ダンスシーンとHIPHOP 光と闇?
STUDIO PRIMEという埼玉県志木市でダンススタジオを運営しているオーナーのMASASHIと申します。
このnoteでは、スタジオ運営を通じて感じる事や、HIPHOPに関する想いを綴っていきたいと思っています。
初回となる今回は、今の日本の
【ダンスシーンとHIPHOP】
についてお話しします。
昨今のダンスブームの中で感じるのは、多くの場所で「HIPHOP」という言葉が謳われている一方で、「そもそもHIPHOPとは何なのか」という本質が置き去りにされているのではないか、ということです。
【HIPHOPとの出会いと黄金期】
まずは私がHIPHOPという物を説明するにあたり自分とHIPHOPについての関わりを説明させていただきたいと思います。
私がダンスを好きになったのは30年以上前、中学生の時でした。
アメリカの黒人文化から生まれたHIPHOPというカルチャーを知り、その音楽やファッションに魅了されたのがキッカケです。
その後、HIPHOPの4大要素と言われる
「ラップ」
「DJ」
「ブレイクダンス」
「グラフィティ」
という自己表現の手法を知ることになります。
高校生でDJを始め、1990年代末から2000年代初頭にはラップをしながら渋谷のクラブに出入りするようになりました。
今でこそ「Y2K」と呼ばれたりしていますが、当時はHIPHOP黄金期。私は思春期のすべてをHIPHOPに浸かって過ごしました。
日本でもアメリカのHIPHOPがムーブメントとなり、新譜のHIPHOPサウンドやUSのアーティスト達のMVでのファッションで踊るダンサーたちが次々と現れた時代です。
まだまだありますが、自分はこの様な雰囲気をリアルに日本のクラブのイベントで作ることに躍起になっていた時で、ステージで踊る彼らを見て、「自分は踊れないけれど、同じマインドを持つ同世代がダンスでカルチャーを表現している」ということに強く惹かれました。
当時は今ほどダンススタジオが多くなく、生徒がお金を払って作品に出る「ダンスナンバー」主体のイベントもありませんでした。
ダンサーたちはストリートやバトルの場、あるいはクラブでのステージや自分たちで作り上げたクラブのイベントで、自らの表現を磨いていたのです。
【「ビジネスコンテンツ」となったダンスの光と影】
さて、時代背景の説明が長くなりましたが、話を現在に戻します。
スタジオを13年運営する中で、この10年でダンスシーンは大きく様変わりしたと感じています。
コロナの影響によりInstagramやTikTokなどの爆発的な普及により、ダンスはより多くの人に認知され、支持されるコンテンツとなりました。その結果、誰もが気軽にダンスを楽しめる環境が整ったことは、非常に素晴らしいことです。
しかし、その反面で「ダンスがマネタイズのためのビジネスコンテンツになった」ことによる弊害も生まれていると感じています。
SNSでの拡散競争が激化し、集客のためのコンテンツが溢れる中で、消費者は「何が良いものなのか」 の 【本質】 が見えにくくなっているように感じます。
それは、ビジネスにする為の見栄えの良さや耳障りの良い言葉ばかりが多くアウトプットされ、それが先行し、それにより、質の低下や「勘違い」が起こりやすくなっているのです。
【数字への執着と「本質」の欠如】
その「勘違い」とは、SNSの数字だけが良し悪しの判断基準になってしまっている という事です。
プレイヤーも環境を作る者や企業も目先の数字を取ることに執着し、本質よりも「パッと見の映え」や集客に使える「ワード」ばかりが優先される。
そして、レッスンやスタジオ、インストラクター自身もプロモーションのために、見栄えのいいムーブでの振りに終始したレッスンや、人数を入れている事でのSNSでのマウントの取り合い、更には生徒に声援を送らせたりペンライトを持たせたりといった演出が目的化しているレッスンがあると聞きます。
それは、本来最も必要で大切なダンスの本質や生徒の未来に繋がる為の「基礎」という物が疎かになっていて、本来の目的としてあるべきスタジオの意味やレッスンの意味ということから逸脱し過ぎている様に感じています。
スタジオやインストラクターが集客、収益の為に生徒達を都合よく『ビジネスの為に利用している』という現状があると感じているという訳です。
その結果、未来の指導者となるダンサーの質の低下に繋がるという負のサイクルを、シーンにいる自分達で生んでしまっているという訳です。
