獲った狸の皮算用【毎週ショートショートnote11/23】
(画像は生成AIによるもの。ImageFX使用。)
次の企画への参加記事です。
お題:『文学茶釜』
ある日、和尚がたいそう見事な茶釜を買って帰って来た。暫く飾って眺めて満足していたが、折角の茶釜なのだから使ってみようと火にかけた。
ぶんがくぶんがく…
音を立てて湯が煮立つと、茶釜から手足が飛び出した。
「なんと、これは狸が化けたものであったか!」
気味悪くなった和尚は、二束三文で茶釜を古道具屋に叩き売ってしまう。
古道具屋の主人が「これは高く売れるぞ。大儲けだ♪」とほくそえんでいたところ、茶釜の狸が泣きながら訴える。
「どうか売らないで下さい。元の姿に戻ることが出来なくなった私は、もうこの姿でいるしかないのです。頑張って小説を書きます。印税は全てあなたに差し上げますから。」
主人は、これは濡れ手に粟だと大喜び。
さっそく机を与えて書かせたのだった。
だがしかし、狸が徹夜で書いた文章は、たまにスキが着くものの、有料記事は全く売れず。当然、書籍化の声がかかることもなかった。
古道具屋には、今日も狸と主人の『ぶんがくぶんがく』という呟きだけが、空しく響いていた…
