第29話:「養蜂シーズンの区切りと秋の畑しごと」
長雨や緊急事態宣言で気分も天気もすっきりしない中でも、佐用での活動は少しずつ前に進んでいきました。
久しぶりの採蜜や巣箱の総点検、両親へのささやかなプレゼント、真空パックのハプニング。
さらに、活動4年目を迎えて畑にしっかり向き合い始めたこと、友人や地域の方とのご縁から「時間の使い方」まで考えるきっかけが生まれた時期でもありました。
1. おっ!晴れ間がくれた養蜂日和
コロナ禍で緊急事態宣言が出ていた頃、長雨続きで活動も思うようにいかない日々が続いていました。
そんな中で、佐用に着いた時の空模様は「曇り」。ところが少し待つと、ほんの短い時間だけ晴れ間がのぞきました。
その一瞬のチャンスを逃さず、父親に「やる?」と聞くと、
「やる」と即答。
延期していた採蜜を、約1か月ぶりに実施することになりました。準備したバケツは2セット。
巣箱ごとに作業を進めていくと、透明感のあるきれいなはちみつがゆっくりと姿を見せてくれました。





その後の快晴の日には、山奥も含めて巣箱の総点検へ。
新しいスパイク付き長靴を履いて山を駆け回り、里から山奥まで合わせて65か所の巣箱を確認しました。
新しい入居が見つかって喜んだり、ミツバチの出入りが少なくなって心配になったり…。
うれしさと不安が入り混じる、養蜂らしい1日でした。
2. 食べチョクTシャツと、両親へのささやかなプレゼント
日々の活動を支えてくれている両親に、何か「形」に残る感謝をしたい。
そう思って選んだのが、インターネットで「はちみつ」を販売している食べチョクのTシャツでした。


テレビ番組に出演されている代表の方が着ているのと同じデザイン。
前と後ろ、それぞれに工夫のあるプリントが入ったTシャツをプレゼントすると、最初は照れていた母親も、少しずつうれしそうな表情に変わっていきました。
「タンスにしまい込まず、ちゃんと着てね」とお願いしつつ、
「そのTシャツのことを聞かれたら『息子がうるさくてね。インターネットでニホンミツバチのはちみつを売ってます』って宣伝してね」と“営業トーク”も伝授。
いつもの活動の裏側には、こうしたささやかなやり取りや笑いがあって、
それが私にとっては何よりのモチベーションになっています。
3. 真空パックのハプニングと、食材から学んだこと
ある日、先週収穫した朝採りのトウモロコシが余ったため、真空パックで保存することになりました。
久しぶりに機械を使った父親は、パックしたトウモロコシをそのまま常温で保管。
しばらくして取り出してみると——
袋はパンパンに膨れ上がり、まるで「なんじゃ、こらー」と叫びたくなるような状態に。
トウモロコシから出たガスが袋の中にたまっていたことが原因でした。



この一件で、「真空パック=どこでも大丈夫」ではないことを身をもって実感。
次からは冷凍保存に切り替えるなど、保存方法も見直していく必要があると学びました。
同じ頃、畑では春に剪定を手伝ったキウイが順調に育ち、ゆずも季節ごとに使い分けができるくらい実り始めていました。

お吸い物、ジャム、冬至のゆず湯…と、季節の移ろいとともに食材の出番も変わっていきます。


山や畑の恵みをどう活かすかを考えることも、この活動の大切なテーマだと感じるようになりました。
4. 活動4年目、畑と暮らしを見直す秋
この活動も4年目に入りました。
それまで「週1回の手伝いでは畑は無理だ」とどこかで線を引いていた私ですが、
過去に中途半端に終わったルッコラやクレソンの栽培を振り返り、「きちんと学んで取り組まないともったいない」と考え始めます。

秋冬野菜のタイミングを逃さないよう、白菜の苗にはネットをかけ、ホウレンソウやコカブの種まきも実施。
「最初の準備から収穫、次の栽培につなぐところまで、意味を理解しながら覚える」ことを意識し始めました。

一方で、実家では冷蔵庫の水漏れが発覚。
「人生最後の買物」と言いながら新しい冷蔵庫を選ぶ両親の姿を見て、
これまで貰い物の冷蔵庫を含めて6台も使い分けてきた暮らしぶりや、
梅やゆずジャムを大事に保存してきた母親の工夫にも、あらためて気づかされました。

限られた体力と時間の中で、何を残し、何を手放すのか。
畑仕事と同じように、暮らし全体のバランスも少しずつ見直していく秋となりました。
5. 友人たちとのつながりと、これからの時間の使い方
9月19日は、大切な親友の命日。
毎年続けている節目の活動として、今年も親友Fくんと一緒に友人宅を訪ね、仏前でこの1年の報告をしました。
「これからも見守っていてほしい」と心の中で問いかけながら、亡くなった人との距離感についても考える時間となりました。
畑ではむかごを収穫し、ニラの草取りをしながら、一番最初に収穫する「一番ニラ」の甘さに思いを馳せます。



一方で、ウッドショックのニュースをきっかけに、放置された山の木材のことや、これからどう活かしていくかという課題にも目が向き始めました。
Twitterでは、2月からほぼ毎日つぶやきを続けてフォロワーが増え、
地元の友人たちだけでなく、遠く離れた方々とも情報共有や交流が生まれています。
また、油絵や水墨画、写真などで活躍されている両親世代の方々の話を聞き、
「少しずつの努力」と「自分で考えて続けること」の大切さを、実績ある言葉として受け取る機会もありました。
貧富に関係なく、誰にでも平等に与えられているのが「時間」です。
その限られた時間をどう使うのか——。
マインドブロックを破りながら、「もっと、もっと。さあ、やるぞー」と前に進みたいと強く思った時期でもありました。
まとめの一言
長雨やコロナ禍で思うように動けない日が続きながらも、
晴れ間を逃さずに巣箱を確認したり、畑に向き合い直したり、暮らしの道具を見直したり。
日々の小さな選択や行動が、少しずつ自分の「これから」を形づくっているのだと実感した秋でした。
次回予告(#131~135より)
次回は、秋の収穫シーズン本番のお話です。
ナツメや桑の葉、あけびなど山の恵みを収穫して乾燥・加工に挑戦したり、中古の耕運機「こまめちゃん2号」が登場したりと、畑と山の仕事が一気に加速していきます。
さらに、朝霧の佐用町や鹿・ハクビシンとの遭遇、太陽光発電や山の管理の課題、軽トラ不在の中で進めた伐採作業、そして佐用のホルモンうどんや友人の入籍エピソードまで、「佐用での暮らしとこれから」を考える場面が続きます。
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本文末のひと言
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