見出し画像

短編小説 「アホ毛です」

アホ毛のキューです。
今日も頭のてっぺんから、ひとりだけ空に向かって立ち上がってます。

まわりの髪たちはみんな仲良く並んで、風にそよそよ揺れたり、ブラシに沿ってつやつや輝いたりしてる。
それなのに、どういうわけか自分だけ、ぴょんっと飛び出してしまう。

「……あーもう、変なとこ立ってる!」

持ち主の手のひらが、ぐいっと押さえつけてくる。
でも、いくら撫でられても、時間が経てばまた立っちゃうんだ。だって、これはもう性分なんだもん。

オイルを垂らされる日もあった。
ぺたっと重くされて、まるで窓ガラスに押しつけられた虫みたい。

スプレーで固められた日は、まるで石像にされてしまった気分。

「これで大丈夫!」って笑顔を見せられると、少しだけ複雑。だって大丈夫にされるってことは、つまり「いらない存在」ってことだから。

でもね。
実はアホ毛にはちょっとした秘密がある。
空気を読むのは苦手だけど、空気を感じるのは得意。
湿気が増えると元気になっちゃうし、天気が変わりそうなときは勝手にぴょこんと立ってしまう。気づかれないけど、小さなセンサーみたいなものなんだ。

ある日、持ち主が鏡をのぞき込んで、ふっと笑った。

「今日、なんか元気そうだね」

その笑顔の端っこに、自分が映っていた。ぴょんと飛び出した一本が、きっと彼女をちょっとだけ可愛く見せたんだ。あれは、間違いなく自分のしわざ。

まわりと同じように揃っていられたら楽だったのかもしれない。でも、自分はどうしたって揃わない。
それでもいい。たぶんダメだけど。

どうもアホ毛のキューです。
空を見ています。



時間を割いてくれてありがとうございました。
もしよかったら、コメント&スキ、フォローお願いします。

マラソン? オバケ? 漬け物?

ฅ(`ꈊ´ฅ)キェェェー

ペプシ飲んで飲んで飲んじゃって!

テヘペロ(*≧∀≦*)

いいなと思ったら応援しよう!

雨奈川ひるる ビラビラで空を飛ぶ

この記事が参加している募集