「ダンスを踊る手段」として楽しむだけであれば、それでも楽しいのであればそれで良いのかもしれません。
K-POPやアイドルのコピーダンスなど、カルチャーとしてのHIPHOPに深く関わらないジャンルであれば自由です。
しかし、ダンスを突き詰め、上を目指そうとするならば、HIPHOPという表現を避けて通ることはできません。
スタジオというのは本来、その様なダンスで未来を夢見ている人達に夢を持てる環境を作る場だと思っている訳です。
上記にも書いた様に、HIPHOPという物は単なる「踊るためのジャンル」や「便利なワード」ではなく、長年紡がれてきた 黒人文化(カルチャー)であり、ライフスタイルそのもの なのです。
【リスペクトなき「文化の搾取」への危惧】
表現方法は自由ですが、そこに自分の生き様やカルチャーに対するリスペクトがあるかどうかが重要な訳です。
例えば、アイドルの曲でラップの手法を使っているだけで「今回はHIPHOPサウンドで」とプロモーションの為に書かれたもので表現されることがありますが、それはラップという手法を借りているだけであって、HIPHOPそのものではありません。
リスペクトなき流用は、文化の搾取(カルチャーバルチャー)になりかねないのです。
例えば、この動画を見てください。
使われているのは、NYのレーベル「Ruff Ryders」に所属するEveの『Who's That Girl?』という2001年にドロップされた曲ですが、
当時、この動画でもやっている様な、曲に合わせて肩を上下に動かす「シェイク」というムーブがストリートから生まれ、世界的なムーブメントとなりました。
EveのWho's That Girl? 意外でも、シェイクが表現で使われる様なサウンドの曲↓
昔のクラブではこの様な曲が流れるとシェイクをやるというのが当たり前で、DJやサイドMCやフロアなどもお洒落でイケてるアンテナの高い奴はあちこちでシェイクをやっているという感じでした♪
そして上のインスタでも分かる様に、USでは今もダンスシーンでも、こうした歴史的な背景やムーブがストリートのカルチャーという物が当たり前のように次世代へと紡がれています。
そもそもアメリカという場所では黒人文化がある事が『当たり前』という環境なので、自ら学ばなくてもアメリカならドップリそこに居なくても幼い頃から体感できる環境という日本との根本的な環境の違いがあると思います。
一方、日本では、同じ曲を使っていたとしても、曲の背景や文脈が無視され、ただ「カッコいいから」という理由だけで消費されてしまっているだけだなーと感じる場面が多々あります。
これが、私が危惧している「ビジネスとしての文化搾取」という訳です。
勿論、みんながみんな同じ表現をしろ!という事ではなく、カルチャーという物を理解した上で表現を作る。表現をする。という事がスタイルというものになるという事な訳です。
【未来のダンスシーンのために】
もちろん、日本にもカルチャーを理解し、伝えている方はたくさんいます。私はスタジオ運営者として、そうした方々を心からリスペクトしています。
ですが、昨今のダンスブームにより爆発的に増えているプレイヤーやインストラクター、そしてスタジオ。その数に対して、HIPHOPというカルチャーの本質を伝えている人は圧倒的に少ないと感じたりもしています。
勿論全てを知っている訳ではありませんが。。。
ビジネスとして利益を上げ、影響力を持つということは活動を続けるために必要でそれ自体は悪い事ではありません。
ですが、その中で本当に大切にしなくてはいけない事は「その先の未来に何を伝えているか」ではないでしょうか。
その為には、今の目先の数字だけではなく、次世代に、本質や、接していたり取り組んでいる物に対して、事の 真理 というもの伝えていくことこそが、場を作る者や指導する者の立場として、10年後、30年後の日本のダンスシーンをより良くするために必要な事では無いか?と思っています。
選択肢が溢れている今だからこそ、長年HIPHOPをライフスタイルとしてきた自分にしか伝えられない「リアル」を届けたい。その思いでこのnoteを始めました。
初回は少し重い内容になりましたが、こんな事ばかりではなく、HIPHOPというカルチャーの、音楽、アーティストの情報や楽曲など、自分が知る限りで伝えていけたらと思っています(^^)
知る事でご自身の表現という事の深さに繋げて貰えたらと思います。
これからの未来を創り上げていく次世代のために!!
最後までお読みいただきありがとうございました♪
それではまた!
