「始まりの白紙、終わりの金色」 - StoryHug’s MiniBook

〜始まりの白紙、終わりの金色〜
赤ん坊の頃の記憶は、きっと、風景の切れ端のようなもの。
でも、あたたかな手に包まれていたこと、大事にされていた感覚だけは、朧げでも確かに残っている。
言葉を覚え、外を駆け回り、笑い合いながら遊んでいた。
好きなこと、苦手なこと、叱られて泣いた日も、褒められて嬉しかった日も──
あの頃の感情は、心のどこかで今も生きている。
やがて、自分が「社会」という大きな流れの中にいたことに気づく。
喜びも、悔しさも、達成感も、愛も──
そのすべてを通して、心は「もう大人だ」と思い込もうとしていた。
でも、振り返れば「あの頃は、まだ幼かった」と気づく。
そうして少しずつ、“大人になっていく”ことを学んでいく。
選んできたことのひとつひとつが、今の自分を形づくっている。
道はいつだって、選択の連続だった。
いつも、目の前のことに夢中だ。
自分は恵まれているのか──それはわからない。
心の豊かさも、苦しみも、喜びも、
どこまで続くかなんて、きっと誰にもわからない。
でもひとつだけ確かなことは──
歩みを止めるのは、自分の意思だということ。
目の前にある扉は、いつでも開いている。
そのノブを捻る勇気は、きっと胸の中にある。
畢生の力を尽くしたとき、
どんな光景が目の前に広がるのだろう。
今抱えている夢や理想は、果たして実を結んでいるだろうか。
やり残すことは、きっとある。
好奇心は底を尽きないから。でも、それでいい。
まだ知らないものがある限り、人は生きていける。
冒険心が、未来へ向かう足を止めさせない。
限られた時間の中で、山を越え、谷を越え、
断片的な記憶を愛おしむように振り返って、
酸いも甘いも味わい尽くしたその時。
もし何かを伝えられるのだとしたら、
そのすべてに「良い人生」と名をつけて、
夕日の向こうへ「じゃあね、楽しかったよ」と微笑んで手を振れる、
そんな人間でありたい。
真剣に。
幸せであろうとする。
豊かであろうとする。
一度だけ歩くことを許された、この道に感謝を。
それを与えてくれた母に。
出会い、支えてくれた人たちに。
青春を生きるいま、
痛みも優しさも知るこの身体で、
あらゆることに、ありがとうを伝えたい。
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