🌹**【願い】**第二章(11) とし君-最後の手段
*第二章は重い描写が出ます。疲れた時は無理をせず読むのを飛ばしてください。ただ、お話の最後は希望に向かうので、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。
それでも人は幸せになれる。幸せだと感じられるようになる。
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https://note.com/suisujin/n/na54382061032
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とし君のお金がなくなり、叔母ちゃんやお父さんとも話し合い、生活保護を受けようという事になった。
私は申請手続きのために役所まで一緒について行った。
一人で面接を受けた帰りの車の中でとし君は
「母親のこと聞いてくんねん、一番聞かれたくないのになぁ、面接の時泣いてしまったわ。そんなつもりなかってんけどな。情けない。俺にも一応プライドあるからなぁ」
どの口が言うとんねん。
ずんと落ち込んでいたとし君は案の定機嫌が悪くなり、些細な事から喧嘩になった。
私が言い返しながら運転席のとし君の顔を見た時、感情が爆発しそうなのがわかった。
歯を食いしばって目を見開いているその顔。
「殴られる」
そう思ったけど、運転中のとし君はそうはできず、助手席に座っている私の太ももをつねった。何度も何度も。
私は泣きながら自分の髪の毛を引きちぎっていた。
私もやっぱりおかしくなっていた。
次の日、仕事が始まる前にコンビニに行った。
いつもより分厚めのストッキングを買い、ロッカーに着くと背を向けて着替えた。
とし君がいつ暴れるかわからない、いつ壊れるかわからない。
とし君の主治医からは、暴れそうになった時の為にと即効性のある強い精神薬を処方されていた。
その薬の事を私たちは『最後の手段』と呼んでいた。
でもその薬を飲む事が必要になった時は、とし君にそんな物を飲む冷静さはない。
私は『最後の手段』を常に自分のポッケに忍ばせていた。
暴れた時はとし君の隙を見て、薬の封を切って口に入れようとした。
入らなかった。
なんやねんやめろとさらに殴られた。
最後の手段なんて、なんの手段にもなってなかった。
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