番となりました。

その後、サンノゼに行ったときに、薔薇十字会の図書館で一冊の本を読みました。その本は「宝石の醗酵」に関する分析でした。私はシュタイナーが晩年、宝石に非常に興味を持っていたことを知っていました。それで宝石の研究を始めたのです。薔薇十字図書館の本には、アメジストの醗酵剤は赤ワインであると書かれていました。そこで、粉砕したアメジストを牛の角の中で寝かし、取り出した後、赤ワインの中で少し煮詰め、その液体を水で非常に薄めて、スプレーとして使用し始めました。

私は約18年間、私の畑の土壌と取り組んできました。毎年、アルファルファや堆肥を様々な種類加えてきました。最初は陶土のような土でしたが、今では本当に美しい濃い色の壌土になり、人参でもカボチャでも安心して植えることができます。カボチャならどのように育ち、人参ならどうなるかが予測できます。この知識が実験の評価に役立つと感じています。なぜなら、異常に気づきやすいからです。

バターナッツ       フェンネル           人参    パースニップ

これらの写真は、私が植えてアメジストをスプレーした野菜たちです。左端はバターナッツ・スクワッシュ。すべてのバターナッツがこんな形に成ったわけではありませんが、特徴的な傾向が認められました。種の入った太い腹部とスッと細くなる肉質の部分を持つ代わりに、アメジストをスプレーした株では肉質の部分が伸長し始めました。この形をバレリアンの花と比べて見てください。同様の伸長と両極の分離が、ジェスチャーとして現れています。すべてがそうではありませんでしたが、私はこの特徴が残るように種を選んでいます。バターナッツに大きな肉質の首がある方が、細く小さい首と大きな種腔を持つよりもいいですからね。

バターナッツに実験的にスプレーし始めてから、年々伸長した形の実が増えていきました。そこで、フェンネルにもスプレーしてみようと考えました。なぜなら、葉が多すぎて短い球根のフェンネルよりも、長い球根のフェンネルなら素晴らしいと思ったからです。フェンネルの隣にある小さな定規は1フィート(約30cm)の長さです。断面の写真で、芯の部分を見ると、非常に調和の取れた成長パターンが確認できます。空洞の部分に、フェンネルの葉が次々と重なり合って埋まっていく様子は、まさに私が求めていたものです。

次の写真の人参は、やはり中心部が長く伸びており調和の取れた組織で満たされています。このダンバース人参は1フィート(約30cm)の長さで、根の肩の部分と先端は分厚い形をしています。通常、ダンバース人参は先端に向かって急激に細くなるのです。しかも、これは粘土質の土壌で栽培された人参です。栽培者なら知っているように、人参に肥料を撒いても大きくはなりません。人参の畑に肥料を撒けば、人参以外のものが育ってしまいます。同様に、右端のパースニップも、1フィート長で、3.5~4インチ(8~10㎝)の株元と、調和の取れた組織で満たされた細長い中央部を持ちます。これらの野菜は端まで甘く、肥大ぼけでなく、全体的にバランスが取れた成長をしています。

これらの例を載せたのは、BD調合剤(Preps)の分野でもっとできることが、特に宝石の活用に関して、あると思うからです。トルマリンは将来的に非常に有用な調合剤になるかもしれません。さらに、いずれはワインダイヤモンド(酒石酸)を効果的に活用できるように研究しています。アメジストの実験結果を踏まえ、アメジストワイン溶液にバレリアンを数滴加える実験を始めました。アメジストという宝石は、バレリアンのような鉱物的ジェスチャーを持っているようです。私は水1リットルに小さじ半分のアメジスト発酵液を加え、そこにバレリアンの滴を4滴ほど加えます。それを、通常のBD調合剤と同様に攪拌し、スプレーします。霜が降りる冬の夕方にスプレーしたり、秋にはアブラナ科の野菜に夕方スプレーしたりしています。

この研究は現在進行中です。バレリアンを超えて進展しているように見えますが、周辺と中心が共通の空間で統合され、そこに新しい何かが生まれることには、バレリアンに働く意識が関わっていると思うのです。

質問と回答

  質問:ワインについて聞きたいのですが、ワインがどのような役割を果たしていると思われますか?ワインは血液のような運搬役として機能しているのでしょうか?
 
