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他人を集めたら僕になるのか


他人が観測した僕を集めれば、僕ができあがるのではないか。
と思ってしまったので、家族、友達、恋人、色んな人に
「私という人間を一言で表すなら、どんな言葉を選びますか?」
と聞いてみた。
それを近いニュアンスごとにまとめたのが以下である。
あ、なんか論文みたいですまんね。今回の読みづらいかもだわ。


↓皆々様より頂いた僕という人間

・圧倒的お兄ちゃん属性
・良くも悪くもお兄ちゃん
・面倒見のいいカス
・花に水をあげすぎて殺してしまう人
・時短で強火にしがちなタイプ

・大人にならざるを得なかった子供
・しっかりしてるクソガキ
・ちゃんとしてそうに振舞うのが上手いやつ
・奇人ぶってる常識人
・1VS1やとまともな人
・冷静なくせに振り回されてる人

・矛盾の飼育員
・二律背反の権化
・ロマンチストを冷笑するロマンチスト
・天邪鬼
・ルサンチマン
・超臆病者

・人生をイージーモードでプレイしてる人
・自分大好きマン
・厄介なポジティブシンキング

・好みが別れる性格の人(俺は好きやで🫶)
・絡みダルすぎる陽キャ
・人を依存させるのが得意なサイコ
・政治家適正◎
・また変なことしてるやん、友達で実験すんな。

・欲に溺れすぎる人
・出会った中で1番イカれてる変態

・3割ホント7割ウソ人間

・段差


こんなことを言うのは珍しいけれど、意外とみんなちゃんと見てくれてるんだなと思った。

見せたい僕。
見られたくない僕。
そうじゃない僕。
その通りな僕。

多少の誤解や誇張はあるだろうけれど、どれを見ても「そんな人間は僕の中にいない」とは思わなかった。

ここにある一見バラバラの観測結果は、全部僕である。
そもそも、バラバラの人間がバラバラの場所から見た僕をかき集めようとしているのだから、バラバラになるのは当たり前だった。
だからといって、相手によって別人を演じている、ということでもないと思う。
見ている場所と、見抜いた深さが違うのだろう。

「3割ホント7割ウソ人間」と答えた弟は、たぶん、僕が書き物の中で使っている“僕”の厄介さをよく知っている。あ、ごめん弟。バラしちゃった。

だから、現実で“俺”として活動しているところを見て、本心でもないことを平気な顔で言ったり、場に合わせて適当なことを喋ったりしているのを見抜かれているのだと思う。
嘘をついているつもりは、あまりない。
本当のことを言っているつもりも、あまりない。
なるほど。
3割くらいは本当なのかもしれない。

「大人にならざるを得なかった子供」も、かなり正確だと思う。

僕は子供の頃から“お兄ちゃん”でいる必要があった。
大人びていたというより、子供のままでいる余裕がなかったのだと思う。
別に今になって子供のように駄々をこねているわけではない。
ただ、本当はもう少し無邪気な子供でいたかったという、成仏し損ねた何かが、いまだに僕の中をうろついている。
それをその人には見つけられたのだろう。

見せたつもりのない部分まで見られている。
観測というより、やや透視に近い。

ただ、ひとつだけ本当に意味が分からない回答があった。

「段差」

段差?

何をどう観測したら、人間が段差になるのだろう。
僕は「一言で」と聞いたのに、「一単語で」と勘違いしたのかもしれない。
それにしたって、もう少し人間に使う単語があっただろう。

僕なりに考えてみる。

段差は、壁や超えるべきハードルほど大きくない。
わざわざ引き返すほどでもないし、注意していれば普通に越えられる。

でも、平らだと思って歩いていると不意に足を取られる。
人によっては何も気にせず越えていくし、人によっては盛大につまずく。
そういう意味なら、かなり失礼で、かなり正確な気もする。
本人がそこまで考えていたのかは知らない。
案外、本当に何も考えず「段差」と答えただけかもしれない。
だとしたら僕は、今、段差から人間性を読み取ろうとしている。
また変なことをしている。

僕は、みんなが持っている僕の断片を集めようとしていた。

家族が持っている僕。
友達が持っている僕。
恋人が持っている僕。

それらを並べ、足りない部分を補い合えば、どこかに客観的な「僕」が現れると思っていた。
でも、実際に並べてみると、どれも断片には見えなかった。

「面倒見のいいカス」と言った人の中では、僕は面倒見のいいカスとして完成している。

「超臆病者」と言った人の中では、僕は超臆病者として完成している。

「人生をイージーモードでプレイしてる」と言った人の前では、僕はそういう人間として生きていたのだろう。

その人たちは、僕の一部分しか見ていないのではない。
それぞれが、ひとり分の僕を持っている。
僕を集めようとして始めたのに、僕が増えた。

そして、この中にひとつだけ、少し性質の違う回答がある。
「また変なことしてるやん、友達で実験すんな。」
ほかの回答は、それまでに観測してきた僕を一言で表している。
けれど、この回答だけは違う。
人に妙な質問を投げかけ、返ってきた言葉を収集し、似たもの同士に分類し、その中から自分という人間を見つけ出そうとしている。

今この瞬間の僕を観測している。

僕は他人の観測結果を集めているつもりだった。
その行為ごと、他人に観測されていた。
家族や友達から回答を集め、それを嬉々として並べ、最終的にnoteの題材にしている人間。
たぶん、それが今回集まった中で、一番僕らしい僕である。
他人が観測した僕を集めれば、僕ができあがる。
どうやら、最初の考えは間違っていなかったらしい。

ただ、ひとつ誤算があった。
この文章を公開すれば、これを読んだ人も僕を観測する。

「面倒くさいやつ」
「自分が好きすぎる」
「また難しいことを考えてる」
「文章は長いけど、言ってることはよく分からない」

たぶん、また新しい僕ができあがる。

ちなみにこの文章は、君にとっての段差だと思う。
何も気にせず通り過ぎる人もいれば、盛大につまずく人もいる。




さて、友達で実験するなと言われたことだし
今度は読者で実験することにしたよ。

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