【問い合わせ】物理演算エンジンの不具合および仕様の確認について
送信先: 運営サポートチーム 御中
件名: 物理定数の挙動、および人体のコリジョン設定に関する不具合報告
いつもプレイさせていただいております。
グラフィックの解像度の高さ、およびNPCのAIの複雑さには日々感服しております。
さて、本日は現在プレイ中の最新バージョンにおいて、明らかにバグと思われる挙動、およびゲームバランスを崩壊させている仕様が数点見受けられましたので、学術的な見地から報告させていただきます。
早急なfixをお願いしたく存じます。
1. 朝の寝室におけるGravity Fieldの異常数値について
現在、特定の条件下(冬季、気温10度以下、平日朝7時)において、寝具周辺の重力加速度が規定値(9.8m/s^2)を大幅に超過する事象が発生しています。
アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は時空の歪みであるとされています。しかし私の観測する限り、私の「羽毛布団」の質量がブラックホール並みに増大しない限り、あそこまでの事象の地平面(=起き上がれない境界線)は発生し得ません。
これは明らかに、私の意欲(Willpower)パラメータと、重力演算の係数が誤ってリンクしているバグだと思われます。
早急に「布団」オブジェクトの引力設定を見直すか、課金アイテムでもいいので「重力軽減アラーム」を実装してください。
2. エントロピー増大則のバランス調整ミス
熱力学第二法則において「エントロピーは増大する」という仕様があることは理解しています。
しかし、私の自室におけるエントロピーの増大速度が、減少速度に対してあまりにも有利すぎます。
不可逆変化であることは百も承知ですが、部屋を散らかすコストに対し、それを元の秩序ある状態に戻すコストのレート設定がおかしいのです。
このままでは、私の部屋が「熱的死(ヒートデス)」を迎えるのは時間の問題です。マックスウェルの悪魔を実装していただくか、エントロピーを減少させるための消費カロリーを下方修正してください。
3. 「足の小指」の当たり判定(Collision)の大きさ
私の操作するアバターの「足の小指」ですが、視覚的なポリゴンサイズに対して、当たり判定が肥大化していませんか?
タンスの角というオブジェクトに対し、目測では回避できているはずなのに、強烈なヒットストップとダメージ判定が発生します。
これは進化生物学および解剖学的な設計ミスです。
ダーウィニズムの観点から言えば、不要な器官は退化するか、あるいは防御力を高める方向へ進化するはずです。なぜ「急所」判定のまま、最もぶつけやすい位置に配置されているのでしょうか?
これは明らかに、プレイヤーへの嫌がらせ目的の配置(孔明の罠)です。
次回のアップデートで、小指のコリジョンを削除するか、痛覚センサーの感度を下げてください。
以上、3点につきまして、プレイ環境と学術的な整合性が取れておりません。
運営チームの誠意ある対応と、補填アイテム(スタバのギフトカードとか)の配布を期待しております。
件名: Re: 物理定数の挙動、および人体のコリジョン設定に関する不具合報告
ユーザー 様
運営サポートチームです。
お問い合わせいただきありがとうございます。
ご報告いただいた件につきまして、開発チームにて調査を行いました結果をご報告いたします。
1. 重力場の異常について
仕様です。
重力定数が変更されたのではなく、加齢に伴う「基礎代謝の低下」および「速筋線維の減少(サルコペニア)」により、相対的に身体を重く感じているだけです。筋トレを行ってください。
2. エントロピー増大について
仕様です。
部屋が散らかる速度は変わっておりません。加齢によりユーザー様の「認知機能」および「可処分体力」が低下し、現状維持に必要なコストを支払えなくなっている状態です。なお、「ルンバ」等の課金アイテムを使用することで難易度を緩和可能です。
3. 足の小指の当たり判定について
仕様です。
当たり判定が肥大化したのではなく、加齢により「固有受容感覚(自分の体の位置を把握するセンサー)」の精度が低下し、脳内のイメージと実際の足の位置にズレが生じているためです。回避できないのはプレイヤースキルの問題です。
本タイトルでは「老い」というデバフもコンテンツの一部としてお楽しみいただく設計となっております。現在のスペックに合わせてプレイスタイルを見直してください。
ただ、なんかかわいそうなので、menuの初回限定クーポンだけ添付しておきます。
なお、度重なる仕様への不服申し立ては、アカウントの停止対象となる場合がございますのでご注意ください。
引き続き『この世』をお楽しみください。
『この世』運営チーム
