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焼き鳥の香りは、煙が運んでる。

焼き鳥屋は煙との戦いだと思われている。

違う。

煙は敵じゃない。

味方だ。

むしろ煙がなければ、
焼き鳥らしい香りは生まれない。

焼き台から上がる煙。

多くの人は、

炭から出ている煙だと思っている。

実は違う。

煙の正体は、鶏から落ちた油分や水分だ。

焼いている途中。

鶏から脂が水分が落ちる。

それが高温の炭に触れると煙になる

その煙が上へ上がる。

そして肉を包み込む。

焼き鳥の香りは、

炭だけで作られているわけじゃない。

鶏自身の油。

鶏自身の水分。

そこにタレの香りや、塗った油の香りも混ざる。

煙は、香りの運び屋だ。


よく観察すると分かる。

煙にも種類がある。

水分が多い煙。

油分が多い煙。

タレが焦げて出る煙。

全部違う。

香りも違う。

職人は無意識にそれを見ている。

煙の量。

流れ方。

立ち方。

香り。

全部が情報だ。


焼き台が一番良い状態の時。

煙は薄く白く流れている。

一定だ。

脂が落ちる。

煙が立つ。

しかし炎は出ていない。

これが理想だ。

煙はある。

だが暴れていない。

静かに流れている。

その煙が肉に香りをまとわせる。


煙が多ければ良いわけではない。

ここを勘違いしてはいけない。

煙が増えすぎると、

次に来るのは炎だ。

脂が落ちる。

煙になる。

さらに増える。

そして火がつく。

炎になる。


職人が一番嫌う煙は、

炎が上がる直前の煙だ。

あの煙は危険信号だ。

もうすぐ火になる。

炎になると、

香りは変わる。

肉は焦げる。

火入れも崩れる。

だから職人は煙を見ている。

煙が増えたら串を動かす。

場所を変える。

火を散らす。

煙をコントロールする。


焼き鳥は炭だけで焼いているわけじゃない。

煙でも察知している。

煙で香りをつけている。

だから職人は煙を嫌わない。

ただし、煙に振り回されてもいけない。

煙を味方につける。

それが炭火を扱うということだ。

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