短編小説 「銀歯を持っていくアイツ」
俺はカラメル色で甘くて、時には柔らかくて、硬い、子どもにも大人にも愛される存在。
コンビニでもデパ地下でも見かける、あの“甘くて香ばしいヤツ”だ。けど、ひとつだけ言わせてくれ。俺はただの甘ちゃんじゃない。
時々、奥歯の詰め物をパカッと持っていってやる、ちょっとした反逆児なんだ。
今日も、口の中へ放り込まれた瞬間の、あの温もり。
「お、来た来た」と思う。
舌の上で転がされ、歯と歯のあいだに挟まれ、ぐいっと噛まれる。まるで力比べのようだ。俺は一瞬で柔らかくなり、歯の形を覚える。だが、そこで終わらせるわけにはいかない。
「おいおい、簡単に飲み込めると思うなよ」
噛む力が強ければ強いほど、俺の闘志も燃え上がる。
俺はぐぐっと歯にしがみつき、離さない。そう、俺の宿敵はただひとつ──“銀色の詰め物”だ。
あいつはいつも、口の奥でふんぞり返ってやがる。輝きを放ちながら、「俺がいなきゃ噛めないだろ」と偉そうにしてる。
だが、俺は知ってる。あいつも案外、もろいってことを。ちょっとした温度差と力加減で、あいつはあっけなくポロリと外れる。その瞬間の快感ときたら、たまらない。“パカッ”という、あのわずかな感触。
「勝ったな」と、俺は心の中でつぶやく。
でもな、俺もバカじゃない。
そんな勝負、いつもやってたら嫌われるってわかってる。だから、俺は気まぐれなんだ。
ある日はただの甘いヤツで終わるし、ある日は反逆児になる。噛んでる本人が油断したときだけ、静かに牙をむく。たまに、歯医者帰りの人間に出会う。
詰め物が新しくてピカピカ。そんなときは、ちょっと手を出せない。あの新品のツヤは、正直まぶしすぎる。だから俺はおとなしく溶けていく。
「今日は穏やかにいこう」
口の中は狭い。
でも、そこにはドラマがある。
歯、舌、唾液、詰め物。みんながそれぞれの役割を果たしながら、俺を取り囲んでくる。誰かが「おいしい」と言ってくれた瞬間、俺はその言葉を胸に、ゆっくりと溶けて消える。
けれど、心のどこかでいつも思うんだ。
──ほんとは、奪いたくなんかない。
俺はただ、もう少しだけ、口の中でゆっくりしていたいだけなんだ。ゆっくり溶けて、温もりに包まれて、ほんの少しでも長くここにいたい。その願いが強すぎて、つい詰め物を引っかけてしまうんだ。
今日もまた、誰かのポケットの中で静かに出番を待っている。甘くて、やわらかくて、ちょっと危険な恋人みたいな存在。
俺はモリナガ。
──もし噛むなら、やさしくしてくれよな。
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舞台は森の奥にある小さな心の病院。触れた人の「心」に触れられる心先生と、手のひらサイズの妖精・雛の掛け合いがとにかく愛おしいです。
患者の来訪をきっかけに、“妖精と人間の因縁”と“心の整え方”が少しずつ顔を出し、温もりの中に物語の芯が立ち上がる構成が見事で、次の展開を待ちたくなる、そんなお話です。
ぜひ一冊お手元にどうぞ!
時間を割いてくれてありがとうございました。
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ミルキーも噛まないでね。
ฅ(`ꈊ´ฅ)キェェェー
キャリメル。
テヘペロ(*≧∀≦*)
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