ワインというのは非常に酵素的(Enzymatic)です。鞘(Sheath)なしの調合剤の場合、ワインやハチミツのような物質は興味深い代替物となれるのです。他の調合剤では、鞘が器官形成活動の役割を果たします。生体組織の作用には形成原理があります。調合剤に含まれる物質自体に関しては多くの研究が行われてきましたが、適切な鞘とそれが果たす役割に関する問題は、本当に良い研究テーマだと思います。空洞のプラムの木を使った実験で私が興味を引かれたのは、彼らが穀物の形成に資する何かを鞘に求めていた点です。

ワイン生産者と話すと、彼らはアルケミストのように見えてしまいます。彼らは、物質がその年に植物が経験した過程の相似事象であるということを理解しています。だから、産地(テロワール)と醸造年度の概念が品質の特定(Appellations)に用いられています。その年の気候がブドウにとってどうだったかが、テイスティングだけで分かるのです。実際に認識される品質から、品質向上のための「鞘」に関する疑問が浮上しますが、それらはほとんど未解決のままです。私はスプレーに加えるワインを、酵素的な鞘、またはブドウの木の胃袋のようなものとして描いています。この「胃袋」は、ブドウの周辺に形成される酵母(Yeast)の「花」から来ています。
 

  質問:他にも鞘に成り得るものがあると思いますか?

簡潔な答えは「はい」ですが、課題は鞘の働きに関連する適切な相似事象のプロセスを見つけることです。重要なのは、鞘が生物組織の一部であった時に持っていた機能があり、その機能が鞘に入れた物質に共鳴して(As a synergy)継承されることです。ワイン用ブドウの価値あるフェノール類はすべて皮から由来します。ワイン生産者の銀行口座はブドウの皮に依存しているのです。もっとも白ワインの場合はオーク樽かもしれません。皮は鞘であり、タンニンの源です。すべての物には、その目的を強化する適切な鞘があります。

昔、『常識で作る堆肥(Common-sense Compost Making)』という本がありました。著者はバイオダイナミクスの方法に興味を持ったのですが、ベジタリアンだったので、牛を殺すという考えを好まなかったのです。それで、彼女は蜂蜜と蜜蝋を鞘として使いました。私はそこから、素焼きの陶器を作り、熱した蜜蝋に浸けて鞘とし、蜂蜜と鉱物を混ぜるというアイデアを得ました。このような鞘は、例えば樽堆肥(BD barrel compost)に良いかもしれません。最近では小さな木製の釘樽が手に入りにくいので、私は粘土を使っています。最も多孔質なビスク陶器を見つけて、蜜蝋で塗装し、その中で牛糞堆肥と岩粉(Rock powder)を蜂蜜と混ぜて、樽堆肥を作ります。この方法だと、より良い混合物ができると思います。出来上がった混合物は、発酵したパンの塊に似ています。小さな空気の穴があり、一斤のパンのようです。

マリア・トゥーンのレシピを使って鞘の実験や試行錯誤をするのもいいですが、私たちはより活力のある鞘を見つけることができると思います。鞘的な力を少し異なる方法で引き出すために、私はワインを一種の鞘として捉えています。昔の人々が使用したように山羊の皮や山羊の胃袋、または類似の素材を発酵の鞘として使用し、効果があるかどうか試してみるのも良いでしょう。
 

   質問:ワインは発酵製品ですが、他の発酵製品を試すことも可能でしょうか?

調合剤を作るために私たちが行っていることは、一種の発酵プロセスです。特定の物質を特定の方法で強化し、元よりも強力な状態に変えるのです。この強化方法は、相乗効果(Synergy)の原理に基づいています。動物の頭蓋骨は、カルシウム、シリカ、リンと特別な関係があります。頭蓋骨はリン酸カルシウムです。これがまさにバレリアンの化学的な主題です。この図には、カルシウムからリンへの作用が示されています。この関係は、最も固定的なカルシウムと最も流動的なリンの結びつきです。

バレリアンの化学特性

コンフリーのようなハーブを考えてみましょう。バレリアンに非常に似ていますが、それほどくっきりとしていません。コンフリーは「Knitbone(骨編み草)」とも呼ばれます。骨はリン酸カルシウムですから、コンフリーの力はカルシウムとリンを編み込むのです。バレリアンの放射性は、コンフリーの内的方向性になっています。
 

   質問:どれくらいの量の蜂蜜を入れているのですか?

