人口は減っている。それなのに世帯数は増えている。筑西市の数字から見えた『これからの仕事』
先日、筑西市のこれからについて考えるために、改めて人口の推移を調べていました。筑西市の人口が減っていること自体は、もちろん知っています。実際、国勢調査を見ると、1995年に118,078人だった人口は、2020年には100,753人まで減少しています。そして2026年7月現在では、約9万6千人。約30年間で、2万人以上減ったことになります。
「やっぱり、かなり人口が減っているな」
そう思いながら数字を見ていたのですが、一つ気になることがありました。
それが「世帯数」です。
人口が減っているのに、世帯数は増えている
1995年の筑西市の世帯数は、33,329世帯。それが2020年には37,491世帯となり、現在は約4万世帯になっています。
人口は大きく減っている。
ところが、世帯数は逆に増えている。
最初は「これって空き家も世帯数に入っているのかな?」と思いました。
しかし、そうではありません。基本的に誰も住んでいない空き家は、世帯数にはカウントされません。
では、なぜ人口が減っているのに世帯数が増えるのか。
理由の一つが、一つの世帯で暮らす人数が減っていることです。
1995年は、118,078人 ÷ 33,329世帯なので、1世帯あたり約3.54人。
現在は、約95,800人 ÷ 約40,500世帯なので、約2.37人です。
30年ほどで「1世帯3.5人」から「1世帯2.4人」へ。
かなり大きな変化です。
家族が減ったというより、「家族の暮らし方」が変わった
昔であれば、祖父母、両親、子どもが同じ家に暮らすことも珍しくありませんでした。
ところが現在では、
親は親で暮らす。
結婚した子どもは別の家を持つ。
高齢になって夫婦二人で暮らす。
配偶者が亡くなれば、一人暮らしになることもある。
筑西市で起きているのは、まさにこういうことなのだと思います。
しかし、その一方で空き家も増えている
さらに興味深いのが住宅の数字です。
筑西市の資料によれば、2018年の住宅・土地統計調査では、市内の住宅総数42,750戸に対して、空き家は6,950戸。
空き家率は16.3%でした。
もちろん、これは統計上の推計値です。
それでも、かなりの数です。
さらに筑西市が実際に現地調査を行い、「空き家と思われる建物」として確認したものは、2022年3月時点で2,502件ありました。
こちらは住宅・土地統計調査とは調査方法や定義が違うため単純比較はできませんが、人口が減り、世帯が小さくなり、その一方で使われなくなる建物が増えている。
この大きな流れは見えてきます。
空き家になる大きなきっかけは「相続」
さらに気になったのが、空き家が生まれる理由です。
筑西市が行った空き家所有者への調査を見ると、空き家となった理由として最も多かったのが「相続」でした。
そして空き家所有者の75%以上が60歳以上。
空き家になってから「10年以上」という回答も多くあります。
親が亡くなり、実家を相続した。しかし、自分にはすでに家がある。実家に戻る予定もない。かといって、思い入れのある実家をすぐに売る決断もできない。
そうして何年もそのままになってしまう。
これは筑西市だけではなく、これから全国の地方都市でますます増えていく問題なのだと思います。
「人口が減る=すべての市場が小さくなる」ではない
人口減少について考えると、どうしても、
「人が減るんだから、地域の商売も厳しくなる」
という方向に考えてしまいます。
もちろん、人が減れば消費も減ります。働く人も減ります。
住宅を新しく建てる需要も、長期的には減っていくでしょう。
ただ、今回数字を調べながら、少し違う見方もできるのではないかと思いました。
それが、
「これからは、新しい建物をつくる市場から、今ある建物をどうするかという市場へ変わっていく」
ということです。
人口が減っても、建物が同じ速度で消えていくわけではないことが、ここまでの流れで予測できます。
住宅もあります。
アパートもあります。
店舗もあります。
工場もあります。
事務所もあります。
そこに人が住まなくなったからといって、翌日建物がなくなるわけではありません。
むしろ人口が減る地域だからこそ、
誰が管理するのか。
誰が草を刈るのか。
誰が清掃するのか。
誰が修繕するのか。
売るのか。
貸すのか。
解体するのか。
そして、次にどう使うのか。
こうした仕事の重要性は、これから高まっていくのではないでしょうか。
私たちの仕事にも大きく関係してくる
私は現在、筑西市でビルメンテナンス会社の経営に携わっています。
これまでは清掃を中心に、設備管理や工事など、建物を「維持する仕事」に関わってきました。そして今後は、不動産分野にも事業を広げていきます。
今回、筑西市の人口や世帯、空き家の数字を改めて調べてみて、この方向性は地域の変化ともつながっているのではないかと思いました。
例えば、一軒の空き家が発生したとします。
相続した人は遠方に住んでいる。
そうなれば、
残置物の処分。
庭木の剪定や草刈り。
建物の清掃。
設備の点検。
必要な修繕。
そして、売却や賃貸。
賃貸するのであれば、その後の建物管理。
こうした仕事はすべてつながっています。
これまで私たちは「建物を管理する」という立場から仕事をしてきました。
そこに不動産という機能が加われば、
建物を維持するところから、その建物の次の使い方まで関わることができる。
人口が減っていく地域だからこそ、こうした会社が必要になるのかもしれません。
いつか「世帯数」も減り始める
そして、もう一つ考えておかなければならないことがあります。
今の筑西市は、人口は減っているけれど、世帯数は増えている。
しかし、この状態がいつまでも続くとは思えません。
1世帯あたりの人数が3.5人から2.4人になったことで、これまでは人口減少の中でも世帯数が維持されてきました。
しかし、世帯人数が小さくなるにも限界があります。
人口がさらに減っていけば、いずれ世帯数そのものも減少する時期が来るはずです。
そのときには、
人口減少
世帯数減少
空き家増加
が同時に進む可能性があります。
だからこそ私は、筑西市を見るときに「人口が何人になるのか」だけではなく「世帯数がいつピークを迎えるのか」にも注目していきたいと思っています。
人口が減る町で、何をするのか
私は筑西市で生まれ育ちました。そして今、この町で仕事をしています。
人口が増えていた時代と同じことをしていれば、これからの30年を生き残ることは難しいでしょう。
でも「人口が減るから、この地域には未来がない」とも思いません。
人口構造が変われば、必要とされる仕事も変わります。
新しく建物をつくることだけではなく、
今ある建物を守る。
使われなくなった建物を次につなぐ。
地域に残っている資産をもう一度活かす。
そういう仕事は、これからむしろ必要になっていくのではないでしょうか。
人口約9万6千人。
世帯数約4万世帯。
そして数多く存在する空き家や既存建物。
この数字を「地域が衰退している証拠」とだけ見るのか。
それとも「これから解決しなければならない仕事が、そこにある」と見るのか。
経営者としては、後者の見方をしていきたい。
そして、自分が生まれ育った筑西市だからこそ、この町がこれから必要とする仕事をつくっていきたいと思っています。
