新譜新曲ゲーム音楽紹介:グノーシア、Expedition 33、ブラダス2、DJ MAX、鳴潮、シャニソンほか【2025年12月編】
こんばんは、ゲーム音楽DJ/キュレーターのすいそです。
あけましておめでとうございます、なタイミングすら過ぎてしまいましたが変わらずやっていきます。2025年12月のゲーム音楽&ゲーム関連曲紹介noteです。
今回かなりジャンルが偏ってしまい、半分くらいハウスです。如実に好みが出ています。その分ビート感がしっかりしている楽曲が多いので、DJさんとかにも届くといいなあと思ってます。では10曲、よかったら聴いていってくださいませ。
FLOOR KILLER / 梅田サイファー, Cosaqu, KennyDoes, テークエム, peko, KOPERU【グノーシア】2025.12.1
BPM178。アニメ版『グノーシア』8話からのエンディングテーマ。ジャンプアップ系のドラムンベースビートにニューロファンクのような重く軋むフォグホーンを加えたヒップホップで、グライム的な融合進化の方向性も含めCamo & Krooked、P Money、D Double EらがBouのもとに集った「Swerve It」を想起させる。それにしてもフロウが強烈。KOPERUにいたってはカリスマもかわいげも突き抜けていて敵なし隙なしの強さ。『グノーシア』とは決して言わず韻を踏み続ける粋なリリックにも脱帽するが、そもそもサイファーを人狼の議論に見立てた時点で相当な強度がある。
Time to Swim Swim / Lorien Testard【Clair Obscur: Expedition 33】2025.12.12
BPM133。2025年のGOTYを席巻したフランス産RPG『Clair Obscur: Expedition 33』のアップデートコンテンツ「Verso's Drafts」での戦闘BGM。バレアリックな解放感にシズル感のある音使いを仕込んだディープなプログレッシブハウス。水しぶきのような粒度の細かいハイハットの刻みとシェイカー類の協奏が本当に気持ちいい。本編のどの曲ともまた違う音楽性で、一体どれだけの引き出しをまだ隠し持っているのか、あるいはこの先も進化し続けるのかと、Lorien Testardの底知れなさが強まるばかり。
Field Trip / Kim Ji Hyeon【ブラウンダスト2】2025.12.16
BPM120。『ブラウンダスト2』のサントラ第4弾より、2025年の夏イベント「スプラッシュクイーン」のマップ曲。祝祭感のあるトロピカルハウスで、ベースの金属感やビートのハネ具合はフューチャーバウンスにも近い。本サントラはほかにも、タイトなファンキーブレイクスから凶悪なリディムコアに展開する「Super Soker」、ギターとピコピコのフューチャーコア「Sunshine」、ドンクっぽいキックにリースベースがうなるニューロ「Overflow」など、DJユースなトラックが充実。
Mirage Night / NieN, Yurisa【DJMAX RESPECT V】2025.12.18
BPM144。音ゲー『DJMAX RESPECT V』の追加パック「V LIBERTY IV」より。80'sシンセポップの質感溶け込むメロウなシティポップ。アルバムの並びでいうとこの曲から続く2曲、フィジェットなニュージャズ系ツーステップガラージ「Crazy」、Night Tempoによるニューウェイヴ~テクノポップ色強めなシンセポップ「New Fantasy」の流れがかなりアツい。ちなみにYurisaは韓国人のシンガー/モデルで、本楽曲と同じくNieNが手掛けた「Song For You」(「V LIBERTY」収録)でも歌唱を担当していた。ほかにも『NIKKE』の「Unbreakable」や、『サマナーズウォー:クロニクル』、『ラングリッサーモバイル』などディスコグラフィはゲーソン多め。
Love Colors / シイナ (琴宮歩夢), アメ (元吉有希子), Snail's House【QQQbeats!!!】2025.12.18
BPM137。タイトーの新生音ゲー『QQQbeats!!!』のサントラより、Snail's House(Ujico*)によるオープニングテーマ。JトランスのDNAにブレイクビーツ掛け合わせつつ、今っぽいキラキラKawaiiを盛ったフューチャーブレイクスとでも称したくなるスタイルの楽曲。定番サンプリングのシンクブレイクがレイヴィーな高揚感とオールドスクールな空気感をもたらしていて、一周回ってとびきりフレッシュな聴き味に着地している。
Catch Me If You Can / Eileen Marine, Terry Zhong, Crazy Donkey【鳴潮 (Wuthering Waves)】2025.12.23
