限りなく透明な…【毎週ショートショートnote12/21裏】
(画像は生成AIによるもの。ImageFX使用。)
次の企画への参加記事です。
お題:『着てるインフォメーション』
とある広告代理店と日常衣料販売がタイアップ、インフォメーション機能を持つ服が作られた。天気や交通、特売情報に加え、広告も流れる。ただ同然の安価で販売され、掲載した商品が売れると着用者に数%のマージンが入る仕組みだ。
広告のジャンル(金融、酒、健康、恋愛…etc)も大きさや数も選べる。
ある男は欲に任せて、服のほぼ全面を広告で埋め尽くした。
これと言った用がなくとも賑わう繁華街を歩き、人目に付く頻度を上げる。
服には光と文字が次々と踊り、収入は確かに増えた。
だが、ある時、男は気付く。
ちょっとした知り合いは言うに及ばず、親しい友人や、ついには彼女までもが、一緒にいる彼の顔を見ようとしないのだ。
誰もが、服に表示される情報だけを見つめていた。
これじゃ、まるで透明人間じゃないか…
ある夜、ルーチンの広告更新作業に追われながら、男は一つの広告を外してみた。当然、収入は減ったが、布の隙間から久しく忘れていた自分の輪郭が見えた気がした。
