【徳島・相続事例:55】亡き父が遺した県外の「隠された家族」と会社の清算|戸籍の裏に眠る人生のドラマと、行方不明のきょうだいを探す地道な調査
徳島で「福祉25年の経験を持つ行政書士」として活動している、清水智子です。
先日、noteで「なぜ福祉25年の行政書士がキャラバン・メイト(認知症講師)を務めるのか」という記事を書いたところ、過去最高の反響をいただきました。温かい共感や応援をお寄せくださった地域の皆さま、本当にありがとうございます。皆さまからいただいた熱量を力に変えて、これからも「心に寄り添う支援」の現場から大切なメッセージを発信していきます。
「相続は、書類が整えば終わりではない」
この強い信念のもと、これまでにお届けしてきた「解決・相談事例」の連載が、おかげさまで合計50件の節目を迎えました。50の事例には50通りの家族の決断があり、それぞれに切実な葛藤や人間模様がありました。
今回は50件達成後の新たな一歩(55件目)として、亡くなった親御様の隠された過去が発覚し、相続人が確定しないために手続きが完全にストップしてしまった、非常に重厚な事例をご紹介します。
より詳細な法務解説や当事務所のサポート体制については、清水智子行政書士事務所 公式ホームページでも詳しくご紹介しています。
亡き父に「見知らぬ子」の存在が発覚。ストップした相続手続きと会社の未来
徳島県内のT市にお住まいの50代の女性・Aさんから、震える声でご相談をいただきました。 長年、地元で小さな会社を経営し、周囲からも慕われていたAさんのお父様が急逝されたのです。Aさんは悲しみの中で、お父様が遺した会社の清算手続きと、遺産相続の手続きを一人で進めなければなりませんでした。
しかし、相続人を確定させるために戸籍の収集を始めたところ、信じられない事実が発覚しました。 お父様が若い頃、県外の別の女性との間に、一人のお子様(Aさんから見れば異母きょうだい)をもうけていたのです。
Aさんはその子の存在をこれまでの人生で一度も聞いたことがなく、当然、名前も現在の住所も全く知りません。 「父に別の家族がいたなんて、信じたくない……」 大好きな父親の隠された過去を知り、Aさんは激しいショックを受け、精神的にも深く傷つかれていました。
さらに深刻だったのは、お父様が遺した会社の存在です。経営者が亡くなったため、会社の清算手続きをなんとか急いで進めましたが、お父様の個人の財産をどう分けるかという「遺産分割協議」は、相続人全員の合意がなければ1歩も前に進められません。見知らぬきょうだいの居場所が分からない限り、すべての財産が凍結されたまま、会社の事後処理も完全にストップしてしまうという、非常に重い危機に直面していました。
【清水の独自アプローチ】:事務的な職権に頼らず、委任状と地道な聞き取りで「人の行方」を追う
キャリアのある専門家であれば、行政書士の職権(職務上請求)を使って事務的に戸籍や住民票を追跡し、見つからなければ「これ以上は無理だ」と突き放してしまうかもしれません。しかし、福祉の現場で25年、家族の複雑な人間模様や、孤立した人々の現実に寄り添い続けてきた経験から、ここで事務的な対応をしてはAさんの傷をさらに深くしてしまうと考えました。
当事務所では、手続きを進める際、可能な限り相談者様ご本人から直接「委任状」を書いてもらうスタイルを大切にしています。それは、相談者様と一緒に問題に向き合い、お互いの信頼関係を何よりも重んじているからです。
人の一生は何が起こるか分かりません。特に昔は、住所が変わるたびに本籍地を県外へと転籍させる人も多く、今回のケースでも、戸籍の収集範囲は複数の県をまたぐ広大なものとなりました。
戸籍と住所を結びつける「戸籍の附票」を取り寄せ、過去の足跡を辿りましたが、記載されている最後の住所に、現在もその子が住んでいるとは限りませんでした。実際に、附票に記載された場所にはもう住んでおらず、足取りは完全に途絶えていたのです。
そこで、単なる書類上の調査を越えた「お節介な専門家」としての地道なアプローチを開始しました。 お父様の若い頃を知る古い親戚や、昔の会社の関係者の方々を一人ずつ訪ね、守秘義務を厳守しながら慎重に聞き取り調査を続けています。
「Aさんのこれからの生活を守るため、そしてお父様が遺した会社を綺麗に締めくくるために、どうしてもその子の力が必要なんです」 地域のネットワークを頼りに、うろ覚えの記憶の断片を繋ぎ合わせながら、現在もその子の居所を懸命に捜索しています。
霧が晴れていく安心感と、前を向くための伴走
現在もそのお子様の行方を追い続けている最中ですが、古い親戚の方々から「そういえば、あの地域に移り住んだという噂を聞いたことがある」「あの病院の関係者と繋がりがあったはずだ」といった、重要な手がかりが少しずつ集まり始めています。
居場所が全く分からず、真っ暗闇の中で一人で泣いていたAさんですが、日々調査の進捗を報告し、一緒に机を挟んでお話を聴いていくうちに、徐々に落ち着きを取り戻されてきました。
「清水さんが一緒に探してくれているから、私は一人じゃないと思えます。父の過去を受け止め、前を向いて会社の後片付けをやりきろうと思います」
そう語るAさんの表情には、最初の絶望感はなく、未来への確かな強さが宿っていました。 はやく居所が分かり、全員が納得できる円満な解決を迎える日まで、決して手を放さずに伴走を続けます。
相続は、時に知りたくなかった過去を暴くことがあります。しかし、そのプライベートな真実から目を背けず、プロとして守秘義務を貫き、福祉の視点を持って寄り添うことで、残された家族のこれからの生活を、最も安定した形へと導くことができるのです。
ご家族ごとに異なる複雑な相続人調査や、行方不明者の捜索の手順については、清水智子行政書士事務所のホームページでも詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
【おわりに】
清水智子行政書士事務所は、徳島に根ざした「お節介な行政書士」として、同じような悩みを持つ方の力になりたいと心から願っています。
この記事が「少しでも役に立った」「うちの戸籍も一度調べてみよう」と思われた方は、ぜひ画面下の「いいね(すき)」や「フォロー」をよろしくお願いいたします。皆さまの応援が、次の事例発信の励みになります!
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