BPM137。『鳴潮』Ver.3.0のアプデに合わせてリリースされたリンネのキャラクターテーマ。フューチャーハウス/ベースハウスの質感とUKファンキーのビートが融合し、ハイファイ且つアニマリックな香り漂う楽曲。特筆ポイントはドロップのスタッターハウスで、ジャンル特有のトランスゲートがかったボーカルチョップによって浮遊感と疾走感が両立した推進力を生んでいる。スタッターハウスは2020年頃からポスト・ディープハウス/プログハウス的立ち位置にて密かに存在感を放っていたスタイルだが、K-POPシーンでも近年積極的に用いられ始め、IVE「All Night (feat. Saweetie)」、JEON SOMI「CLOSER」など超ヒット曲も生まれている注目ジャンル。ゲーム音楽シーンでは『VALORANT』の「When the World Ends」くらいでまだまだ稀なため、ここでの採用はかなり感度の高いアプローチだろう。
Summer Night Paradise / シャイニーカラーズ, 徳田光希, 三好啓太【アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism】2025.12.24
BPM124。『シャニソン』2025年の夏イベ「THE HOTERAS WATERS」にて登場した水着曲。イントロからシンセリフが2小節周期のトレシージョ変奏リズムになっていて、シンコペーションが強調されたアフロキューバンなグルーヴが骨子のディスコファンク。サビで足されるギターのカッティングとブラスが何とも賑やか。歌メロも3連符多用で、リズムのレイヤー具合が楽しい。
今日をしるして / アーミヤ (黒沢ともよ), アオワイファイ【アークナイツ】2025.12.24
BPM105。『アークナイツ』6周年記念楽曲。3周年の「長い夜は明ける」と同じく、アオワイファイが作編曲を手掛けるフォークトロニカポップ。まずイントロのリリカピアノのカットアップにぴたっと重なるサブベースの振動が耳心地よすぎて飛べる。ぜひヘッドフォンやサブウーファー環境で聴いてみて。厚みを増すサビ含め、全体的にアコースティックな編成ながら、デジタルな処理による歯切れのいい音の鳴り方をしていてアートポップ寄りな作家性を感じる。キラキラ瞬くPSG音源や、間奏のグライドしまくりリードシンセなど、本来は相反するような音を自然に入れ込むバランス感覚もすごい。
Tiny Giant / Ashley Alisha, Zhou Bin (Sān-Z)【ゼンレスゾーンゼロ】2025.12.26
BPM117。『ゼンレスゾーンゼロ』2025年12月30日のアップデートVer.2.5にてプレイアブルで実装されたエージェント・ザオのキャラクターテーマ。不敵で余裕たっぷりな横ノリのツーステップ。ヤンチャなラップに対しヴァース~プリコーラスではディーヴァみのある声色になるAshley Alishaの歌い分けが面白く、強さもエモさも必要としない現代的な感性をごく自然な表情で見せているのが清々しい。サビで鳴るサグいホーンや時折入るシンセのスタブなども、ガルクラでもY2Kリバイバルでもないノンシャラントな空気感。前回紹介した『崩壊3rd』の「Miss Elf's Magical Invitation」といい、HoYoverseのこうしたプロダクトでのトレンド吸収力、あるいは時代ドリブン力のようなものは本当に信頼できる。
Hot Night Inspiration / Minase【鳴潮 (Wuthering Waves)】2025.12.27
BPM125。『鳴潮』Ver.3.0のサントラより、エクスペディションバイク乗車時のBGMとして設定できる楽曲の一つ。ツーステップガラージビートにエレピやウィスパーボイスが乗っかったスモーキーなニュージャズといった雰囲気だが、後半はローズピアノとストリングスが主張を強め、かなり『ペルソナ5』めいたアシッドジャズに。実際ゲームでも『ペルソナ』コラボが行われ、そこへの目配せや共鳴があった可能性は多いにあり得る。よりミニマルなラウンジ系ツーステップでいうと同サントラ収録の「Liveries at Full Throttle!」もイチオシ。
以上10曲でした。
正月に書いたnoteにかなり反響をいただきまして、ポップスター・星野源のデカさをひしひしと感じています。
日ごろから、いかにゲーム音楽を音楽好きに届けるか、ゲームファンに音楽の面白さを伝えるかを考えている自分にとって、本当にハッピーな出来事でした。正月早々、衝動の赴くままにnoteを書きましたが、こうしてたくさんの方に共感していただけたのはとてもうれしかったです。
年末には、レビューを寄稿したこちらの記事も公開になりました。
2025年のゲーム音楽マイベストとして『SAEKO: Giantess Dating Sim』と『プロミス・マスコットエージェンシー』のサントラをレコメンドしています。
2026年も、よきゲーム、よき音楽、そしてよきゲーム音楽との出会いが多くありますように。今年もよろしくお願いします。
