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セルフチェックしてください、と言われた日

一番心臓が持たないのは、
出した後にクライアントさんに指摘されるときです。

書いてはいけない価格を、書いてしまっていたことがある。腕と胴体の比率がアンバランスのままチェックにまわしてしまったこともある。
見れば気づくような間違いなのに。。。

「セルフチェックで気づいてほしかったです」と言われて、とても心が痛くなった。(ごめんなさい...)

それからは、請求書を出すときも、納品するときも、少し時間をかけてしまう。ためらってしまう。
出した後のことを考えてしまうせいで、送るのが遅くなる。

そういえば昔から、Eメールの送信ボタンが押せない人だった。


あとから冷静に考えると、不思議です。見えれば気づく間違いを、なぜ自分は見ていなかったのか。

いえ、見ていました。納品の前に、何度も。それでも、見えていなかった。

作っている間の目は、「作ったところ」を確かめる目になっています。
直した箇所には何度も焦点が合う。
ところが直していない箇所は、確認する対象として頭の中に存在していません。前の案件からコピーしたままの箇所、いつも通りのつもりの箇所。視線は上を通過しているのに、「もう大丈夫な背景」として処理されていく。

間違いは、手を入れなかった場所に残ります。
そして手を入れなかった場所は、見えません。

つまりこれは、不注意の問題ではなくて、目の仕組みの問題です。見る、と、見える、は違う。気をつけようと決意しても、次も同じことが起きます。わたしも起きました。

だから、決意の代わりに紙を1枚はさむことにしました。チェックリストの行が、視線の行き先を指定してくれます。「コピー元の痕跡は残っていないか」と書いてあれば、その一点を見る目が初めてできる。リストは注意力を増やす道具ではなくて、見えない場所に焦点を作る道具です。

納品ボタンを押す前に見るのは、決まった項目だけ。よく事故が起きるのは、だいたいこの3つです。

  • コピー元の痕跡が残っていないか(前の案件の商品名・説明文・リンク)

  • 価格まわりに出してはいけない数字がないか

  • 根拠を確認していない記述がないか

ここで1つ、逆のことを言います。
チェック項目は、増やさない方がいいです。

不安になると、確認の時間をなんとなく引き延ばしたくなります。
もう一度全体を眺めて、もう一度読み直して。
でも不安には終わりがないので、何度見ても「大丈夫」にはなりません。
送るのが遅くなるだけです。

チェックリストの価値は、項目の多さではなく、最後の行があることです。決まった行を上から見て、最後の行まで来たら、終わり。
そこから先は見ない。
確認に終わりを作ることが、このリストの仕事です。

だから中身は立派である必要がありません。
育て方のルールも1つだけ。
自分の事故が起きたら、その日のうちに1行足す。
二度目から先は、リストが代わりに覚えていてくれます。

あの日から、納品後の時間の過ごし方が変わりました。
指摘が来ないことを祈る時間から、チェックを通したから出せる、と思える時間に。送るまでの時間も、短くなりました。


やった方がいいと分かっていても、後回しになる。
そういうものほど、大切だったりする。
ぴったり合うものが、今まではなかっただけ。
だから、そのまま渡します。そのまま使ってください。


この連載は、ひとりでネットショップの仕事を回すための道具を、週1回ずつ紹介していきます。
第2回は、クライアントの公式情報と自分の提案が混ざらないようにする「出典記号」の話。

(最終回で、道具一式をテンプレートの形でまとめて渡す予定です。)


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