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『トイレのゴールデンタイム』|エッセイ|短編小説|カフカ|トイレ|清掃員|オフィス|別棟|通勤ラッシュ|自習室

今日はめちゃくちゃ眠い。朝早く(4:20頃)起きてから、夢の日記を書き、そして、朝ごはんをゆっくりと食べた。夢日記を書く時間が長くて、5時に起きた時のような、時間の進み具合だ。

会社に早く着く。私はいつもそうだ。渋滞を免れるためなら早起きをして、走りやすい道路に鉄の塊を転がす。愛着のわくこの物体は、私の思考のお供でもある。何もない時間がまるで、宇宙空間にいて何でも生み出せるかのように思わせる。ラジオを聴くもよし。無音もよし。音楽を流すもよし。窓を開けるのもよし。閉めて冷暖房をつけるのもよし。選択肢はいろんなところに転がっている。

早く会社に着いた時は、いつものように自習室的なスペースにいることにしている。オフィスとは別棟だ。そして、ある程度の時間になったら、実際の職場のオフィスへ向かう。大体は7:57ごろに、自習室らしき場所を出ていけばちょうどいい。トイレによって、調整すれば、始業開始8:30の15〜20分前に着く余裕を持った感じになる。

ゆっくり食べた朝ごはんが、今になって眠気として重みを増して現れてくる。これは7:34ごろのことだ。

頭でふと考える。作家カフカの『変身』の主人公であるグレーゴル。昆虫化している人。それは、この世の出来事を仮面を被ったレンズでしか見えない人のことを指すのではないだろうか。

そう考えることにし、私は怒鳴りつけてくる上司にあだ名をつけた。「この人は昆虫化してしまっているな」と、心で思うことにした。私の中で、これは「昆虫化」というシンプルな言葉に要約された。ブチギレて、固定化された価値観を押し付けてきたり、決めつけられたりした時には、「あ、昆虫化」「はい、昆虫化〜」と、思うことで、自己を責める必要もない。

ここで、腹痛が押し寄せてくる。便意のほうだ。タイミングが悪い。しかし、これは『トイレのゴールデンタイム』というタイトルが浮かび上がるきっかけとして機能した。

平日のトイレには難点がある。早めに会社に到着し、自習室に向かう時。それはトイレのゴールデンタイムだ。ちょうど、通勤が終わり、オフィスビルの別棟に着いた時。その、ふとした安心から、どうやら膀胱が緩んだり、腸が活発になるらしい。朝6:17に家を出発し、6:40に職場の駐車場に到着。10分くらい車でゆったりと過ごした。そして、駐車場から歩き出し、大体7時5分くらいに別棟に着く。その別棟は大体7時から8時にかけて、トイレの清掃が行われる。私が着く頃にはいつも掃除の時間だ。トイレに寄ることはできない。胸元くらいの高さで黄色いチェーンが入り口を塞いでいる。一度7時前に入ったことがあったが、それでも清掃員は容赦なく黄色いチェーンを施す。私は、用を足した後、それをくぐり出て、廊下に飛び出し、人とぶつかりそうになったのを覚えている。ヒェッと背筋が凍りつくような感覚と、その後に脇汗が出る感覚があった。ここは通勤時の廊下に面したトイレで、通勤ラッシュの時間帯には行列ができる。まっすぐと歩く事はまず無理だ。蝶のようにヒラヒラと、そしてカニのように横歩き。トイレの出入り口から出る時に左右を確認し、人混みを避けてヒラヒラと通り抜けなくてはならない。

そして、自習室での時間が臨界点を迎え、職場のオフィスの棟へと向かう。自習室らしきとこに向かう過程で我慢していた便意を晴らそうとトイレによっていこう。と、心で静かに決める。トイレなんて心に決めるものではないよな、なんて思いながら淡々と向かう。そしてトイレに差し掛かる前に廊下ですでに見える黄色い「清掃中」という文字と共におじぎした人のイラストが映る物体。「ト…トイレに憚られている?」と浮かんでくる思考。タイミングがいつも悪い。別棟で過ごす時間帯にはそちらのトイレが清掃中。オフィスの棟に行く時間帯にはそのトイレが清掃中。という事実が突きつけるトイレとの距離感。オフィスのほうは緩やかで優しく、看板が立っていても、全然使える。が、私は清掃員さんの邪魔を考慮して、遠慮しがちだ。それゆえ苦しい。トイレだけで、ここまでエッセイを書けるとは思いもしなかった。

ある男と、トイレのゴールデンタイムの話であった。


ーーもし……、誰かの固定された価値観を押し付けられ、潰れそうになったら、カフカの視点を持ったレンズをかけてみてはどうだろうか。

ーーもし…、理不尽な事実を目の当たりにしたら、言語化してみて、細かくその情景を文章にしてみたらどうだろうか。単語でもいい。とにかく出力してみることで、そこには物語が生まれる。

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