「漫画家やめたい」と思ったことのない私が『「漫画家やめたい」と追い込まれた心が雑談で救われていく1年間』を読んだら

 私は漫画家ではない。だから、「漫画家やめたい」と思ったことはない。だが、読んだ。『「漫画家やめたい」と追い込まれた心が雑談で救われていく1年間』(吉本ユータヌキ・2025年・集英社)というエッセイを。

 個人的には、この本の楽しみ方は、「1人の男性が1人の男性と出会い、交流することによって起こった奇跡、あるいは軌跡を描いた物語」として読むことだと考える。

 作中では、著者が悩んでいたときにコーチングの先生を紹介され、2人で雑談をしていくうちに心境の変化が訪れるという過程が書かれている。
 だが、コーチングを受けたからといって、誰もが著者のように「救われる」訳ではない。その証拠に、この本の最後にも、「コーチとの相性がすごく重要」「コーチを信じられるか、心から頼ることができるかによって、効果が大きく違ってくると思っています」という言葉がきちんとある

 では、なぜ著者はコーチングの先生と相性が良かったのか。
 答えは本文に触れるとわかる。

 作中では、漫画及び文章で、コーチングの先生の人柄や彼が口にした言葉、それらを受けて著者がどのような気持ちを抱いたかが紹介される。
 読んでいて思った正直な感想は、「著者とは違って、私が悩みを持っている状況なら、はっきりとした解決策を誰かに教えて欲しいと考えると思う」というものである(この文章を理解するためには、主に書籍のp.20~21を参考にして頂きたい)。そして、その理由は、著者と私が別々の人間だからだと考える。

 著者の場合は、「漫画家」という創作を生業にしている職業ならではの悩みがあった。それに加え、「漫画家」としてどうなりたいのか、ある程度の目標があった。だから、コーチングの先生からの「悩みがあるんですね。それなら、あなたはどうしたいのですか?」という意味合いの質問に答えられた。

 それに対して、私の場合、何か悩みがあったときに相談をして「あなたはどうしたいのですか?」と問われたら、「それがわからないから相談しているんです」または、「~したいけれど物理的に不可能じゃん」と、心の中で反論する(わかりやすい具体例を挙げたいが、ここに書く勇気はない)。

 だから、著者が1年間の雑談を通して心が救われていく過程に触れて、羨ましいと思った。元々人付き合いが苦手な性格のため、現時点では、私が「信じられる」「心から頼ることができる」人に出会った覚えはない(忘れただけかもしれないが)。ついでに書くと、そのような人との出会いを見つけるための行動を起こした覚えもない。

 という訳で、この本から得た学びは、「問題を抱えている場合、まず自身が解決策を探すための行動を起こさなければならない→それがきっかけで、心の底から自分の気持ちを話せる人、解決の糸口に近付けるような相性の良い人と出会えたらハッピー」である。これが、なかなか難しい。

#読書の秋2025 #漫画家やめたいと追い込まれた心が雑談で救われていく1年間

以下おまけ

 人との出会いではなく、本との出会いによって起こった小さな奇跡ならあった。それは、noteで「#読書の秋2025」の開催が発表されたとき、読み終えたばかりの『「漫画家やめたい」と追い込まれた心が雑談で救われていく1年間』が推薦図書だったことである。
 出版社や著者の求めるような感想とは異なるかもしれないが、「久しぶりにnoteを更新してみよう」という気持ちにさせてくれた。

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