チョコレートチップクッキーのチョコレートのような感じですね。
 

   質問:ワインの発酵期間はどのくらいですか?

春に作り、容器に入れて、使用するまで放置しています。特に特別なことはしていません。
 

   質問:琥珀(Amber)を使われたり、検討されたことはありますか?

はい、ありますが、琥珀は化石化しているので、処理が困難です。溶液に溶かすには、強力な炭化水素といった、かなり有毒な物質が必要です。厳密に言えば、アメジストの発酵は実際には発酵ではありません。化学者なら「実際には宝石を発酵させてはいませんね」と言います。厳密には、その通りですが、この宝石を非常に細かい粒子に粉砕すると、溶液と高度に相互作用する粒子サイズになります。本当の発酵ではありませんが、このサイズの粒子は、酵素に富みpHの偏った溶液と非常に反応性が高いのです。特にトルマリンは、溶液のpHの極微小な変化にも驚くほど反応するので、いろいろ試してみるのに、非常に興味深い宝石だと思います。
 

   質問:アメジストのジオード自体を鞘として使ったことはありますか?

もし経済的に手が届くなら使ってみるかもしれません。私はブラジルを訪れた際に、小さな店から手に入れています。忍耐強く探せば、研磨に適した良いピースを手に入れることができます。
 

   質問:あなたはトウモロコシの原種について触れ、それが変化を遂げるのに数世紀かかっただろうと思ったと言われました。その後、その変化がわずか数世代で起こったのだと聞いたとコメントされました。古代の種子育種家は、植物の内部の成長過程と、その特定の段階で生じる間に注意していたのだと思います。彼らが発した特定の音が、その変化を生み出したり引き起こしたりした可能性はないでしょうか?どう思われますか?

可能性はありますが、その考えにもう一つ次元を加えることができるでしょう。その音は、惑星の運動から、天球から与えられたものです。今日、私はさらに一歩進めて、アメジストを粉砕する日の惑星の領域では何が起きているかに注意を払い、攪拌する日に何が起きているか、噴霧する日に何が起きているかに注意することで、天体のリズムの中に私の働きを位置づけていきます。かつて、聖なる作業を支えた音は、まさに「天体の音楽」でした。どんな時間の中に自分のなすことがあるかに注意すれば、一種の潜在的な音を創造することになります。あなたが時間の中で作業するリズムは、実はある種のメロディなのです。私はこれがシュタイナーの考えだと思うのです。一種の音調(Toning)でもあるかもしれませんが、協調することができるためには、多くの研究が必要です。
 

   質問:惑星の運動が時間を動かすことで音調が生まれるということですか?

惑星の時間の動きは、音、あるいは歌のようなものです。私たちが「時間」と呼ぶものは、「言葉」あるいは展開していく「メロディ」のようなものなのです。天体暦(Ephemeris)の読み方を学んで、そのメロディを知ることができます。もし私たちが時間のリズムに合わせて行動を繰り返し始めれば、そのために使う意志は、古代の人々が種を歌う(Sing the seed)際に使ったのと同じ種類の意志です。私たちがこれを行う方法はあると思いますが、より意識的な方法で実現できると思います。個人的には、これが「あなたに悪いことを歌う」という黒魔術の落とし穴を避ける現代的な方法だと思います。これがこの仕事の危険性です。シュタイナーの時代でも、彼が特定の時期に動物の皮を燃やす行為に、一部の人々は少し不安を感じていました。それは、後に悪意のある人々が誤った用途に悪用する可能性のある境界線に近づいていたからです。

私たちはこれらの方法が機能することを知っています。しかし、無意識や魔法のようなやり方で音を降ろすのではなく、今の段階では、知性を使った、よりクリーンなやり方があります。将来、もう何回かの進化のサイクルを経て、私たちが再び集まり、自分たちの行動を見直した後には、おそらくその方法を採用するでしょう。つまり、私たちは再び歌で世界を創造したり(Singing the world)、オイリュトミーで作物を育てたりするでしょう。しかし、現在は別の繋がり方を学ぶ必要があり、それが私たちの行動の道徳的な課題を突き付けています。私たちは、宇宙が既に奏でている調和(Harmony)のあり方を発見する必要があります。それを歌うことができれば、何か新しいものを紡ぎ出すことができるかも知れません。


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