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NovelJam2025 デザインノート(序)

日本でおそらく唯一の文芸ハッカソン「NovelJam2025」が無事閉幕した。このイベントが普通の文芸イベントと異なるのは、書くだけではなく「編集」し「デザイン」し「出版」までもっていく所で、デザインまで踏み込んで作りこむ文芸イベントはあまり例がないだろうな、と思う。

そして今回、久々にデザインにもプライズが用意されたたゆえに、デザインアドバイザーとして運営側にいた自分は贈賞式までデザインに対するコメントを一切してこなかったのだけど、この11/16日に贈賞が決定したのでようやく書きますね、って話です。

さて今回デザイン審査を行ったのはこの方。

名古屋芸術大学の准教授ナカノケンさんです。電子書籍黎明期から出版のデザインに携わり、デジタルと書籍装丁についての知見が深いまさに本イベントにうってつけのおひとだ。

ではしょっぱな、ナカノ先生が選んだ作品を見てみよう。

デザイン賞
『七日目の希望』デザイナー:いちじく

ナカノ賞 1(デザイン賞とは別途設けられた個人賞)
『株式会社地獄移住課』デザイナー:石川龍之介

ナカノ賞 2
『六弦フェニクス!!』デザイナー:宮内理央

本戦のデザイナーセッションで各作品へコメントされていた事もあり、今回個別講評はなかったものの、全体講評から選考にあたり重視した視点を僕なりに解釈すると以下のようなものだと思う(間違っていたらご指摘ください、ぼくの想いも入っているので)。

●AIとどう関わるか

もはやグラフィックの世界においてはAI抜きに物事を語れなくなっている。が、人間にできること、やるべきことはまだあり、それはデザイナー自らがオピニオンをしっかりと握っていくこと。AI時代におけるデザイナーとは既に広義のアートディレクターなわけで、そこの、つまりデザインをフィニッシュしていくためのビジョンの強靭さと確かさが問われたのだとぼくは理解している。

AIに答えを聞くのではなく、答え(どんな読者に作品のストロングポイントをどう見せていくか、フックを作るか、いわばプランニング領域でのデザイン視点)をデザイナーが持った上でAIを使う、あるいは使わない、という順序であるべきで、強いビジョンがあればAIを上手に使おうが手書きでやろうが構わない、とそんな姿勢。まったくその通りだと思う。

●タイポグラフィの強度とチャレンジ

ナカノ先生曰く、タイポグラフィはまだAIが人間に追いついていない領域らしい。ゆえに書籍タイトルとなるタイポに向き合って優れたデザインを出力しているか、は、大きな評価ポイントになったと思う。AI云々を差し引いても、書籍の顔であり名であるタイポとの向き合いは装丁デザインである以上重要なので、評価点としてはとても正しいと思う。

ところでなぜタイポの世界ではいまだ(2025年現在の)AIが人間に勝てないのか。生成AIは背後で大規模言語モデルが動いているわけで、それ自体が言語のビジュアル化であるタイポが苦手なのはなぜか、僕なりに考えてみるにそれは人間なればこそ可能な、文脈を作った上での象徴化の作業にあるように思う。

文字はすなわち言語だけど、言語はすなわち文字ではない。文字は言語のもつ意味を高度に抽象化したプロポーションを備えており、デザイナーはそのプロポーションを、目指す文脈にしたがって磨いていく。フォントの選び方文字の並べ方ひとつで同じ言葉でも背負う文脈は変わるわけで(同じ「だいすきだ」という文字列でも川平慈英が叫ぶのと原菜乃華がつぶやくのでは全く異なる背景が生まれる)、そのハイコンテクストを適切にコントロールしながら形として象徴化させる作業はだからまだ人間の領域ということか。うむ、それっぽいな。
でも実際そう思いますね。タイポば言葉を扱うくせに非言語領域の情報がめちゃくちゃ多いというかむしろ過半なのだ。

そんなタイポグラフィの強さとチャレンジに対し、評価があったのだと思いう。強さといっても単にでかければ良いというわけでなく、フォント選定やレイアウトの完成度で世界観をどう作っていくか、がおそらくポイントだと思われるのは、デザイン賞の書影を見ればまぁ、わかる。

●そのうえで…

上記を踏まえたうえで、新しさがあるかという視点は当然のようにあったようだ。生成でたいていの絵は作れる時代なので(でも一方で「何からしさ」は見込み読者に対する誘導情報として必要ですよね、って意見は今度は作家サイドの審査員の先生方からあった。その件については最後に触れます)。

と、そんな前提をもって各作品を見ていこう!

(以下次号!)
 

ノベルジャム2025の作品はこちらで購入できます

ちなみにこの記事を書いた人のプロフィール
・都内某デザイン会社のクリエイティブディレクター
・兼プロモーションプランナー
・NovelJam2018に参戦し山田彰博賞受賞
・その後2019よりデザインディレクターとして運営サイドに

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