「なぜ焼き鳥職人は、串を入れ替えるのか」
焼き鳥屋のカウンターから見えるお馴染みの風景。
職人が、串をあちこち動かしている。
右に置いたり。
左へ寄せたり。
手前から奥へ。
奥から手前へ。
あれは、何をしているのか。
ただ並べ替えているわけじゃない。
焼き鳥を動かしているのではない。
温度を動かしている。
まず、部位ごとに火入れを変える
焼き鳥は、部位によって性格が違う。
皮。
ささみ。
つくね。
もも。
同じ鶏でも、全部違う。
脂の量が違う。
水分量が違う。
火の入り方が違う。
だから、同じ火で焼くことはできない。
皮には皮の火入れ。
ささみにはささみの火入れ。
まずは部位ごとに焼き方を変える。
ここまでは、想像しやすいと思う。
でも、本当はそこから先がある。
同じ部位でも、一本ずつ違う
職人は、部位だけを見ていない。
一本ずつ見ている。
同じねぎま。
同じ皮。
同じつくね。
それでも、焼き上がりは少しずつ違う。
肉の大きさ。
刺し方。
脂の付き方。
わずかな差がある。
だから、本当は一本ずつ状態が違う。
そして、その違いを揃えるために串を動かす。
焼き台には、温度差がある
ひとつの焼き台。
でも、温度は均一じゃない。
強い場所がある。
弱い場所がある。
早く焼ける場所がある。
なかなか焼けない場所がある。
炭の量。
炭の形。
火の回り方。
同じ台の上でも、場所によって別の焼き台みたいなものだ。
だから、串を入れ替える
ここで職人は串を動かす。
早く火が入った串は、弱い場所へ。
まだ火が足りない串は、強い場所へ。
仕上がりを見ながら。
一本ずつ動かしていく。
目的はひとつ。
全部を同じタイミングで、同じ状態に仕上げること。
焼き鳥は、ただ置いて待つ料理じゃない。
動かして揃える料理だ。
だから、串を入れ替える
カウンターで見たことがある、あの動き。
職人が串をあちこち動かしている。
あれは癖ではない。
意味がある。
焼き台の温度差を読み。
串の状態を見て。
一本ずつ最適な場所へ置いている。
部位ごとに変える。
さらに、串ごとに変える。
焼き鳥の火入れは、想像以上に細かい。
だから職人は、今日も串を入れ替えている。
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