「都知事と同じ名前の青島です」はもう通じない【今日の余録】
夢中になっているときは、それが永遠に続くものだと信じて疑わない。だが、人間とは案外薄情なもので……時が経てば考えは簡単に変わってしまうらしい。生きていれば環境は常に変化するのだから、当たり前のことかもしれない。だが、あのときの熱狂ぶりは、いったいどこへ忘れ去ったのか、と残念な気持ちにならないこともない。
きょうの余録は、植木等のヒット曲「だまって俺について来い」から始まっていた。1964年の曲で、映画『ホラ吹き太閤記』の主題歌らしい。この曲を作詞したのが、青島幸男さん。放送作家、タレント、俳優、直木賞作家、参議院議員、東京都知事と、多くの顔を持つ多才な人だった。
僕にとっては都知事の青島さんの印象が強い。タレントで都知事に当選したことの驚きもあったが、好きなドラマ『踊る大捜査線』と深くつながっていたからだ。このドラマの主人公は、「都知事と同じ名前」の青島俊作。サラリーマンあがりの湾岸署の刑事で、織田裕二さんが演じていた。青島くんといえば、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」のセリフが有名かもしれない。もしくは「レインボーブリッジ、封鎖できません!」とか。だが、彼が一番多く発したセリフは「都知事と同じ名前の青島です」という自己紹介だろう。1話から使われていた決まり文句で、当時の都知事がまさに青島幸男さんだった。
その『踊る大捜査線』が来年の秋に再び映画化され、14年ぶりに青島くんが帰ってくる。タイトルは『踊る大捜査線 N.E.W.』。”N.E.W.”は ”NEXT EVOLUTION WORLD”という文を 、"NEW(新しい)" にかけて略したものらしい。新しい『踊る大捜査線』が、どんなストーリーになるのか気にはなるが、当時ほど気持ちは高ぶらない。ネットワーク捜査員(つまりファンクラブ会員)になったり、グッズを買いあさったりしていたのに…(いまだに青島コードやマグカップなど、使っているものはある)。ドラマの放送年から数えれば、20年以上が経過しているからだろうか。『踊る』で踊れない自分が寂しい。
ただ、気になることはある。スピンオフ映画で亡くなった室井さん(演:柳葉敏郎)。新作でちらっと登場するシーンがあるらしい。スピンオフのサブタイトル「生き続ける者」が具体的に何を意味し、新作とどうつながるのか。青島くんとの約束だった、警察組織の改革を果たせぬまま亡くなったことが、青島くん自身にはどう影響するのか。そもそも、青島くんはどこで何やってるんだろう……?その辺は静かに見届けることにしよう。たぶん、今度こそ最後でしょ?
