「あなた、コロナにかかってますよ」5話
発熱センターで教えてもらった発熱対応のクリニックに電話をしている私。近くてラクな一軒目が電話に出なかったため、「少し遠いが道が平坦な方のクリニック」を選び電話をする。幸い普通につながりまずはひと安心。おそらく日々こういった患者が大量に押し寄せるのであろう、非常にシステマティックにできているようで、すぐに
「では12時50分に来てください。クリニックは3階ですが、他の患者さんと鉢合わせしないよう階段でのぼってもらうので、下に着いたら連絡ください」
と言われる。12時50分か……私は時計をみて、今の状態の自分がその場所までどのくらいで行けるのか計算してみる。
全然わかんない!!
そんな計算、今の私にはできないよ~~~
またまた登場のGoogleマップでかかる時間を表示させてみる。
えっ、16分!?……そんなに歩けるだろうか。
マップで出てくる時間は当然、健康な人が健康な状態で歩いた分数である。それでも16分!!16分て不動産屋さんで物件探すときでも「遠っ……」て思うレベルの距離ではないだろうか。そんな距離を40度の熱がある人間がひとりで歩いてたら、人様にご迷惑をおかけしてしまうのでは……ちなみにもうおわかりだろうがタクシーの選択肢はない。
私は回らない頭で悩んだ挙句、イチかバチかで自転車に乗り目的地まで向かうことにした。もちろんキケンなことは百も承知である。ヘタすれば飲酒運転よりも危ない行為に違いない。けれどもその時の私はそれよりも、歩いてクリニックまでたどり着くこと、そしてクリニックから再び家までたどり着くことのほうがずっと不安で不可能だと思ったのだ。
四日ぶりの外出。久々にでるシャバ(笑)はまぶしかった。私は慎重に慎重に自転車を走らせた。自分が40度近い熱を出しているなんて思わせないよう、あくまでさりげなく、なんでもないかのように振る舞い、誰もみていないに決まってるがこっそりと駐輪場に自転車を置き、クリニックに向かう。建物の前に着いたのでクリニックに連絡すると「今から行きます」と女性の声。
やがて現れた看護師さんと思われる女性スタッフは、なんと防護服に身を包んでおり、久々に体を動かしたことへの疲れもあってボケーっとしていた私を一気に目覚めさせた。さっきクリニックを探して電話をしたときに感じた、”発熱”への対応を再び実感する。それまでは変わらない街中の平和な風景だったのに、防護服姿のスタッフさんをみたとたん、それが一変し、自分が尋常ならざる事態に身をおいているのだと一瞬のうちに感じとった。
そんな女性スタッフが「1番でお願いします」というので何のことかと思ったら、なんと私の周りには同じようにここで診察を受ける人たちが何人もいて、1番というのは診察の順番で、その順番どおりに階段をのぼるよう並べているのであった。もう立っているだけでやっとの私、周囲になんの注意も払っていなかったのだが、ワラワラと現れた(ように感じた)同志、いや受診者さんたちにちょっとビックリした。
1番と言われた私を先頭に、列は階段をのぼってゆく。(まだ続くのか階段……いやこれ以上は……もう……ムリ)と思ったあたりでクリニックに到着。もうこの辺りはあまり覚えていないのだが熱を測り医師との面談。文句なしの高熱のため
「まあPCR検査うけましょう」
となり、すぐ別室へ通された。
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