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私の結婚が、将棋に委ねられた結果

結婚の挨拶って、なんであんなに緊張するんでしょうね。
残念ながら僕には経験がありませんが、、、

ほぼ初対面のおじさんに「娘さんをください」と頭を下げる。
よく考えたらすごい儀式です。

この話の彼女の父親は、そこに将棋を持ち込んできます。
「将棋でワシに勝てなきゃ結婚は認めん!」

本当は娘を取られるのが寂しいだけなのに、
それを直視できないから、将棋をダシに拒絶する。

感情を、勝敗という処理しやすい形式に
変換しているわけです。
わかる人にはわかると思います。

ところがこの彼氏、すごい返し技を持っていました。
「うちの親父も将棋強いんで、代わりに対局してもらいます」
――自分の結婚なのに、自分は勝負しない!?

担当者に振る。社会人としては
案外正しい判断と言えるけど、
彼女に対する熱い想いはないのか?


そして両家の顔合わせ。

普通なら空気が張り詰めるこの場面で、
父親二人は顔を合わせた瞬間にスイッチが入ります。
「俺に勝とうなんて100年早いわ!」
「叩きのめしてやる!」

もう結婚の「け」の字も出てきません。

盤を挟んで、完全に没入。利害も忖度もなく、
ただ純粋に勝ち負けに夢中になれる相手。
中年の男にとって、これは奇跡みたいな出会いなんです。

娘の人生? 後で考える。今は飛車だ。

結果、彼女の父親が勝利。彼女は青ざめます。
「これじゃあ結婚できない…」

ところが、負けた彼氏の父親が
「くそ! もう一局だ!」と再戦を要求。

「おお、望むところだ!」
勝った彼女の父親も嬉々として
受けて立ちます。

……結婚の条件、どこいった!?

彼女の父親が本当に守りたかったのは、
将棋に勝つことじゃなかったんです。

「本気でぶつかれる相手がほしい」だった。
それが満たされた瞬間、条件なんてどうでもよくなった。
二人はすっかり意気投合し、結婚はあっさり承諾されます。

人の心が動く理由って、だいたい理屈じゃないです。


で、ここからが本当に面白いところ。

実家の近くに住み始めた二人

その愛の巣に何故か父親たちが
しょっちゅう現れます。

手土産は将棋盤。目的は将棋談義。
娘夫婦の新生活を見に来たんじゃない。
対局しに来てるんです。

彼女がついにキレる。
「いい加減にしてよ! 将棋なら自分たちの家でやって!」

すると父親二人、青ざめて震え上がる。
なぜ、こんなに怯えているのか?

いつも熱い父親二人は、小さくなって
細々と口を揃えて話します。

「家だと、うるさいって母さんに怒られるから……」

ここで全てがつながります。
この二人の共通点は、
将棋が好きなだけじゃなかった!

両方とも、かなりの恐妻家だったんです。


家に居場所がない中年男が二人。
唯一息ができる場所が「将棋の盤の前」だった。
だから娘夫婦の家を、避難所にしていたという訳だ。

最初は「似た者同士で笑える」って話に見えるけど、
よく考えるとちょっと切ない。

彼らが結婚の条件に将棋を持ち出したのも、
顔合わせで没頭したのも、全部つながってる。

本気でぶつかれる場所と、
安心して逃げ込める場所を、
ずっと探してたんですね。

そして、逃げ込む先があるって、
案外、悪いことじゃないのかもしれません。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。

追伸
他にもこんな漫画を描いています。

本業の整体に関する漫画もあります。


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