たれは、味だが味じゃない。
たれの作り方は、人それぞれだ。
ここでは書かない。
各自で研究することが楽しい。
それよりも、大事なことがある。
たれを、いつつけるか。
今日は、その話だ。
杉の屋のたれは、あっさり
うちのたれは、あっさりしている。
何本でも食べられるように。
濃すぎるたれは、一本で満足する。
でも焼き鳥は、何本も食べてほしい。
だから、たれは薄めに設計する。
二度づけで、ちょうどいいくらい。
足りなければ、もう一度くぐらせる。
最初から濃くしない。
それが杉の屋の考え方だ。
たれのりという問題
たれには『のり』がある。
よくつく食材。
つきにくい食材。
そして、もうひとつ。
同じ食材でも、状態によって変わる。
一度焼いた食材には、たれが乗りにくい。
焼く前につけた方が、よく乗る。
火が入った表面は、たれをはじく。
焼く前の表面は、たれを受け入れる。
同じ鶏肉でも、まるで別物だ。
粘度を上げれば解決するのだが
たれのりを良くする方法はある。
粘度を上げることだ。
とろみを強くする。
そうすれば、たれは食材に絡む。
でも、ここに問題がある。
粘度を上げると、味も濃くなる。
たれのりは良くなる。
しかし、何本も食べられなくなる。
あっさりした杉の屋のたれとは、
逆の方向だ。
だから、タイミングで解く
味は濃くしたくない。
でも、たれは乗せたい。
この矛盾をどう解くのか。
答えは、タイミングだ。
粘度で無理やり絡めるのではない。
いつ、くぐらせるのか。
どの段階で、たれをまとわせるのか。
そこを設計する。
たれは味だけではない。
焼きの工程そのものだ。
食材で変わる
タイミングは、すべて同じではない。
皮。
手羽先。
脂の多い部位は、たれをつけるとめっちゃ焦げやすい。
脂と糖分が反応して、一気に色がつく。
だから、仕上げ際につける。
逆に、そうでない食材は違う。
同じたれでも、同じ扱いはしない。
食材ごとに変える。
それが火入れだ。
たれ焼きの方が仕上がりは早い
最後に、意外な話をする。
塩焼きと、たれ焼き。
早く仕上がるのは、どちらか。
たれ焼きだ。
たれをまとった食材は、塩焼きより早く色づく。
見た目の完成も早い。
だから職人は、その先を見て焼く。
色だけで判断すると、焼きすぎる。
たれは味をつけるためだけのものではない。
火入れそのものを変える。
だから、つけるタイミングが重要になる。
だから、たれは薄い
うちのたれは、濃くない。
たれのりを粘度で解決していないからだ。
味を濃くして、無理に絡めない。
タイミングで乗せる。
だから、何本でも食べられる。
たれは、濃さで決まらない。
たれは、味だけでもない。
たれは、つけるタイミングで決まる。
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